子宮頸がんワクチン「接種率30%」の市町村がやってること
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子宮頸がんワクチン「接種率30%」の市町村がやってること

本日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で、差し控えられていた子宮頸がんワクチンの積極的な接種勧奨を再開することが了承されました。勧奨の「一時」差し控えから丸8年。再開に向けての議論がやっと始まります。

今年5月、共同通信が「HPVワクチン、接種率が増加 低迷から一転20%近くに」と報じました。現在の接種率が本当に20%なのかどうかははっきりしませんが、昨年の秋以降、子宮頸がんワクチンの接種率が上がっていることは確かです。

2013年、接種後に起きた痙攣、慢性の痛みなどの症状は子宮頸がんワクチンによるものだという一部市民の声を受け、厚労省は子宮頸がんワクチンの積極的接種勧奨を控えるよう「勧告」を出しました。その結果、子宮頸がんワクチンは定期接種に定められたままであったにもかかわらず、接種率は約80%から1%以下に落ちました

実はこの勧告、昨年10月に一部改定されました。

接種年齢(小6から高1)の女の子と保護者に対し、接種を推奨することはできないが、定期接種である(無料接種できる)ことを周知するのはOKとするもので、関係者は「実質上の積極的接種勧奨の再開だ」と沸き、反ワクチン団体は猛反発しました。

ところが、個別接種の効果は期待していたほどではなく、接種率はせいぜい1桁に留まっているようです。もちろん、それまでの「1%以下」と言う数字から比べれば長足の進歩ですが、「国は接種を勧めていない」という一文に、通知を受け取った人たちはやっぱりどうしたらいいのか分からないという状態が続いているからです。

8月30日、田村厚労大臣は2022年度を目処に積極的接種勧奨再開を検討するとコメントしました。実を言うと、2013年、積極的勧奨を停止にしたのは当時も厚労大臣だった田村さん自身でした

世界における子宮頸がんワクチンの接種率は、日本の次に低いアメリカでも約50%、イギリスやオーストラリアでは80%以上という状況のなか、将来、先進国では日本だけが子宮頸がんで悲しい思いをしたり命を落としたりする女性が生まれ続けることが懸念されています。

来年で接種勧奨の停止から9年が経ちます。
国はずっと気がついていたはずです。
なぜ今ごろまで――?

そう思う人は私だけではありません。

わたしの執筆や講演はよく啓発的だと言われますが、啓発活動を行ってきたのは、反子宮頸がんワクチン運動を前にいちどは沈黙したものの、バトンを受けとった全国の医師たちでした。メディアに出て目立っている医師でなくても、熱意と工夫により、全国各地で確実な変化が起きてます。

わたしが継続的にデータをもらっている自治体の中には、昨年度の段階ですでに「接種率30%」を実現しているところがいくつかあります。そんな自治体に暮らす女の子たちは幸せですよね。

今日は全国から4つの自治体を取り上げ「接種率を30%にアップのための秘訣」をお伝えしたいと思います!

すでに8割の市町村が個別通知を行っている?



HPVワクチンの積極的接種勧奨を目指す議員連盟の調べによれば、昨年度、個別接種を行った市町村は62%、今年度すでに送付済みは77%、未送付は5%と、今年度は全国約8割の自治体が個別接種を実施した(する)ことが分かりました。

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積極的接種勧奨差し控えの勧告が改定されたのが昨年の10月。令和2年度が終わるまでにそれから5か月しかありませんでしたが、かなり多くの自治体が頑張って個別通知をしたことが分かります。

そのお陰か、個別通知の再開した昨年10月から12月の接種率はこのとおり。

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村中璃子 Riko Muranaka

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村中璃子 Riko Muranaka

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医師・ジャーナリスト。命や健康に関わるフェイクニュースに傷つかない、騙されないために。著書に『10万個の子宮 あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか』(2017年2月)『新型コロナから見えた日本の弱点 国防としての感染症』(2020年8月)