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文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】

「文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】」はわたしが書くすべての記事を読みたいという方、定期購読で応援してくださる方向けです。執筆の舞台裏エピソードや医療関係者向けの特… もっと読む
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2023年4月の記事一覧

ウイルスの起源「研究所漏洩説」の報告書を書いた”濁った水”の正体

前回の記事で書いたとおり、いま新型コロナウイルスの起源をめぐる問題が急展開を見せている。原因不明肺炎の発生を受けた中国が2020年1月、武漢の市場を閉鎖した際、市場を消毒する前に採取した検体の遺伝子配列の情報が、国際的な遺伝子情報データベース「GISAID」に密かに公開されたからだ。 非公開になった武漢の市場の遺伝子情報しかし、公開された情報は再び非公開になり、ウイルスの起源の解明をめぐる中国と世界との駆け引きはますます過熱している。 武漢の市場の遺伝子の一件がひと段落し

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ウイルスの起源の問題が急展開!中国が3年経って武漢市場の遺伝子情報を公開

2023年3月はじめ、フランスやアメリカなどの研究者は、中国CDCが2020年1月、武漢の湖北海鮮市場を閉鎖した際に市場の環境から採取したウイルス検体の生の遺伝子情報が、国際的なウイルスの遺伝子情報共有データベース「GISAID(Global Initiative on Sharing Avian Influenza Data)」に公開されていることに気づいた。 GISAIDは2006年、世界の科学者が、インフルエンザウイルスがパンデミックにつながる変異を起こしていないかを

この木を見てくしゃみが出たら!?気になる海外の花粉症事情

北ドイツの港町、ハンブルクもいい季節になりました。晴れていたかと思えば雹(ひょう)や霰(あられ)が降る典型的な「4月の天気」の日もありますが、サマータイムになって時計の針は1時間後ろに倒れ、外は20時過ぎまで明るくなりました。シジュウカラやモリバトも巣作りのための小枝をくわえて忙しそうにしています。 ついに春が来たのです。 ところが最近、また咳をしたり、くしゃみをしたりする人を良く見るようになりました。 コロナではなく、花粉症です。 花粉症は「日本の国民病」ではなく、実

サスペンス小説の舞台で見た!イースターの火

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チョコレートから考える技術革新

ドイツではバレンタインデーとチョコレートはほとんど関係がなく、クリスマス、カーニバル、イースターと冬から春にかけての大イベントで大量のチョコレートを食べます。 2023年は4月9日の日曜日がイースター(復活祭)です。イースターは、写真にあるようなウサギの形のチョコレートや卵の形をしたチョコレートを買ったり贈ったり探したりする楽しい日です。 ドイツ人ひとり当たりのチョコレート消費量は年間約8キロ。統計や年にもよりますが、ドイツは毎年、世界ランキング1位から4位の間を行き来し

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同志社大学大学院の客員教授に

私のオフィシャルウェブサイトからもお知らせしましたが、今年度より同志社大学大学院生命医学部の客員教授の職を拝命しました。京都大学大学院の非常勤講師も継続し、同志社の職と兼任します。 京大でも「科学をどう伝えるか」というテーマで博士課程の学生さんを対象に似たことを教えてきたのですが、同志社では、科学や医学のテーマ、なかでも、”炎上しやすい”科学の問題をあえて取りあげ、その伝え方、受け取り方、広がり方などについて考えます。 政治化する科学政治的、経済的、法的、あるいは倫理的な