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山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第八十二回 深夜徘徊にピッタリな音楽特集part2


はいどうも。



以前、こういう特集を組んだんですけど、思いの外反響があったので、二匹目のドジョウを追うかたちで第二弾をやってみようと思います。なんか『夜っぽい音楽』って好きなんですよ僕。そういう曲なら7兆曲ぐらい知ってるので、このシリーズは定期的にやっていこうと思います。やっていきを、やっていく。

というワケで、山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第八十二回は“深夜徘徊にピッタリな音楽特集part2”と題して、深夜徘徊にオススメな珠玉のメロウ・ミュージックをご紹介したいと思います! みんな、ついてきてね!



一曲めは、ロイ・エアーズで『キープ・オン・ウォーキング』。


ジャズとファンクを繋ぐ架け橋的存在のヴィブラフォン奏者、ロイ・エアーズの1976年の大名盤です。これはもう定番っちゅうか、マスターピースですね。

ハウスやディスコを飛び越えて、ネオソウルの到来まで予見していたようにしか思えない煙たく妖艶なメロウ・サウンドは、まさにナイト・ハイキングにうってつけであります。とろけるような多幸感に溢れたサウンドの中で『歩き続けなくっちゃ』と歌う、スピリチュアルで、切実さを孕んだこの曲の詞は以下のようなものであります。私の拙い意訳ですが目を通しながら聴いてみてください。


歩き続けなくっちゃ
愛する人のもとへ
空っぽの家が 危険にさらされてる
あなたと生きてゆきたいんだ
落ち続けていくような気分
どこかの誰かのところへ
ほんものの たったひとつの帰るべき場所
僕はそれをずっと探し続けてるんだ
どれだけ待たされたとしても 全然気にしてないよ
この世界のどこかにあなたがいるから
本当に悲しいことなんかひとつもないよ
ただ僕が見ないようにしているだけだけど
そして 時間は僕らのそばに寄り添う
ただ なんとなく僕らは話していたんだ
君みたいな誰かと
孤独だけど 僕は君を愛してる
そして歩き続けてる
ねえ、ベイベー
愛してるよ 君が必要なんだ
歩き続けなくっちゃ ああ 歩き続けなくちゃいけない
歩き続けなきゃならない
愛する人のもとへ
僕の信仰と 君の現実が
そこで待ち続けている




二曲めは、カフカで『カフカ・アンセム』。



これカフカっていうオーストラリアのバンドで、正規に世界中でリリースされたのが2013年とかなんですけど、実際には2008年リリースなんですよね。

ハイエイタス・カイヨーテとかムーンチャイルドなんかの、ジャジー・ヒップホップとアフロビートを混ぜた感じのネオソウルを完全に先取っています。このバンドはエグみの残し方が絶妙なんですよ。灰汁をちゃんと取ってないし、雑味が多い。このアルバムのどれ聴いても構成がカチッとしてないっていうか、すんごいセッション感あるんですよね。実際これ、ほとんどセッションだと思います。曲によって全然印象も違うし、整理されてないの。だから埋もれちゃったんだと思うんですけど、ホントに素晴らしいですね。

夜に合う音楽って大体にして部屋感っていうか、鳴りが意識されてて、楽器の配置がすごく立体的なサウンドだったりするんですけど、カフカはまさにそういう感じですね。二枚アルバムが出てますがどちらも大変な名作です。聴いてみてください。




三曲めは、ブラッド・スタンクで『ポンド・ウィード』。


リヴァプール出身の煙たいジャジー・ポップばっか作ってるSSW、ブラッド・スタンクです。

ダッルいですねー。ダルくて気持ちいい。聴く温泉です。いわゆるマック・デマルコ以降のインディR&Bの系譜なんですけど、この人はもう無気力さ加減が群を抜いてるんで、ツルーッと聴けちゃいますね。

マリファナばっかり吸ってるダルダルなダメ男を描いた(笑)この曲の歌詞は以下のようなものです。例によって私の意訳ですが、ぜひ目を通しながら聴いてみてください。


いっつも吸ってる大量のマリファナ
大量のマリファナ
大量のマリファナ
君とキメたい
いっつも吸ってるクソ最高のマリファナ
君とキメたい

君のこと考えてた
いつも君の相手をしてあげられてない
俺は怠け者だから
これからも君を泣かせまくるだろうな
これは最高の愛かもしれない
だけど 俺には他に夢なんかないんだよ

いっつも吸ってる大量のマリファナ
大量のマリファナ
大量のマリファナ
君とキメたい
いっつも吸ってるクソ最高のマリファナ
君とキメたい

君のこと考えてた
いつも君を愛してあげられてない
ずっとタンパク質の日陰
俺がキマると君は失望する
考えられるのはA、B、Cのコース
だけど 俺には他に夢なんかないんだよ



四曲めは、ディオンヌ・ファリス&チャーリー・ハンターで『ユー・アー・ゴナ・ニード・ミー』。



女性ソウル・シンガーのディオンヌ・ファリスと、ギタリストのチャーリー・ハンターがデュオでリリースした、ディオンヌ・ワーウィックのカヴァー・アルバムです。

チャーリー・ハンターは、上三本がベース弦、下五本がギター弦になっている特注の8弦ギターで、ベースラインを弾きながらバッキングとリードも弾くというとんでもねえ野郎です。ベース弦はベースアンプに、ギター弦はギターアンプに繋がれています。

この曲は、モータウンの名作曲チーム、ホランド=ドジャー=ホランドによって書かれたクラシックなんですけど、チャーリー・ハンターの名演によって激メロウに仕上げられています。まさに夜に聴きたい音楽って感じですね。コーヒーを淹れよう。

『幸せの時』と言う邦題がつけられたこの楽曲の歌詞は以下のようなものです。例によって私の意訳です。我ながら名訳だなあこれ(笑)。


あなたは私をまた抱きしめたいって思ってる
あなたはいつか私に会いたくなるよ 
あなたは私をまた抱きしめたいって思ってる

きっとある日
あなたは私をまた抱きしめたいって思うよ
失ってみて あなたはようやく目を覚ますはず
さびしさをたっぷり味わうはず
好きなひとをぎゅっと抱きしめられないとき
時間をちょっとだけ巻き戻したいって思うはず

強がるのはやめて 現実を受け入れなよ
雨が降っているんだから その準備をしなくっちゃ
やさしさと愛情を与えるんだよ
私がやったみたいにさ

あなたは私に会いたくなるよ
あなたはいつか私に会いたくなるよ
あなたは私をまた抱きしめたいって思ってる

失恋したのは誰?
物語はもう終わったのに まだ続けるつもり?
あなたの空にかかってた虹は 全部灰色になったよ
時間をちょっとだけ巻き戻したいって思ってるでしょ

強がるのはやめて 現実を受け入れなよ
雨が降っているんだから その準備をしなくっちゃ
やさしさと愛情を与えるんだよ
私がやったみたいにさ



せつねー。最高。

というワケでいかがでしたでしょうか、山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第八十二回 深夜徘徊にピッタリな音楽特集part2、そろそろお別れのお時間となりました。次回もよろしくお願いします。外出禁止令が出されておりますが、雑踏を避ければ怖いものなし、ひとっこ一人いない夜の街を彷徨いましょう。それではまた、お相手は山塚りきまるでした。



愛してるぜベイべーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!



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