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子どもを安心して預けられる場をどう創る?「子ども服マーケットinSunshineCity」の運営に立教チームのボランティアが参画しました。

6月29日(土)・30日(日)に開催された「子ども服マーケット in Sunshine City 〜Spring&Summer〜」に、立教チームのボランティアが参画し、会場内に設置した「子ども向けコーナー」の企画・運営を担いました!

同イベントの開催は今回で4回目。立教大学ボランティアセンターではこれまでボランティア募集における広報協力を行ってきましたが、今回からは「立教チームで活動する1dayボランティア」としてプログラム化し、参加学生の募集から事前準備、当日の運営まで深くかかわりました。


「子ども服マーケット in Sunshine City」

「株式会社サンシャインシティ」「認定NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」「としまこども団」が主催する同イベントは、今回で4回目の開催。以下のような趣旨で開催されました。

こども服を必要としているご家族を中心に豊島子どもWAKUWAKUネットワークから声をかけ、子どもたちがご家族とともに、地域のボランティアや学生ボランティア等との多世代交流や洋服等を選ぶ楽しさを体感していただくことを目的の1つとし、活動にご賛同いただいた各種団体のご協力のもと、2日間で計139世帯328名の方に来場いただき、約2,300着もの子ども服をお渡しました。

株式会社サンシャインシティ ニュースリリースより

今回立教チームのボランティアが担当したのは、子ども向けコーナーの企画・運営です。
子ども連れで来場すると、どうしても洋服等を選ぶ時間的な余裕がなくなってしまい、その楽しさを味わいにくくなってしまうため、子どもを安心して預けられるコーナーを設けることで、保護者の時間的・精神的な余裕を生み出すことを目指します。

また、コーナーの企画段階では、ただ子どもを預かるのではなく、子どもたちが「コト体験」をできるような内容にすることを意識し、準備を進めてきました。

会場に並ぶ子ども服

事前準備の様子

当日の会場となるサンシャインシティ ワールドインポートマートビルのオフィスにて、事前に2回の打ち合わせを実施しました。

初回は顔合わせ・自己紹介の後、今回のイベントを担当するサンシャインシティのスタッフから、イベントの目的や概要、立教チームの役割をご説明いただきました。

担当エリアについての説明中

2回目は、当日の活動グループに分かれて当日準備を実施。
それぞれの企画に対して、必要なもの・ことを整理し、その具体的な準備を進めました。

当日に向けた企画会議
ゴルフコーナーの運営方法を確認!
自主的に集まって準備するグループも!

当日の様子(6月29日)

当日は10時からのイベント開始に向けて、1時間前から準備がスタート。
イベント運営に関わるスタッフ・ボランティアが集合し、オリエンテーションを行った後、立教チームの学生は自分が担当するコーナーの設営を開始しました。

「たまをいれろ!わくわくゴルフゲーム」

29日に活動した学生の内、一つのチームは会場備え付けのゴルフ用ホールを活用し、パターゴルフゲームのコーナーを運営しました。

子ども服が置いてあるエリアにボールが飛び出さないようにしたり、子どもたちにも分かりやすいようにルールを伝えたりするなど、会場全体の運営とのバランスも図りながら運営をしていました。

会場設営時の様子
パターゴルフに挑戦!

また、複数回参加してくれる子どもが飽きないように、難易度を変えたり、それに合わせて景品が選べたりするような工夫を行いました。

子どもたちの難易度に合わせてゴール前に3本の線をつくったり、ホールの周りに枠線を設けてなるべく子どもたちに景品が渡せるようにルールを工夫しました。
私の担当は、遊びに来てくれる子どもたちと最初にお話する立ち位置だったので、ゲームの楽しい雰囲気を伝えられるように笑顔で接することを心がけました。

参加学生の声(現代文化学科 2年)
並んでいる子どもたちにも積極的に声をかけていました

実際に当日は、とにかく何度も並んで挑戦する子どもたちの様子が印象的で、参加してくれた子どもたちは「楽しい」だけでなく、思い通りにならない時の「悔しさ」や、うまくいった時の「達成感」など、様々な感情とともにこのコーナーでの体験を味わえたのではないかと思います。

とにかく子どもたちが楽しめることを第一に準備し本番を迎えたので、実際に子どもたちから「楽しい」「もう一回やりたい」といった声を聞けたことが嬉しかったです。
安全面やゲーム性などの面からルールをきちんと設定することも必要ですが、子どもたちの意向や周りの状況にあわせてルールをあえて崩すというのも、より楽しんでもらうためには大切なことなのだと学びました。

参加学生の声(現代文化学科 2年)
見事にホールイン!

