Making Of The Pops 〜小説にライヴはあり得るか?〜 を終えて
去る7/16~23日、代官山のDINER$ CLUBというギャラリーにてMaking Of The Popsというイヴェントをやりました。
wreckpack氏、Yuki Oshimi氏という新進気鋭のクリエイター両氏との合同展つーことでビクビクしておったんですが(なんせインスタのフォロワー数のケタが2つ違う。文字通りのケタ違いだ)、両氏ともにグッド・ハートのナイスガイでありまして、右も左もわからない/おうちを聞いてもわからない/名前を聞いてもわからない/唯一わかっているのは右利きでうお座の元農家であるということのみのオレにも、大変気さくに接してくれたのでした。
さて当イヴェントで僕がやったのはLIVE WRITINGであります。
期間中、オープン/クローズまで在廊し、ひたすら小説を即興で書き続ける。
“来場者からワードを募り、そのワードを小説内で必ず使用する”ルールで。
そして最終日までに作品を完成させ、販売する――という試みです。
『小説にライヴはあり得るか?』という趣旨のこの企画、果たして完成させることができるだろーか、いやそもそもこんな酔狂に参加してくれる人などいるのだろーか……とワタクシ戦々恐々としておりました。
不安のあまり、金玉にヒアルロン酸を注入してシワを無くそうかとまで思い詰めていましたが(何でだよ)、なんと52名の方がワードを寄せてくださいました。初日にいらした青年が寄せてくれた最初のワードが『LOVE』だった時点で、オレはこの企画の成功を確信しました。なんの根拠もなく。
その52個のワードを組み込んで、総文字数18,840字の小説が完成しました。
この企画にご参加いただいた52名の方々に、この場を借りて深く御礼を申し上げます。
文庫本でいえば30ページ程度のこの小説のタイトルは『POPS(日々のour)』といいます。
東京を舞台とした掌編が連なる全5話の群像劇でありまして、リレー形式で進行してゆく物語です。
第一話は、とある有名ミュージシャンの引退記者会見から始まり、第二話はその会見をTVで観ているふたりの男の会話劇、第三話はその男たちがいるアパートの外で別れ話をしているカップルの押し問答……といった具合に。
面白いかどーかはさておくとして(個人的にはマジで超面白いと思ってるけど)、この企画をやらなければ絶対に書けなかった小説であることはまちがいなく、来場者の方からいただいたワードが、思いもよらぬ展開へと導いてくれた瞬間が何度もありました。
『オレは自分が次に何を演奏するか知りたくないんだ』とはレッチリのフリーの言葉ですが、“うわ、うわ、うわ、ヤベえ! これどうなっちゃうんだろう!?”と思いながら、僕は一週間、小説を書き続けました。
興奮と焦燥が入り混じるジャズのセッションの如く。
まあそうですね、一週間にわたるLIVE WRITINGの感想をひとことでまとめますと、めちゃくちゃキツかったですね。
超大変だった。
すげえ大変だった。
死ぬかと思ったね、リアルに。
ていうかそもそも小説とか一週間で書くもんじゃねーから!
どんなワードが来ても作中に組み込まなきゃいけないしさ!
マジ荒行!!
まあ提案したのオレなんだけどさ!!!
