郊外の「熟成済タウン」にマンションを買うことについて

りっくんです。
お久しぶりです。

無駄に長いタイトルになってしまいました。
Xを見ておりますと、最近は都心、郊外を問わずピカピカタワマンの話題が多いです。
そのほとんどはスッ高値で、郊外ですら我々のような普通の共働きにはとても手の出ない価格。
そんな市況にだんだんついていけなくなってきている今日この頃、「皆の俺の郊外マンション論を聞きたい!」という声を拝見しましたので、今回筆を取らせていただきました。
ぜひ読んでいただけますと幸いです。
目次は以下です。


①そもそも郊外とは?

まず第一にここの定義を決めないと話を進められません。
ですが、これが難しいです。
色々考えた結果、仕事が集積されている場所=都心、その隣接地=近郊と考えて、首都圏の郊外を以下で仮置きします。
「都心の主要オフィス街(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区の都心5区)と、これらを取り囲むオフィス街と住宅地が混在する近郊エリア(品川区、目黒区、世田谷区、杉並区、中野区、練馬区、豊島区、文京区、台東区、墨田区、江東区)を除いた都心5区に通勤可能な街」
つまり23区ですと大田区、練馬区、板橋区、北区、足立区、葛飾区、江戸川区が郊外。
多摩は武蔵野や三鷹も郊外ですし、神奈川千葉埼玉はもちろん全部郊外です。
…大丈夫?怒られない?
なお、横浜駅、みなとみらいエリアに限ってはここは郊外なのか?という議論が(私の中では)ありましたので、以下を例外的に郊外から省きます。
「横浜駅〜みなとみらいエリアまで5分以内でアクセス可能な街」
これで割と良い感じな気がして…本当?
とりあえずこれを元に話を進めます。

②郊外にも分類がある

先ほどものすごくざっくりと郊外を定義してしまいましたが、この中にも色々な街があると思います。
例えば再開発が進んでピカピカタワマンがガンガン建ち並び、どんどん都会的になっている街もあれば、まだまだ令和が来ていない再開発のさの字もない街(具体名は出しませんが、我が街はこっち)もあります。
その中間、駅ビルは綺麗になったし再開発タワマンも建ったけど、ピカピカになったのはそこだけ、みたいな街もあれば、再開発真っ只中の街、あるいはこれから再開発されることが既に決まっていて勢いのある街もあります。
はたまた、駅を降りたらすぐに住宅ばかりで、そもそもしばらくは再開発の余地がないような街もあります。

これらの郊外の街の中でも、再開発が一通り進んだピカピカの街や今ガンガン再開発が進んでいる街、あるいはこれから再開発が控えて勢いのある街については、魅力や長所短所がマンクラの至る所で語られていると思います。
また、駅を降りたらすぐに家ばかりで、そもそもしばらくは再開発の余地がないような街はマンションの選択肢も少なく、マンクラとしてはあまり面白くない街も多いです。
そこで私は今回ここでは、再開発のさの字もない、気配もない、あるいは駅周りしかピカピカになってない、しかし商業はそこそこ栄えている…
そんな郊外の街について、「熟成済タウン」と勝手に名付け、以降語っていきたいと思います。
うーん、需要あるのかな………

③熟成済タウンの良いところ

熟成済タウンの良いところは以下だと思います。
1. 既にそこそこ栄えているので便利
何と言っても熟成済ですから、駅前には一通りのスーパーやドラッグストア、ちょっとしたチェーンの飲食店なんかが揃っています。
街によってはKALDIや成城石井のようなちょっと生活レベルが上がった感じのするお店があったり、大規模な西友やヨーカドーがあったり、小規模な百貨店やショッピングモールがあったりしてお買い物には困りません。
もちろん個人経営の渋いお店もあります。

2. 良くも悪くも相場は安定
やはり熟成済ですから、街の評価は安定しています。
よってマンションの相場も安定していて、突然高騰したりすることもありません。
裏を返せば突然人気がなくなって暴落することもあまり考えられません。(全体として暴落すれば引きずられるとは思います。
また、うっすらグロスの限界が出てくるマンションが多くなり、かつある程度マンションが建っていて流動性もあるので相場を読みやすいです。(タワマンがある街はまた別)
あそこのあの部屋がいくらで捌けてるから、このマンションのこの部屋は…みたいに考えやすいと思います。

3. 説明コストが低い
良いところとまでは言えないかもしれませんが…
前述の通り、熟成済の街で評価も安定していますので、一般的な知名度はそれなりにあります。
ですのである程度地理がわかっている人に対して、どこに住んでいる、と説明するときの説明コストが低いです。
(これから再開発で伸びそうな)〇〇駅!と言われても、マンクラ以外の人はだいたいそういう情報に全然興味が無い(これ重要かも…)ですから、あまりわからなかったりするものです。

4. 全体的に「ちょうど良い」
熟成済タウンの風景は極端にオシャレすぎることもなければ、殺風景すぎることもありません。
嫌になるくらい人が多いということもなければ、人がいなさすぎて心配になることもありません。
栄えまくってて圧倒されることもなければ、あまりになにもなくて困ってしまうこともありません。
思いつくようなチェーン店はだいたい一通りあります。
こんな感じで、とにかくちょうど良いのです。
もっとも、熟成済なんだから当たり前のことかもしれません(?)