明るくてハツラツとしてる子、人見知りな子など、それぞれの性格によって接し方を変えることで、子どもたちも私たちと接しやすくなることに気づいた。こちらが積極的に話しかけることで心を開いてくれるのだと身をもって感じた。

参加学生の声(文学科 英米文学専修 4年)

子どもと接するにあたって子どもの目線に合わせるということの大切さに気づいた。
事前に子どもの目線に合わせようと話していたにも関わらず最初は緊張もあり上手く行動に移せていなかった。少し慣れてきて子どもの目線に合わせることが出来た時、子どもとの距離もぐっと近づいて心の距離も近くなった気がした。
子ども目線で物事を考えるという意味でも、子どもに安心感を与えるという意味でも目線を合わせることの大切さを再確認した。

参加学生の声(現代文化学科 2年)

この活動を通して、私は子どもの素直さに改めて驚かされました。特にゴルフの穴に入るまで何回もチャレンジする姿が印象的でした。
また、子どもの発想が私たちの想定を超える場面もありました。球を打つラインを3つ設置し、自分で選択できるようにしたところ、その3つより遠い並び順の先頭用に設置した線から打ちたいという意見が出て、想定外の子どもの発想にとても驚きました。
子ども達の遊びを作り出す力や発想の柔軟性など、私たちも多く学ぶことがあった活動でした。

参加学生の声(福祉学科 1年)

「おにをたおせ!!ボウリング」

もう一つチームは、モルック(フィンランドの伝統的なゲームを元に開発されたスポーツ)の道具やペットボトルを使用した「ボウリング」のコーナーを運営しました。

「モルックをそのまま実施しても、短時間で子どもたちにそのルールを伝えるのが難しい」ということでボウリング形式にしたのですが、さらにそのルールを理解しやすくするために、鬼を倒すというストーリーを設定したり、そのストーリーに沿った遊び方の案内を作成するなど、事前準備の段階から工夫を凝らしていました。

会場設営時の様子

子どもたちと遊ぶのはなかなか無い体験で、彼らのエネルギーに元気をもらいました。
準備段階では想像しきれないところも多く、当日上手くいかない部分もありましたが、子どもたちが「これ楽しい!」と言って遊んでくれたり笑顔で「ありがとう」と言ってくれたりするととても嬉しかったです。
子どもたちに楽しんでもらえるように、ルールをシンプルにしたりストーリー性をもたせたり、ルール説明の紙を見やすく作ったりと遊びの内容もその説明方法も工夫しましたが、相手を想定し流れをイメージするといいと学びになりました。

参加学生の声(現代文化学科 2年)

私は下に兄弟はいないし、親戚の中でも年齢が下の方なので子どもと触れ合う経験はあまりありませんでした。そのため子どもと遊べることは楽しみだったけれど、不安の方が大きかったです。当日の朝は少しだけ緊張していました。
しかし実際子ども達は皆良い子で、子どもたちのエネルギーにそんなことも吹き飛んでいました。楽しむことは実はすごく難しいことだと思うのですが、遊んでいった子達は皆楽しそうで嬉しそうに帰っていってくれました。
何回もきてくれた子に関しては自分なりの遊び方を見つけて、もっと難易度を高くして遊ぼうとしており、子どもの創造力の高さに驚かされました。

参加学生の声(現代文化学科 2年)

子ども達と接する中で、子どもによって接し方を変えることが重要だと思った。しかし、実際は性格や表情をよく観察してその子にとって適切な言葉掛けやテンションで盛り上げることは難しかった。
無邪気に楽しんでくれる子は反応がわかりやすいため接しやすいが、反対に恥ずかしがり屋の子どもや感情をあまり表に出さない子への対応が難しく、少し苦戦した。結果的には、何度も声をかけたりするうちに緊張がとけ楽しんでくれる様子も見られたので嬉しかった。
ただ、この経験から、無意識のうちに、自分の中で子どもに対して分かりやすい「子どもらしさ」を求めてしまっているのではないか、と少しショックを受けた。
また、自分が用意したことに対して喜んで欲しいという気持ちも強かったのだなと感じた。本来、色々な性格の子どもがいるはずで、その在り方や表現に優劣はもちろんないはずなのに「大人が扱いやすい子ども」が優先されてしまうこともあるかもしれない、と感じたため、どの子にも寄り添える自分でありたいし誰1人取りこぼされずに、自由にのびのびと過ごせる環境がある社会だと良いなと思った。

