ゲーム紹介「Pokémon LEGENDS アルセウス」

2023年最初の記事。今年もどうぞ御贔屓に。


正月にNintendo Switchを購入した。初期端末の発売から実に6年が経過している。普段はPCやスマートフォン向けのゲームで遊ぶことが多いが、PCに移植されず家庭用ゲーム機でしか遊べないゲームも多く、興味のあるゲーム数が臨界突破してしまったことが要因。

Switchを購入するなら最初にプレイするゲームはこれ、とずっと決めていたゲームがあった。それがタイトルにある「Pokémon LEGENDS アルセウス」(以下、本作と呼称)である。プレイ時間は最終ボス攻略までで43時間。
1年前に発売されたゲームを今更紹介するのか、という想いもあるが、発売当初から追加された要素も加味しての紹介としたい。

☆こんな人におすすめ
・「ポケットモンスター ダイヤモンド/パール/プラチナ」あるいは「ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド/シャイニングパール」をプレイしたことがある人
・「分からないもの」と向き合い、解き明かそうとすることの楽しさを味わいたい人
・しっかりとしたゲームを遊びたいと考えている人


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本作の魅力・評価点として3点を挙げる。


①「異質な存在への理解・共生」というテーマ

本作の最大の目的はすべてのポケモンと出会う(=捕獲する)ことである。その過程で様々な人との出会いや異変の解決を為すことになるが、メインシナリオの完了に必要なのがヒスイ地方で出会えるすべてのポケモンの捕獲である。

しかしながら現代が舞台の歴代作品とは異なり、生息しているポケモンに対しての認識はどのキャラクターもおおむね「人間の生活を脅かしかねない、危険な力を持つ存在」である。
そしてポケモンを捕獲する目的も従来作同様にポケモン図鑑を完成させるためであるが、一匹捕まえただけで様々な情報が更新されていた既存の図鑑と異なり、「図鑑タスク」と呼ばれる様々な追加リサーチ(XX匹捕獲する、特定の技をXX回目撃する、など)をこなすことで初めて完成する仕組みとなっている。すなわち、研究者ですら全く理解が追い付いていない存在、というのが今作のポケモンの扱いである。

本作の主人公の行動範囲は図鑑の更新度合いによって決まるのだが、これはその地に生息するポケモンの実態が分かったことで対処法や向き合い方がわかり、より広い行動範囲で調査が行えるようになっている、という見方もできる。無論、新たに訪れる先の地にも集落があり住人がいたりするのだが、エリアをまたいで行動するキャラクターが主人公などごく限られた人物だけというのは、居住領域以外で身の保証がなされていないということの証左になるだろう。主人公の活躍により、ポケモンとの共生の道が開けた結果が未来のシンオウ地方であると考えれば上記テーマが作品全体を流れていることを理解いただけるのではないだろうか。

ちなみに冒頭のテーマは「人間対ポケモン」だけでなく「人間対人間」の構図にも当てはめることができる。本作には他の土地から移住してきた人々の集まりである「ギンガ団」と昔から土地に根ざした暮らしを営みつつも、神としてあがめるポケモンが異なっておりしばしば争うこともある「コンゴウ団」「シンジュ団」という3つの集団が存在する。価値観のことなる3つの集団の価値観が主人公の行動によってどのように変化するのかも本作シナリオの大きな見どころである。


②過去作と同一の世界観

これはいわゆる「ファンサービス」的な要素である。過去作においても「赤・緑」の三年後が舞台の「金・銀」「ブラック・ホワイト」の二年後が舞台の「ブラック2・ホワイト2」という作品はあったが、過去が舞台となる新作というのは本作が初である。同じ空間が舞台ということでキャラクターやBGMには和(古風)なモチーフとともに「ダイヤモンド・パール・プラチナ」との関連性をうかがわせる要素がふんだんに盛り込まれている。
主人公のメイン拠点であるコトブキムラのBGMにとある町のワンフレーズが盛り込まれていたり、各マップのボス(キング・クイーン)との戦闘BGMにて「より大きな存在」が裏にいることを示唆するようなメロディが含まれていたりと、過去作を知っていればいるほど感慨深さを覚えるような仕掛けに富んでいる。

余談だが、本作の開発元であるゲームフリークは過去作のBGMのアレンジがとても上手だと筆者は考える。聴き比べ動画も有志の手によって上がっているので興味があれば是非調べてみてほしい。筆者のおすすめはこちら


③自分でやりこみ要素を調整できる難易度設定

本作にはゲームが苦手なプレイヤー向けの救済要素がいくつか用意されている。

例えば各マップのキング・クイーン戦においては相手の体力にチェックポイントが存在しており、ゲームオーバーになった場合にも戦闘冒頭からの再戦とチェックポイントからの再戦を選ぶことができ、かつ後者の場合にも特にペナルティが設定されていない。これによって戦闘での詰みを回避する仕組みになっており、筆者もこのシステムに何度も救われている。尚、メインシナリオのクリア後にボスと再戦することができるのでノーミスチャレンジは後からできることを補足する。

他にもポケモンHOMEとの連動により本作に登場するポケモンを他作品から輸送することもできる。これにより本作での遭遇が難しいポケモンの捕獲難易度を大幅に下げることができる。この要素は本作発売当初にはなく、今だから始める利点であると言えよう。筆者はポケモンGOからポケモンを移動することによって20時間近くクリアまでの時間を短縮することができた。
しかしながらこれがゲーム性の崩壊に直結しないのが本作の出来の良さを表していると考える。前述のとおり本作ではポケモンの捕獲≠図鑑の更新であるため、一匹ポケモンを持ち込むだけでは図鑑が完成せず、そのポケモンの繰り出す技の確認などをこなす必要が残る。難易度を下げつつも0にはならないという塩梅の絶妙さからゲームバランス調整の巧さを感じさせられる。


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総評して、ポケモンのナンバリングタイトルにふさわしい出来の作品であると考える。過去作とのつながりからくる懐かしさと、オープンワールド主軸の新しさが見事に融合した名作と言えよう。筆者は未プレイだが、同じくオープンワールド主軸の最新作である「スカーレット・バイオレット」との違いやつながりを考えながらプレイするのも楽しいと思う。
Pokémon LEGENDSシリーズの続編が出るかと言われると難しいところもあるだろうが、今後の展望にも期待したい一作である。


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