④熟成済タウンのいまいちなところ

熟成済タウンのいまいちなところは、良いところと表裏一体で、以下が挙げられると思います。

1. 街の伸び代はあまりない
ある程度出来上がってしまって再開発の気配もない街ですから、伸び代はありません。
成長していく街のダイナミズム、どんどん便利になっていく楽しさみたいなものは感じられません。
せいぜいたま〜に建つ新しい分譲マンションとか、地主が建てた新しい賃貸マンションを見てうお〜となったり、駅ビルや商業ビルのテナントの入れ替わりを楽しむくらいになってしまいます。

2. ウン百万〜単位の含み益は知らない子
郊外で含み益を得られる典型的「勝ちパターン」は再開発で街の評価が高まって…というパターンだと思いますが、先ほど申し上げた通り、熟成済タウンには再開発のさの字もなく、香りすらしません。
評価は安定していて大きく上がりもしません。
よって首都圏全体としてよほど大きく上がり相場にならない限り、ウン百万〜単位の含み益など出るはずがありません。
再開発タワマンであっても、後発が来ない限りは今後大きく上がるかと言われると怪しいと思います。

3. 過大評価な価格がついている場合もある
良いところの節でちらっと述べましたが、再開発タワマンがある街ですと、そのタワマンの特別価格に便乗して、いささか過大評価と思われる価格がついてしまっているマンションも見受けられますので注意が必要です。

⑤熟成済タウンに向いている人

熟成済タウンに向いている人は以下のような人だと思います。
1. とにかくすぐに便利に暮らしたい
これからどんどんものが建って便利になるんです!と言われたところで、そんなの待てないよ!となってしまう人は熟成済タウンに向いていると思います。

2. 再開発タウンの雰囲気が苦手
再開発タウンの都市計画に基づき区画整理された整然とした街並みは工業的すぎて苦手、とかオシャレすぎる街は気が引けちゃう、という人も熟成済タウンに向いていると思います。
良くも悪くも熟成済タウンは有機的に商業が発展していて、人間くさい街が多いです。
こちらの方が好き、という人も多いのではないでしょうか。

3. 短期的に引っ越すつもりがない
そもそも引っ越しが苦手とか、お子様がいらしてある程度は腰を据えて同じ街に住んでいたいとか、勤務地や実家との距離などの都合で検討エリアが限られる、等の理由で短期的に引っ越すつもりがなく、マンションすごろくへの参戦意思がない、気に入った街に腰を据えて住みたい、という人も熟成済タウンに向いていると思います。

4. マンションにばかりお金をかけたくない
一部の異常なマンクラを除けば、マンション以外にもお子様の教育や趣味にお金を使いたいのが普通だと思います。
郊外全般に言えることでもありますが、誰もが圧倒的与信でサクッと都心や近郊の好物件を買えるわけではないのですから、マンションに使える限界の金額を考えた上で、ある程度の日常の生活利便性を取って、熟成済タウンの好物件に住むというのは良い選択だと思います。

5. 熟成済タウンの「ちょうど良さ」が好き
説明不要です。
なぜなら好きな街に住むのが一番だからです。
好きな街に与信的に無理をしなくとも納得のいくマンションを買える、ということほど幸せなことはないと思います。

⑥熟成済タウンでのマンション購入

熟成済タウンにだんだん住みたくなってきた、という方がもしかしたらいらっしゃるかもしれません(?)ので、私が考える熟成済タウンでのマンション購入にあたって重要な事項について以下に記します。
もっとも、熟成済タウンに限らず全てのマンション購入において重要なことにはなるとは思うのですが、念の為(???)

