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アビガン最大の問題は催奇形性という誤解

アビガンが新型コロナの治療薬としての治験を終え、承認申請を行うというニュースが出ています。新型コロナはほとんどの人で軽症もしくは無症状で終わる病気です。一方で、一部の人で重症化し、命を奪う病気です。必要なのは重症者に使用した際、安全かつ効果のある治療薬です。治療の必要のない人に決められた量を投与したときに安全だというだけだけでなく「必要な人に対して必要な効果を得られるまで用量をあげても」安全な薬です。

アビガンを「インフルエンザ治療薬」「抗インフルエンザ薬」などと表現しているメディア記事をよく見るが、誤りである。

アビガンは日本でも世界のどの国でも、季節性インフルエンザの治療薬としての承認を受けていない。むしろ、日本の薬事当局からは、動物実験のデータをもとに「危険な薬剤」との評価を受けただけでなく、ヒトでの臨床試験でも、プラセボ(偽薬)と比較して十分な有効性を示すことができなかったため、一般の治療薬としては承認されていない。

だから、インフルエンザに罹ってアビガンを処方されたという人はこれまでにも1人もいないはずだ。

メディアには、アビガン最大の問題点を催奇形性、すなわち「妊娠したヒトに投与した場合に胎児に異常が起きる可能性」であるとする記事もよく見る。しかし、それも誤りである。


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