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文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】

「文系女医の書いて、思うこと【プロフェッショナル】」はわたしが書くすべての記事を読みたいという方、定期購読で応援してくださる方向けです。執筆の舞台裏エピソードや医療関係者向けの特… もっと読む
内容の詰まった記事を更新していきます。「文系女医の書いて、思うこと。【スタンダード】」とだいたい同… もっと詳しく
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2022年6月の記事一覧

渚の生と死

ドイツに暮らしはじめていちばん驚いたのは夏の日が長いことです。 シェークスピアの戯曲「真夏の夜の夢」は夏至祭の日に妖精パックが活躍する物語。夏至に向けて夜がもっと浅く短くなり、人間たちが寝るのも惜しんで屋外を楽しみはじめると、ヨーロッパは妖精が本当に飛びかっているかようなそわそわした雰囲気に包まれます。この空気感は梅雨の最中で夏至を迎える東京では想像できなかったことです。 ドイツより北にあって、長い昼の夏と長い夜の冬を持つ北欧では、夏至祭はクリスマスと並ぶ大きなお祭りで

新型コロナワクチン4回目接種に関する論文全7本

今月9日に公開した「必読!新型コロナワクチンの4回目接種の「本当に役立つアドバイス」が好評です。 わたしがこの記事を書く根拠とした7本のmRNAの新型コロナワクチンの4回接種に関する論文についてポイントをまとめました。 mRNAの新型コロナワクチンの4回目接種に関するデータで論文の形になっているものは現在までのところ7本しかありません。6本がイスラエルからの報告、1本がカナダからの報告で、すべてがオミクロン株の流行期のデータに基づくものです。 イスラエルからの論文はすべ

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WHO「子宮頸がんワクチンの接種は1回でいい」とした根拠

今年4月、日本では8年10カ月停止していた子宮頸がんワクチンの接種勧奨が再開しました。また接種を逃した人でも無料で接種できる「キャッチアップ接種」も始まりました。同じ4月、WHOは、日本では3回の接種が推奨されている子宮頸がんワクチンについて1回の接種でいいと発表しました。(以下の記事をご参照ください) 6月17日、その推奨の詳細が発表されたので、私の方で独自の情報を補いながら、要点をまとめました。WHOは子宮頸がんの世界からの排除(撲滅されるわけではないが珍しい病気になる

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必読!新型コロナワクチンの4回目接種の「本当に役立つアドバイス」

3回目のワクチン接種が行き届き、気温の上昇も後押しするなかで、やっと落ち着いた感のある新型コロナウイルス。一方、最近では接種対象の方やそのご家族から、「4回目の接種の通知が届いた」との話を聞くようになりました。3回目が終わったばかりという年代もいる中、「え?もう??」という気もしますよね。 ワクチンの免疫応答は、接種間隔をある程度(半年~1年)あけた方が高いことが知られています。 ただし、ファイザーやモデルナなどmRNAワクチンの最大の問題点は、「効果が長期間持続しな

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サル痘、2週間で10倍に

アフリカに渡航歴のない人の「サル痘」の報告が欧米を中心に広がり続けています。5月25日、 わたしのnoteでも「サル痘って何?」という記事を公開しましたが、現状の評価が変化しているので改めて記事を書くことにしました。 先週の後半に入って「感染経路不明」の感染者も出てきたことから、市中感染の始まりも懸念されています。ウイルスが簡単に国境を超えることはご存じのとおりです。日本も他人事ではありません。 すべての野生動物、水泡に注意 米CDCの発表によれば、6月3日現在、アフリカ

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私なら次の接種にノババックス製新型コロナワクチンは選ばない

日本でも承認され、公的接種に加わったノババックス社製の新型コロナワクチン。ファイザー製、モデルナ製など「mRNA」の新しいテクノロジーを使ったワクチンとは異なり、「組み換えタンパク」という比較的歴史あるテクノロジーを用いていることや副反応が少ないとのふれ込みもあり、ファイザー製やモデルナ製の接種を控えた人などから、問い合わせや予約が殺到しているとの報道を目にしました。 ノババックス製はHPVワクチンと同じ仕組みで作られている 日本では人気だというノババックスの組み換えタン

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