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山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第九十六回 70年代のメロウなフォーク・ソング特集


はいどうも。3月12日が誕生日なことでおなじみの山塚りきまるです。

もうこれ96回もやってるんですね。96回もやってると、一回取り上げたことある楽曲かどうかわからなってきますね。まぁもうすぐ30歳になりますからねえ。あ、僕3月12日で30歳になるんですよ。

まあまあまあまあいいんですよ、いい曲は何回聴いたっていいんですよ。だってオレ、アース・ウィンド&ファイヤーの『セプテンバー』、もう1000回以上聴いてるけど未だに感動するもん。初めて聴いたときと同じぐらい感動するもん。いいもんはいいんですよね。『セプテンバー』って9月って意味だっけ? ちなみに僕の誕生日は3月12日ですけどね。

えー、3月12日が僕の誕生日ということ以外はとくに書くこともないんで、最近結構映画観てまして、とくによかったものをここでオススメしておきますね。


・ビールストリートの恋人たち

2016年、『ムーンライト』でアカデミー作品賞を受賞した新進気鋭の監督、バリー・ジェンキンスによる、胸が張り裂けそうなほどの哀しみと幸福が交差するブラック・ムーヴィー。

舞台美術、衣装、音楽、構図へのこだわり方が神がかってますね。もうそのへんの『話は退屈だけど、なんかおしゃれだよね』っていう雰囲気だけでエンディングまでもってくような映画が裸足で逃げ出すっつーか、もうそういう映画が持て囃される時代じゃないですよねー。

あと役者陣の抑制された演技も素晴らしい。なんかつまんねー日本映画とかって、怒るシーンでは怒鳴り散らして、悲しいシーンでは泣き喚いて、あとはボソボソ喋るだけ。みたいな、感情の針がすげえ極端じゃないですか。『仁義なき戦い』じゃないんだからさ(誤解のないように言っておくとこれは『仁義なき戦い』へのdisでは断じてありません。僕は『新・仁義なき戦い』も含めて全部10回以上観てますがアレは素晴らしい映画です。『シン・ゴジラ』が流行ってたときアレと『仁義なき戦い・代理戦争編』との類似を指摘しなかった映画評論家はダメですね。ダメってこたあないけど別に・笑)。

そこ行くとこの映画は凄くて、ほとんど誰も感情を過剰に露わにしたりしないの。無駄にエモーショナルにしてないの。だからこそ逆に怒りとか哀しみがバシバシ伝わってくる。非常に優れた演出です。決してハッピーでファニーな映画とは言えないけれど、明らかにネクストです。ガツーンとなりたい人は間違いなくこれオススメです。


・ラストムービースター

かつて一斉を風靡しながらも今はすっかり落ちぶれてしまった老俳優が、久しぶりに映画祭に招かれて、ウキウキしながら行ってみたら、映画オタクが作ったおたのしみ会レヴェルの映画祭で、『バカにしやがって』ってキレるんだけど、やがてそこでの人々との出会いを通じて自分の過去と向き合うようになり……って映画です。

この映画が凄いのは、主演をバート・レイノルズっていう俳優さんがやってるんですが、その演じるキャラクターがまんまバート・レイノルズをモデルにしたキャラで、つまりセルフパロディ的なことをやってるんですよ。

バート・レイノルズは70年代にアイドル的人気を誇ってて、当時の映画雑誌には必ずグラビアとかポスターがくっついてたぐらいの人気者だったんですけど、若手の台頭によって“過去の人”になっちゃったんです。で、そのあともキャリアはいまいちパッとしないまま(“ブギーナイツ”って映画では大当たりしましたが)老齢を迎えた俳優で、もうまさにこの映画はその生涯をそのまんまなぞってるんですね。ある種メタ的な映画ともいえます。CGで再現した過去の自分との対話シーンとかもあるし。

で、さらに凄ぇのが、これバート・レイノルズの遺作なんですよ。自分の人生総ざらえみたいな映画に主演したあと、亡くなってるの。事実は映画より奇なり。ですよ。あまりにも出来過ぎてる。もはや神の采配としか思えません。ライトだけど非常に味わい深くて良い作品です。なんかサクッと映画観たいけどバカすぎるのとかヘヴィすぎるのはヤだなー。って人にオススメですね。コクがあって良いダシ出てますよ。あと『6歳のボクが、大人になるまで。』の主演のエラー・コルトレーンが出てるんですけど、これあの映画以来初の出演作じゃないかな? ものすごくいい演技出してます。


・劇場版SHIROBAKO

アニメ制作の裏側を描いたいわゆるお仕事アニメですが、『お前らアニメとか観てねえでとにかく何かやれ』っていうアニメでした。俺こんなダラダラくすぶってていいのかな……って日々悶々としてる文化系ボンクラ男子・女子にオススメです。


・人妻くのいち THE MOVIE マン毛まきびし乱れ打ち

そんな映画はない


・ギャルママくのいち THE MOVIE 毒母乳逆噴射

もちろんそんな映画はない


・熟女くのいち THE MOVIE 封印されし49手目の体位

そんな映画あるとか本気で思ってんの? お前ナメてんの?