もう毎日『キチー』とか『ツレー』とか『腰イテー』とか言いまくりながら小説書いてましたよ、ひとりで。カタカタカタカタ。汗ばむキンタマもそのままに。
でも改めて『オレはマジで文章を書くってことが、ホントに好きで好きでたまらないんだな』と思いました。キチーしツレーし、腰もイテーんだけど、それでもやっちゃう。
家に帰ってからもプロット見直したり資料確認したりして、朝まで作業してました。
そこまでやんなくてもいいのかもしんないけど、どうしてもやっちゃう。
金になるとかなんないとか、才能があるとかないとか、もうそういうレベルを余裕で飛び越えて、オレは文章を書くってことがどうしようもなく好きなんだなって思った。
ナチスの強制収容所の生き残りであるヴィクトール・フランクルって精神科医が、『人生に何かを期待するのではなく、人生が自分に何を期待してるか考えろ』つってるのですが、オレが人生さんサイドに期待されているのはきっと、“おもしれー話を聞いて、おもしれー話をする”ってことなんだなって思った。
オレは自分のことを『SF作家』と自称しています。SFっつうのはScience Fictionの略ではなく、SoulFulの略です。Science Fictionは科学を扱いますが、SoulFulは奇跡を扱います。思わず笑っちゃうような、あつくるしい愛の奇跡を。
オレの父親は四年前に病気でくたばりましたが、最期の夜、ほとんど寝ずにつきっきりで看護する母親に『オレは今日はまだ死なないから、寝ろ』といって、母親がうたた寝しているスキに死にました。
その話を母親から聞いたとき、オレは温かな気持ちで笑いました。『ウソとかつく人じゃなかったのにねー。よっぽど死ぬところを見られたくなかったんだろうね。猫じゃねえんだから。へへへへ(笑)』とかいって。
それから少し黙り込んで、それから少し泣いて、それから全身で祈り、感謝しました。何かを、誰かに。深く、心の底から。
『オレは今日はまだ死なないから、寝ろ』と言って死ぬ——オレが考えるSoulFul小説とはまさにこういうモノなのです。
ありったけの愛を込めたウソで描く真実。
うるっさくてしつっこくてコッテコテで、笑っちゃうぐらい暑苦しいんだけど、でもなんかすげえ感動するみたいなお話。
オレはこれからも小説を書き続けます。父親が今際の際に放った、一世一代のSoulFulのような、心振るわすサムシングを生み出すべく。
長々と書き連ねてしまいましたが、改めまして、
こんなボンクラ野郎と仲良くしてくれたwreckpack氏とYuki Oshimi氏、
世間話に付き合ってくれた上にイカしたTシャツまでくれたLEE氏、
激忙にもかかわらず会場準備やフライヤーデザインに至るまで企画の進行をメーンで取り仕切ってくれたオカモトレイジ氏、
ギャラリーを快く貸してくださった上に焼肉まで奢ってくれた野村訓市氏、
Saturdays NYC Tokyoの皆さん、
『POPS(日々のour)』にワードを寄せていただいた皆さん、
ご来場いただいたすべての人に、心からの心を込めて、深く感謝いたします。
最後に、『POPS(日々のour)』に寄せられた52個のワードをご紹介します。この52個の言葉をすべて使用して書いた小説『POPS(日々のour)』は、ワタシが発行する雑誌『T.M.I』の第二号に掲載いたしますので、どうぞお楽しみに。
●五月雨JAPAN(kenchan)
●愛(京介)
●Love(fkm)
●ポケモン(陽斗)
●アチャモ(レン)
●グミ(どりみ)
●スペースシャワー(サワダ)
●光(あおい)
●サッカー(竹内隆平)
●TACOS(NOA)
●おっきい犬(どりみ)
●練馬(オカゲン)
●大仏(周二郎)
●汗かき(かなえ)
●アオハライド(ふうか)
●せみ(猫座)
●麦茶(YO-KING)
●菊地成孔の粋な夜電波(薮内ハヤト)
●新潟(043)
●キングコング(林)
●Gスポット(井上太翔)
●洗濯バサミ(片桐まれみ)
●プリキュア(珠来)
●うなぎ(みおちゃん)
●♡(ポコ吉)
●ナイアガラ(漢・鎌田)
●キング・モモキング(kaias)
●brat(SAM)
●Nitrate(キイリョウタ)
●アイリーン(しゅ)
●ハンマーヘッド(平山然都)
●スケシン(羽月)
●オカモトレイジ(りゅー)
●ヤマダミドリ(シフト)
●誰にも教えない(スギモトメグミ)
●修学旅行(西留)
●白檀(shohei)
●SOLD(れっぷりちゃん)
●ドラマチックなトランクス(ワタナベタイト)
●レイドバック(KDI)
●なぎさ(ヒヨリ)
●クレーター(大江湊)
●PLADA(TOMMY BOY)
●0.001%(ニシヤマハルキ)
●サニーデイサービス(sachimakashi)
●盆おどり(高橋永利香)
●ピアノ教室(sho)
●扇風機(Gong)
●ミラーボール(壁)
●多肉植物だらけの温室(KONO THE SUCCULENTIST)
●サマージェットラブ(ジェットセイヤ)
●39度(idarin)
※●がワード、カッコ内が氏名。
順不同・敬称略。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?