参加学生の声(交流文化学科 4年)

活動終了後の振り返り

活動終了後には、メンバー全員でふりかえりを実施。
それぞれの気づきや学びを全体で共有したうえで、チームごとに成果や課題についてふりかえり、そこでの記録を引き継ぎとして翌日のメンバーに共有しました。

実際にやってみて感じたこと、思い通りにいかなかったことが多かったようですが、具体的な改善策も共有されたので、翌日はもちろん、今後の運営にも役立てることができればと考えています。

ボランティアに対して一方的に支援するイメージを思っていたが、今回の活動を通して、相互に受け取りあうものがあると感じた。なぜなら、子どもからも、そしてボランティアの仲間からもパワーをもらったからだ。
当初は子どもたちを楽しませるという気持ちで臨んでいたが、楽しんでいる姿を見て自分も自然と笑顔になっていたり、何度もチャレンジしに来ている姿を見て嬉しい気持ちになったりした。
また、ボランティア活動やその準備を通して一生懸命作業に取り組む仲間を見たり、意見を出し合ったりして、自分も頑張ろうと力をもらって励みになった。

参加学生の声(教育学科 2年)

私は今までゴミ拾いや草むしりなどの活動しかボランティアをしたことがなかったので、活動により喜んでくれている姿を見ることができた経験は今回が初めてでとても嬉しかったしやり甲斐がありました。
また、2回のミーティングで話し合いを行ったりと自分たちで作り上げられたような気持ちも少しあり、当日参加のみのものとまた違い達成感がよりあったかと思います。

参加学生の声(現代文化学科 2年)

初めは、活動内容に貢献したいという気持ちよりも自分が人との交流を求めていたという理由で参加したことに対して、少し後ろめたさを感じていた。しかし、参加動機は、結果的になんでも良く、事前準備などを通して、どのような思いでするのか、どうしたら相手のためになるか、という視点や意識に変わっていったため、参加するためのきっかけは案外重要ではないと思った。今後は、もう少し気軽に興味をもったボランティアに参加してみたい。

参加学生の声(交流文化学科 4年)
29日の活動メンバー

当日の様子(6月30日)

前日同様に、イベント開始の1時間前に集合し、全体オリエンテーションを実施。その後、それぞれのコーナー設営をスタートさせました。

「ゴルフコーナー」

30日も一つのチームがゴルフコーナーを企画。
これまで別々に準備をしてきましたが、前日の活動後に行った振り返り内容を引き継ぎながら、当日の運営を行いました。

ボランティアを通して色々な経験をしたかったので今回応募したが、子どもと関わることで子どもの可愛さや純粋さに触れることができた。
普段の生活で子どもと関わる機会はなく公共交通機関や施設で見かけることが多いが、そのような社会的な状況だと騒いでいたり落ち着きがなかったりして子どもは好まれないことは少なくない気がする。しかし、実際関わってみるとそのイメージは全く持って払拭されたためこのような機会を得ることができて良かった。
また、お絵かきスペースでは子どもを預けてコーヒー飲みに行った方もいて、安心して預けられると思われていたように感じて嬉しかった。

参加学生の声(現代文化学科 3年)

「ワナゲ」「ボウリング」「塗り絵」

もう一つのチームは、モルックの道具やペットボトルを使用し、ボウリングや輪投げを運営。
ゴルフコーナーとの中間地点には塗り絵のコーナーも設置しました。

輪投げとボウリングの様子
塗り絵コーナーの様子

前日と同様に多くの子どもたちが訪れ、ゲームを楽しんでいました。

一方で、あれもこれもとコーナーを増やしすぎた結果、運営の人数が足りなくなり、担当者が誰もいないを時間をつくってしまうことも。
また、誰にも言わず・託さず担当者が複数人が持ち場を離れて別企画にお客さんとして参加したために、別コーナーの学生がそこをカバーせざるを得なくなった時間帯もあり、課題も多く見られました。