・3月12日は僕の誕生日

誕生日です。祝ってください。必ず。



というワケで(どういうワケだよ)山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第九十六回は、“70年代のメロウなフォーク・ソング特集”と題して、僕が好きな70年代のメロウなフォークについてツラツラ書き連ねていこうと思います。みんな、ついてきてね!



一曲めは、Johnny Hiltonで『Lexington county』。

78年作。サウスカロライナ州のSSW、ジョニー・ヒルトンの唯一のアルバムです。なんかソロになる前はバンドやってて結構地元では有名だったっぽい。
サウスカロライナっていうと、スワンプ・ロックとかいなたい一本調子の音楽を想像してしまいますが、このアルバムに収められた音楽はあんまそういう感じないです。むしろすごく雑食性が高い上に洗練されてます。

で、この曲、『Lexington county』はその極みみたいな曲ですね。ソウルもフォークもカントリーもブルーズもサイケもジャズもゴスペルも混ぜた結果、ものすごく美しい曲が出来上がってしまったみたいな感じ。『うわー! いい曲!』って思ってるうちに聴き終わっちゃう、魔法みたいな音楽です。自主制作丸出しな音質もいい味出してます。

しかし1978年ってパンクもディスコもテクノもニューウェイヴも百花繚乱のみんなブリブリでバキバキな時代だったんですけど、この時代にこういう音楽やってたのってかなり凄いですね。あらゆる意味で驚異的なアルバムだと思います。



二曲めは、Severin browneで『Beginning To Believe』。

1974年作。セヴェリン・ブラウンさんです。このひとはジャクソン・ブラウンの弟です。“ジャクソン・ブラウンって誰? 吉沢亮なら知ってるけど…”という人はググって欲しいというか、できれば二度とこのnoteに足を踏み入れないでください。お前相当頭おかしいから。兄貴とは顔も声も曲調も似てませんが、朴訥でソウルフルな兄貴と違って弟者はスウィートかつアーベイン、洗練されたグルーヴが大変魅力的であります。

ていうかこの曲フォークなの?

フォークじゃなくない?

わかったもういいよ!!!!

私出家する!!!!!

瀬戸内寂聴んちの子になる!!!!!!!




三曲めは、Jeff Harringtonで『For Grandmother』。

1975年作。ミネアポリスのSSW、ジェフ・ハリントンの1stアルバムでございます。柔らかいギターの音色と語りかけるような歌声はとても優しくハートウォーミングで染み渡ります。こういうソウルっぽい要素入ったフォーク僕めちゃくちゃ好きなんですよ。


めちゃくちゃ好きなんですよ!!!!!!(クソデカ大声)



プレAORと括られて語られることもある盤ですが、その飾り気のない不器用なロンリネス&メロウネスはAORと呼ぶにはあまりに朴訥すぎます。

ちなみに2ndは打って変わってジャズやボサノヴァやソウルをもっとガッツーンと取り入れた分厚い音作りのアルバムになってます。こちらも大名盤。




四曲めは、金延幸子で『春一番の風は激しく』。

1972年作。金延幸子様です。出た〜〜〜〜〜〜って感じですね。もうこれに関しては何も言えないですよ。全人類はこの歴史的名盤の前にはただひれ伏すのみですよ。国産アシッド・フォークの金字塔的大傑作でございます。プロデュースはなんと細野晴臣

確か発売当時全然売れなくて、90年代にオザケンがインタビューで激推しして、そんでCDで再発されたんじゃなかったかなぁ? 逆だっけ? どっちでもいいか。

とにかく詞もいいし曲もいいし演奏もいいし歌声もいいし、しかも全曲いい曲という、もうどうしようもないアルバムですね。これほど完璧なファースト・アルバムってユーミンの『ひこうき雲』ぐらいしか思いつかないです。

花の匂いや街の景色まで浮かんでくるような詩情や、普遍不朽の儚くも美しいメロディ、気高い歌声。

個人的には青葉市子さんや寺尾紗穂さんの先駆であると思っております。

バックを固めるのは細野晴臣鈴木茂林立夫というティン・パン・アレー組、エンジニアは天才・吉野金次という恐ろしい布陣であります。リリース当時、金延幸子は24歳だったというのもまた恐ろしい。

なんかねー、このアルバム、畏怖を感じるんですよ。畏怖って怖いのとまたちょっと違うの。『もののけ姫』のシシ神様初めて観たとき、なんかフツーの“こわい”とちょっと違う“こわい”感じませんでした? あれが畏怖です。ものすごく大きな力に直面したときの、こわくて、なつかしくて、祈りたくなるような感じ。

このアルバムに僕は畏怖を感じます。

神の気配がするアルバム。

てかこれメロウとかとはまたちょっと違くない?

これメロウとは呼ばなくない?

わかったもういいよ!!!!

私出家する!!!!!

瀬戸内寂聴んちの子になる!!!!!!!






はい、というワケでいかがでしたでしょうか、山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第九十六回 70年代のメロウなフォーク・ソング特集、そろそろお別れのお時間となりました。次回もよろしくお願いします。お相手は山塚りきまるでした。3月12日は僕の誕生日です。誕生日プレゼントください。


愛してるぜベイベーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!


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