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先生という息苦しさからの解放、そして「保育教育に悩む方へ」自分にできること。

SHEのイベントに登壇させていただきました


3月26日、SHEの風の時代PJ・教育・保育業界からのキャリアパスに講師として登壇させていただきました。
実は自分の妊娠がわかり、つわりがある中で頂いたお話でした。「果たして準備に自分の体調が間に合うか?SHEの運営の皆様にご迷惑をお掛けしてしまうのではないか…」お受けするかどうか思い悩んでいたけれど、「私の体験談が、誰かの勇気や励ましになってくれたらいいな」「今までSHEから受けた恩恵を何らかの形でお返ししたい。」とも思っていました。今挑戦しないと絶対後悔すると確信。体調のリスクなどはあるにしても、まず頑張ってみよう、と決心をして今回の登壇に臨みました。

そんな経緯もあり、不安も入り混じる中の登壇でしたが(もちろん反省点も数々あり、まだまだと感じるところも多かった)いざ話してみると、ありがたいことに私の教師時代の話や教育観について、共感の声や、教育について悩んでいる方からの声など、反響をたくさんいただきました。聞いてくださった方々や、イベントを企画してくださったSHEの皆様、また当日プランナーとして入ってくださったスタッフの皆様にも感謝してもしきれない気持ちでいっぱいです!

その一方で、今回参加してくださった方からの反応からも、もっと潜在的に教育に悩んでいる方がたくさんいるのではないだろうか・・・?という新たな疑問や発見もありました。そんな方々に何か悩みを共有できる場があったり、話ができることでホッとできたり、するんじゃないかな・・?
そんな気持ちを吐き出せるようなお茶会のようなコミュニティをまずは小さく始めてみようと、一歩踏み出しチャレンジをしてみようと思います。
コミュニティをやってみようと思ったいきさつについて、これから書いていきます。

私が教員時代に感じていた「息苦しさ」

まず、SHEで登壇させていただくにあたって、自分の人生について棚卸しをする必要がありました。「これは共感してもらえるかな?先生あるあるだったりするだろうか・・・?」とか色々考えながら作業を進めていたわけですが、この過程を通して、改めて私が教員時代に感じていた息苦しさについて自分で再確認をすることができました。(いろいろとネガティブな表現が多いので、苦手な方はスルーでお願いします)

高等学校の教育と義務教育のギャップ

私は美大に入学するために二浪してから、美術科のある高校に1年間産休代替として勤務することになりました。
最初の1年はそれこそ自分も美術を専門に学んできたので、美術に志のある生徒たちと一緒に過ごすことがとても嬉しく、やりがいを感じていました。そのため教員採用試験も通勤中の満員電車の中で片手だけをなんとか持ち上げて毎日参考書を開きながら(今思えばよくそんなことできたなって思う)勉強に励みました。
無事、勉強の甲斐あって試験は合格。次の年からは正規の教員として、やる気に満ち溢れたまま中学校に勤務することとなりました。

しかし、ここで私は義務教育の壁にぶち当たってしまいます。

高等教育は、いわば「自主的に進学を希望して通っている」学校。美術は普通高校でも選択制の教科であり、少なからず美術に興味を持っている子が美術を学んでいるのです。私が配属されたのは義務教育である中学校。美術は好き嫌い関わらず、否応なしに「学ばなければいけない」教科。そして、ある子にとっては「受験に必要だから仕方なく受ける」教科なのです。
もちろん、美術が好きな子もいますが、悲しいことに中学校美術を通してだんだんとかつての「好き」を失ってしまう子も少なくありません。

実技教科にそぐわない「評価制度」

では、なぜ美術が「苦手」「嫌い」な教科になってしまうのでしょうか?
それは実技の教科にそぐわない評価制度にあると私は考えています。

小学校から中学生になりたての子どもたちは図画工作のイメージから「真っ白な紙に自分の好きな色を塗ることができる」「夢中になって木を切って、自分だけのオリジナルな家を作る」「私なりの表現を自由にすることができる」という気持ちを持っています。
ところが、中学校になるとそんな一生懸命自分なりに表現した絵が「君の絵は100点中80点だね」とか、「ABCD評価の中ならCかな」とか、突然採点されてしまうのです。
「えー、一生懸命描いたのに、私の絵ってどっちかっていうと大したことないんだ…」
そんな風に現実を突きつけられます。

本来、美術に上手い下手という基準での評価なんてないはず。(現に、今の美術館に飾られている絵が全て超絶技巧なリアリティ満載の絵だけでしょうか?ピカソみたいにぱっと見上手い、とは思えないものもたくさんありますよね)
そんな世間とはかけ離れたように、上手さで採点されがちな学校の美術教育です。極端かもしれませんが、日本人が細かいリアルな絵を好んだり、「美術ってよくわからない」という理由は学校教育にあると思っています。