想像していたよりも子どもたちが楽しんでくれたことが嬉しくて、子どもたちからパワーをもらいました。
目の前の子どもと関わることで精一杯にならず広い視野をもつこと、開催の意図や本来の目的を見失わないことの重要性を学ぶことができました。

参加学生の声(社会学科 4年)

ルールを固く決めるのではなく、リピーターに対しては新たなルールに変更することでよりゲームを楽しんでもらえた。固定する部分を少なくしても「前の子はあぁだったのに…」などとはならず、各々で楽しんでもらえたので柔軟に対応して彼らの楽しみの幅を広げることができて良かった。

参加学生の声(福祉学科 2年)

子どもと接することは、親と接することとも言えると思った。今回の活動は、親が服を選ぶ時間を作るための活動であり、子どもに目線を合わせ、子どもが楽しめればそれでいいというわけではないことが分かった。
親にお子さんは見ていますから、服を選んでいてください、といった一言を言えるかどうかが重要だったと、一つの明確な反省点となった。

参加学生の声(心理学科 3年)
多くの子どもが集まった塗り絵コーナー
輪投げコーナーで会話中

会場内の片付け作業

最後は、イベント運営に関わった関係者全員で片付け作業を行いました。
子ども服や本などが最初の時点からかなり減っており、それだけ多くの方が訪れたのだなと実感しました。

片付け中

活動終了後のふりかえり

この日の活動では、個々のコーナー運営だけでなく、立教チーム全体として、チーム内でコミュニケーションをとり合い協働すること、イベントの目的と自分の役割を理解して活動することについて、多くの課題が見えました。

実際、子どもだけで各コーナーのゲームに参加するというよりは、保護者の方と一緒に参加するという場面が多く見られ、「子どもを安心して預けられるような場」としてはうまく機能しなかった時間が多かったように思います。
活動終了後のふりかえりにおいても、多くの学生から上記の内容のような課題が共有されました。

全体の振り返りでもあったように学生ボランティアの役目である保護者の方にゆっくり服を見て回ってもらうことを忘れ、塗り絵エリアに学生がいなかったりゲームコーナーが人手不足になってしまったりと視野の狭さが出てしまい、本来の役割を見失ってしまった点が大きな反省点だった。

参加学生の声(福祉学科 2年)

ボランティアをするに当たって何回か集まって話し合ったり、終わってからもきちんと振り返りをしたりした点でボランティア活動における責任感や積極性の重要さを認識した。

参加学生の声(現代文化学科 3年)

また、子どもの良くない行動を目の当たりにした際の対応についても話題にあがりました。

初対面の子どもに注意(優しく諭すことも含め)をしていいのか、それによって楽しめないということにならないか等の不安があり、それを伝えるという行動にまでは移せなかったようです。
大学生として子どもと関わるというのはどういうことなのか、目先の楽しいだけで終わらせてはいけないこともあるのではないかなど、今回の活動を丁寧にふりかえったことで、課題を学びに変えていくことができました。

この学びは今回参加した学生だけでなく、今後のイベント運営全体にも生かされていくことになります。
課題が多く見えたからこそ、そしてそれを丁寧に共有することができたからこそ、次へのヒントをたくさん得ることができました。

私たちが、子どもに対して注意することは、よくない行動であることを知ってもらうためには重要であることは新たな気づきになりました。どうしても、初対面の子どもに対して適切な注意の仕方がまだまだ分からないので、これからの活動で意識して対処法を見つけていきたいです。

参加学生の声(コミュニティ政策学科 1年)
30日の活動メンバー

最後に

ボランティア活動の背景には社会課題があり、その解決のために多様な人が集い、関わり合います。
当然、「楽しさ」だけで片付けられないことも多くあり、社会には答えのないことばかりです。

だからこそ、「なんのために取り組むのか」、「どんな状態を目指すのか」、「どのように関わり、何を大事にするのか」を一人ひとりが考えること、それを仲間とともに共有しあうことが大切ですが、一度これらを見失うとボランティアがいつの間にか「お客さん」になってしまいます。

私はなんのためにボランティアとして参加したのか、なぜボランティアなのか、改めて「ボランティア」というかかわりの意義について考えさせられる機会になったのではないかと思います。

イベント全体を見ると大きなトラブルもなく、無事にイベントを終えることができました。
サンシャインシティのスタッフの方々をはじめ、多くの方にサポートいただきました。本当にありがとうございました!