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山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第104回 サブスクでは聴けないソウルミュージックの隠れた名曲特集


はいどうも。

今日は“サブスクでは聴けないソウルミュージックの隠れた名曲特集”と題して、ApplemusicでもSpotifyでも聴けないソウルミュージックの隠れた名曲をご紹介していきたいと思います。

もし聴けたらごめん! 超ごめん! マジ謝る! 




一曲めは、Danniebelle  Hallで『Life Begins With Jesus』。

ゴスペル・シンガー/ミュージシャン、ダニーベル・ホールのファースト・ソロ『ダニーベル』の一曲目ですね。1974年の作品です。この曲も含めて収録曲の大半はダニーベル・ホールのペンによるもので、彼女の素晴らしい作曲能力を存分に味わえるアルバムです。

こういう曲のこと僕『ミラクル系』って呼んでるんですけど、この曲は2分ちょっとの間に軽く100回はミラクル起こしてますね。

およそゴスペル・ミュージックだけが持ち得る、胸の底からこみ上げる高揚感とでもいうべきものがりんりん溢れていて大変ナイスです。プロデュースはゴスペル・ソウルの大御所、アンドレ・クラウチ。バックも素晴らしく、ギターでデヴィッド・T・ウォーカー、ピアノでジョー・サンプルなどが参加しています。素晴らしいサックス・ソロを聴かせているのは名手アーニー・ワッツ。

ダニーベル・ホールは今の500倍ぐらい知られてもいいと思いますね。




二曲めは、Earth Disciplesで『Spirit Of The Bells』。

平均年齢19歳の四人組ジャズ・ファンク・バンド、Earth Disciplesが唯一残したアルバム『GETAWAY TRAIN』からの一曲です。

1970年作。

プロデュースはデイヴ・ペル。アート・ペッパーとかジョン・ウィリアムズをフックアップしたジャズ・ミュージシャンですね。弟子のジョン・ウィリアムズが映画音楽で大成する一方、ご本人は『シャーキーズ・マシーン』っていう80年代のB級アクション映画の音楽とか作ってました。いい映画ですけどね、シャーキーズ・マシーン。

ルディ・レイドによるエレピがメロウ極まりない逸品ですが、これ一枚残したっきり消えちゃってますね。これ1970年の作品って何気に結構凄いことで、当時のブラック・ミュージックっちゅうと、ファンクとフュージョンの黎明期であり、コーラス・グループ全盛期であり、作曲から歌からプロデュースまで全部一人でやるんだっていうニュー・ソウルの登場前夜って感じだったんですけど、このレイドバック感覚って当時なかったと思うんですよね。

揺らぐようなメロウなインストを演奏して、『うわー気持ちいい』って陶酔するような感覚って、当時のブラック・ミュージックにあんまなかったと思うんです。ロイ・エアーズとかそんぐらいかなぁ? 

まぁだからあんま売れなくてこれ一枚で終わっちゃったワケですけども。

そういう意味合いにおいて大変先進的なアルバムだったと思いますし、それを平均年齢10代のバンドが作り上げたというのが驚愕に値しますね。ちなみにベースとドラムは兄弟みたいです。




三曲めは、Richard Popcorn Wylieで『E S P』。

リチャード・ポップコーン・ワイリー、このひとはモータウンお抱えのバンド『ファンク・ブラザーズ』のメンバーであり、モータウンの最初のA&R(会社の責任者的な職務)だったひとです。

高校時代にジェームス・ジェマーソン(エレクトリック・ベース史で最も偉大なプレイヤー。と言い切ってしまってもいいほどの大変なベーシストです)とバンドやってて、そっからスカウトされてモータウンに入社したのね。

で、モータウンがガッツーンと世界中に打って出る直前、1962年に独立して、そっから色々レーベルを転々とした末に、1974年にABCレコードから初のソロアルバム『エクストラセンソリー・パーセプション』を出すんですけども、これはその収録曲です。で、このアルバム、若い頃から色々なところを渡り歩いてきたキャリアによるものか、参加メンバーがとにかく凄まじいんですね。

ちょっと挙げてみると、ギターがデビッド・T・ウォーカーにデニス・コフィーにワー・ワー・ワトソンにレイ・パーカー・Jr、ベースがジェームス・ジェマーソン、ドラムがジェームス・ガドソン、サックスがアーニー・ワッツ、作曲がラモン・ドジャー、編曲がジーン・ペイジなどなど、もう全員大変な売れっ子、腕っこきのスター・プレイヤー勢揃いです。

1974年のブラック・ミュージックで考えられうる限りの最高のメンツを揃えたような布陣です。

まさにアヴェンジャーズです。

でもこのアルバム、あんま売れなかったんですよ。内容も最高なのに。

多分、ですけど、主役の不在感が一因になってるんじゃないかとは思いますね。もう片っ端から豪華メンバーを揃えた結果、他ならぬリチャード・ポップコーン・ワイリー本人が“食われて”しまったことが、いまいち売れなかった原因だと思います。

だって正直こん中で一番知名度低いのダントツでリチャード・ポップコーン・ワイリーだもん。

たとえば共演がブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオ、トム・クルーズ、ロバート・ダウニー・Jr、マーゴット・ロビー、スカーレット・ヨハンソンで、主演がえなりかずきの映画があったら、絶対その映画ヒットしないじゃないですか? 

オレはその映画絶対前売り券買って観るけどね。なんなら前売り券100枚買って身内に配りまくるけど。でもこのアルバムめちゃくちゃ良いですよ。なお、リチャード・ポップコーン・ワイリーは不遇の70年代を送りましたが80年代に入ってから再評価を受けております。




四曲めは、Attitudeで『Pretty Little Girl』。

あれ? これ紹介したっけ? してない? まぁどっちでもいいや。

コールド・ブラッドの日系人ギタリスト、マイケル佐々木が率いていた、シングル一枚で解散しちゃったファンク・バンド、アティチュードでございます。

1980年作。

ディスコがまだギリで幅効かせてた時代にリリースされたシングルだけあって、全体的にフロア仕様のファンク・ロックって感じですね。

これダサ泣けるんですよ。ダサいし、泣けるし、めちゃくちゃ暑苦しい(笑)。70年代の刑事ドラマみたいなイントロからしてもう泣ける(笑)。ギターのオブリとかもう最高だね(笑)。胸熱ファンク・ロックですよ(笑)。ちなみに作曲はマイケル佐々木。マイケル佐々木最高。圧倒的に支持する。




はい、というワケでいかがでしたでしょうか、山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第104回、サブスクでは聴けないソウルミュージックの隠れた名曲特集、そろそろお別れのお時間となりました。次回もよろしくお願いします。お相手は山塚りきまるでした。



愛してるぜベイベーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!

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