私自身、そんな採点の仕方はおかしい、と憤りを感じさえもしていましたが、残念ながら自分を突き通すほど強気な姿勢での採点はできませんでした。なぜかは話すと長くなってしまいそうなので、ここでは割愛します。
成績が出た後の生徒から「美術の成績はいい成績取れないから、美術嫌いー」という言葉を聞くたびに、心の中で「ごめんね」と謝る日々でした。

「なんだか、自分に嘘をつきながら仕事をしてない?」
そんな気持ちを隠しながらずっと仕事を続けていました。

先生はとにかく忙しい

それに加えて、学校の先生はとにかく忙しい。プライベートを削らないとやっていけない業務量です。
具体的に言えば、朝8時ごろに出勤し、担任のクラスのケア、授業、部活、生徒会や委員会の運営、大体生徒の下校する18時ごろまでは生徒と関わる時間。それから授業準備やら、テストの作成や採点、評価を出したり、保護者対応や学級通信を書いたり。とてもじゃないけど平日だけでは終わる量じゃないので、必然的に休日も使用することになります。休日は地域の行事に参加することもあるし、運動部の顧問だと、休日もほぼ出勤する先生も多いです。
日曜日の夜に職員室で仕事をしてると「何やってるんだろう…」なんて空虚になったり。

また、美術や音楽など学校に一人しかいない教科の先生だと、配属された学校によっては1人で400人近くの成績を出すことになりますし(本当にテストの採点や成績は地獄でした)、他の先生がどんなふうに授業をしているのか相談できない事情もあったりで1人で抱え込んでしまったりもします。(以前、管理職に「他の学校の先生に相談できないんですか?」と言われたことがありますが、いつ、どうやって相談すんねん、と1人でこっそり反論したりもありました。笑)

小さな嘘をつづけてきた結果・・・

たくさんの仕事を抱えながら、ストレスもなかなか発散できない日々。同年代の先生たちと飲みに行ったり、それなりに発散していたつもりでしたが、いつしか知らないうちに自分の限界を超えてしまっていました。
小さなミスが多くなってきて、周りにも影響が出はじめ、ついに学校全体のミスと思われてしまう事態を引き起こしてしまうことに。「ああ、もう限界…」とやっと自覚しました。

でも、今思うと「自分に嘘をつきながら仕事をしている」ということが、一番の原因だったと感じています。

表向きは「寿退社」。でも、本当は逃げただけだった。

そんなこんなでプライベートでは学生時代からずっと付き合っていた人と結婚する流れに。相手の地元に自分が拠点を移す、いわゆる「寿退社」という形で教員も退職することになりました。
子どもたちを卒業まで見届けなかった中途半端さやもどかしさもあり「子どもたちのため」に頑張りきれなかったことに心残りはありましたが、無理をしてカラ元気でいるよりも自分に正直になってその場を離れることがある意味、自分にとっても子どもたちにとってもよかったことだったのかもしれない、と今となっては思います。

苦しさから解放され、次にやりたいことは自分の裁量で仕事量を決められる仕事、と思っていました。
そんな時に出会ったSHElikesでした。正直、スキルを身に付けたとしても次の仕事が上手くいくかどうかは自分次第。でも、上手くいかなかったとしても自分のやりたいことをしている、と自分の選択に納得しながら人生を送りたかった自分にはぴったりのスクールでした。

SHEに出会ってもうすぐ2年、「自分らしさを取り戻すことができた」と今、自信を持って言うことができます。

仲間と共に、コミュニティを作ってみようと思います。

そんなSHEで頂いた「保育教育業界からのキャリアパス」イベント登壇。これが新たな私のきっかけとして動き始めたのも、何かの運命なのかも…と思っています。
そのときに一緒に登壇したななさんと意気投合し、保育教育に悩む方がほっとできるような居場所づくりをしたいと動き始めました。
コミュニティ、といっても私も現在妊娠中であり、これから育児で忙しいだろう日々が待ち構えている身なので、大層に何かを立ち上げるぞ!ということも現実的に不可能だろう、ということも考えており…まずは小さく、お茶会のような居場所づくりから始めてみようと思います。

コミュニティでは、個性を伸ばす教育について、こんな考え方や教え方どうかな?などの情報交換や、保育教育に関わる人たちの悩みを共有したり、ということをしてみたいと思っています。
少しでも、以前の私と同じように悩んでいる人の助けになったら嬉しいなと思っています。ご興味のある方や、少し覗いてみたいなという方も、月1回のzoomを行なう予定でいるので参加していただけると嬉しいです!


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