1. 万が一のときすぐ売れる物件かどうかを考える
人生何が起きるかわかりません。
短期的に引っ越すつもりなく買っても、どうしても引っ越さなければならない理由が出てきてしまうことは考えられます。
そのときにすぐ売ってやり直せる物件かどうかは考えてから買うのが良いと思います。
特に熟成済タウンは駅遠に戸建て適地が多い場合があり、それらとの競合に勝てるかがとても重要です。
例えばメゾネットや、駐車場設置率の低い駅遠マンション等は戸建てにお客さんが流れて売りづらいと思います。
好きなものを買えるのはお金持ちだけ、というマンマニ先生の偉大なお言葉を忘れないようにしましょう。
なお、鉄板は駅近大規模…と思って、私は駅近大規模を買いました(しろめ)

2. 残債割れリスクは考えておく
1.に関連して、しっかりエクセル等でシミュレーションして、どの条件で何年住んで売るとどれくらいの残債割れが生じ、何年住めばプラスに転じるか、は考えておいた方がいいと思います。
暴落は予想ができませんが、5〜10%ダウンを見ておけば十分かと思います。
また、一般的な価格低下率は少し調べればわかりますから、それを使ってシミュレーションは回しておいた方が良いです。
加えて重要なこととして、そもそも買おうとしている価格は本当に適正価格か?をしっかり不動産屋さんと相談し、指値が通る可能性も含めて事前に判断しておくのがベターと思います。
当然ながら、高値掴みすればするほど残債割れリスクが高まります。

3. フルレバローンを組まない
1、2にも関連しますが、いまいちなところで書いた通り、含み益ウハウハは期待できません。
基本的にはある程度長期間住むことを前提に考えたいですので、支払いに苦しんで残債割れ覚悟で手放すことにならないよう、返済計画には余裕を持たせておきたいです。
フルレバで組んでしまうと何が想定外のことがあったときに返済が苦しくなってしまいます。
手元キャッシュが厚いとか、最悪どちらかの
義実家と同居する選択肢があるとか、そういう場合を除いてフルレバローンは避けた方がいいと思います。
なお、夫婦どちらも仕事を続けられる見込みが高いなら、ペアローンは問題ない…と思いたいです(?)
不倫や喧嘩をすることなく、夫婦仲良く過ごしましょう(???)

4. 教育環境にはこだわっておく
お子様がいらっしゃる場合、例えばマンションがある地域の公立校が極端に荒れていたり、あるいはあまりにもお受験熱が高い場合、お受験で予想外の出費が生じてしまい、家計に響く可能性があります。
また、お子様がそもそも中受に向かなかったり、希望校に受からず公立に進む可能性もあります。
ですので、事前に検討しているマンションの学区の評判は調べておくことが望ましいと思います。
評判の良い学区のファミリーマンションは安定して需要があり、売りやすい、という観点から見ても、教育環境にこだわっておくのが重要だと個人的には考えています。

5. 通勤利便性にもこだわっておく
購入記でも書いたと思いますが、結局のところは働かないとローンを返すことは出来ません。
ある程度今の職場で働き続けても通勤に支障のない立地を選ぶべきです。
また、始発の設定がある街ですと、着座通勤できるためかなり通勤が楽になると思います。
通勤がしんどくて短期間で売却することになると、やはり残債割れリスクが出てきます。

⑦最後に

ここまで書いてみて、結局あまり熟成済タウンの魅力をお伝えできていない感がすごいのですが、私自身は今住んでいる熟成済タウンにとても満足しています。
人の雰囲気も良いですし、買い物も外食も便利ですし、たまの通勤(基本テレワークなので…)も着座通勤できて快適です。
電車には40分ほど乗るのですが、どうせTwitterするのであまり気になりません。
出張もしやすいです。
毎日通勤の妻も基本的に着座通勤できており、かつ私より電車に乗っている時間は短いので快適だそうです。
郊外で物件価格は抑えられるぶん、仕様の高いマンションを選べましたので、生活もとても快適です。

私個人としては、神戸三宮とその周辺の住宅地の程よい地方都市感にすっかり馴染んで生きてきたものですから、熟成済タウンの適度に栄えて適度にのんびりして適度に賑わっている感じが一番ちょうど良く感じられます。
妻は東京生まれ東京育ちなのですが、郊外育ちのためか私と同じ意見です。
よって当分引っ越すことはないと思います。

無理のあるローンを組んで生活の全てをかけられるほど住みたいと思える街や、再開発の将来性に賭けたい、寄り添いたいと思える街が見つかることは素晴らしいことだと思いますが、私はそこまで情熱的にはなれませんでした。
ですのでチャレンジしすぎず抑えすぎない程度のちょうど良いローンを組んで、ちょうど良いなと感じた街に住んで、とても満足しています。

というわけで、私個人の結論としては、「ちょうど良い」というのが熟成済タウンの一番の魅力かと思います。ということで締めさせてください。
…こんなんでええんか…?

ともあれ、これを読んでくださった皆さんにも、どうか良き熟成済タウンが見つかりますように…!
(おわり)


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