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「女性の働き方」は“社会を映す鏡”|Chie Takazawa

こんにちは、高澤千絵です。
今日は私たちの研究が目指す社会の変化についてお話ししたいと思います。
さて「40代女性のモヤモヤ」が私の大学院に行く原因となり、現在の研究の背景になったのは以前の投稿でお話ししました。この「モヤモヤ」は一過性のものではなく、大きくなったり影を潜めたりしながら常につきまとっています。最初にその「モヤモヤ」を意識したのは、おそらく社会人になった頃ではなかったかと思います。それは、性別で社会における待遇が異なるという事実に触れたことがきっかけでした。

学生時代にはほとんど男女差なく、学び、競い、遊び、生活をしてきていましたが、就職氷河期により「女子学生は正社員の採用枠がありません」と社会への門戸が「女性」というだけで狭めるという経験をしました。私自身は運良く、希望の会社で正社員採用されましたが、派遣社員や非常勤職員として社会人のスタートを切る同級生も多くいました。会社に入ってからも男性社員が女性社員より先に大きなチャンスを与えられたり、後輩の男性社員が先に昇進していったりする様を目の当たりにするにつれ、少しずつ「モヤモヤ」や違和感が大きくなっていきました。おそらく職場によっては、このような状況のみならず、「女性だけが制服を着用する」といったルールや「お茶くみ当番は女性社員のみ」といった、現在の社会では変わりつつあることもあったのではないでしょうか。

男女雇用機会均等法が制定される前の時代は、男女の「性別役割分業」を当然と考える人々が多かったでしょうし、”ある”年齢になるまでに結婚するのが適当で、結婚した女性は退職し、子育てに専念するのが当たり前と考えられていました。そのような時代の中で、それまでのライフコースとは異なり、働きながら、また子育てをしながら働く女性がいてくれたからこそ、従来の雇用や労働制度でカバーされていなかった働き方や待遇に光が当たり、男女雇用機会均等法や育児休暇制度、フレックスや時短制度などの制定が進んでいったのだと思います。

このような労働環境整備は、女性のみが対象であるときは比較的ゆっくりと変化していきます。しかしながら、社会に浸透していく上で、必ず男性にも対象が広がっていきます。例えば派遣労働者やパート社員など有期の非正規雇用者は現在も増加の一途をたどっており、雇用者全体に占める有期雇用労働者の割合は、1986年の16.6%から2020年には38.0%へと大きく上昇しています。非正規雇用者は2004年3月の製造業における派遣業務の解禁後、急増し、現在では女性の56.4%、男性の22.3%が非正規雇用者となっています。(総務省「労働力調査特別調査」より)

私たちは、女性の働き方は今の社会を映し、未来の働き方の扉を開くと考えています。なぜなら、男性社員の育児休暇取得、非正規社員に対する待遇の改善、ダブルワークの浸透、ライフワークバランス推進などは、今では性別にかかわらず、整備されつつあります。社会の中でマイノリティである女性が働きやすい環境は、きっと男性にとっても働きやすいものであるはずなのだから。

「モヤモヤ」の種はなくなるでしょうか?
・・・きっとゼロになることはないのでしょう。前回の柳谷さんの投稿でも語られていたように、大きくなったり影を潜めたりしながら、つきあっていかなければいけないのかもしれません。

だからこそ働き方における女性のライフストーリー研究ですくい上げる言葉から多様化する労働観の変遷、キャリア形成、就業の形など社会の課題や今後の在り方をあぶり出し続けることで、これからのサスティナブルな働き方、生き方のヒントを見つけ、社会を変える一助としていきたいと考えます。
Life goes on…

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