山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第102回 聴かずに死ねるかソフトロックの名曲特集
はいどうも。
最近、部屋で全裸になってaiko爆音でかけて泣きながら踊り狂うのがオレの中でブームなんですけど、みんなはこんなオレをどう思う?
こんな30歳無職独身(連続無職歴15ヶ月)をどう思う?
え?
終わってると思うって?
バカヤロー!
ふざけるんじゃないよ!
まだ続いてんだよ!
まだBメロも始まっちゃいねえんだよ!
こっからいいサビがくっからマジで!!
いや、っつーかaikoまじいいね!
最近サブスク解禁されたから聴いてんだけど、もう最高すぎて一日中ずっとaiko聴いてるね。
aiko聴いてるとなんか恋してる気分になるね。
たとえばさ、東京事変を聴くときに椎名林檎になりきって聴く人って結構多いと思うし、ミッシェルガンエレファントを聴くときにチバユウスケになりきって聴く人も結構いると思うんですよ。
だけどaikoの曲はさ、aikoにはさせてくれないんですよね。
自分がaikoの曲そのものになってしまう。
自分が歌手ではなく、楽曲そのものになってしまうというのは凄い体験ですよ。
aikoの曲なんて言っちゃえばアレンジ以外全部同じだし(だからこそ素晴らしい)、全部半径5メートルのラブソングでしかないんだけど、聴く人間全員をその半径5メートルの世界に巻き込んでしまう。
切ない片想いであったり、幸福な抱擁であったり、擬似的な恋愛体験をさせられてしまう。
これはもう真のジャズシンガー、ソウルシンガー、ブルーズメンしか持ち得ないような資質です。とにかく歌に移入させる力がハンパない。
チバユウスケってaiko好きなんだ〜とか、菊地成孔ってaiko好きなんだ〜とか、ポップス畑以外のミュージシャンが『好き』って公言すると意外に思われることが多い人ですけど、ぜんっぜん意外じゃないですね。あんなもん誰聴いたってヤバいもん。久保田利伸かaikoかっていうぐらいの日本屈指の歌唱力の持ち主ですよ。音程エグすぎるもん。歌の語法がマジでブルーズとかジャズなんですよ。
aikoがサブスク解禁したのって、“小袋成彬が海外のブルーズ好きの友人にaiko聴かせようとしたらサブスクになくて聴かせられなくて悔しかった”ってエピソードを知ったかららしいですけど、小袋成彬がブルーズ・メイニアにaikoを聴かせようとしたっていうのは痛いほどわかりますね。aikoってそういうブルーズ的な、真っ黒な要素が含有されてんですよね。
まぁ結論、aikoはヤバい!
あと散々聴いといてこんなこと言うのもなんだけどサブスクのaiko音悪くないか!?
『BABY』とか結構ヤバい音してないか!?
大丈夫か!?
これまじでちゃんとサブスク向けにデジタル・リマスタリングしてんの!?
まぁとにかくお前らこんなnote読んでる暇あったらaiko聴け!
aiko聴いて踊れ!!
というワケで(どういうワケだよ)山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第102回は、“聴かずに死ねるかソフトロックの名曲特集”と題して、聴かずには死ねないソフトロックの名曲群をみなさんと共に耳を傾けていきたいと思います。みんな、ついてきてね!
一曲めは、テレグラフ・アヴェニューで『ハッピー』。
南米ペルーのソフト・ロック/ソフト・サイケバンド、テレグラフ・アヴェニューによる1971年の楽曲であります。
ソフト・ロック・ファンのみならず、辺境ロック・マニアやサイケ人、60sポップス愛好家など幅広い音楽ファンの心を掴むナイス・チューンですね。泣けまくる。
リーダーはボー・市川という日系人の方で、この人が中心になって結成されたバンドなんですが、彼がサンフランシスコでヒッピー文化にズブズブ浸かっていた際に住んでいた場所がテレグラフ・アヴェニュー・ストリートで、そっから取ったバンド名らしいです。もともと住んでた自分の町をバンド名にするって凄いよね。だって『富良野』ってバンドとかいないだろ普通。
ちなみにこれファーストの収録曲なんですが、他の曲もめっちゃくちゃいいんでぜひ聴いてみてください。
二曲めは、エライザ・ロメロで『Sei Sbagliato E Non Lo Sai(読めねー・笑)』。
ヴェネズエラの作・編曲家アルデマード・ロメロの愛娘、イライザ・ロメロの1972年作でございます。
そこはかとなく昭和歌謡やフレンチの香りも漂う、ドラマティックな高揚感がこみ上げる無国籍なグルーヴが何ともまたナイスですね〜。アレンジャーをつとめたのはもちろん実父であらせられるアルデマード・ロメロ。
ただの娘可愛さの親バカでも、七光り満載の二世タレントの仕事でもなく、両者ともにがっぷり組んでこの素晴らしい楽曲を作り上げています。
これファーストの収録曲なんですけど結構売れたっぽくて、このあとも二枚アルバム出してるんですけど、そちらも非常にクオリティの高い盤なのでぜひ聴いてみてください。
三曲めは、ジグソーで『フー・ドゥー・ユー・シンク・ユー・アー』。
ジャッキー・チェンも頭が上がらないという香港映画界の超サグなギャングスタ俳優、ジミー・ウォング主演のカンフー映画の主題歌『スカイ・ハイ』のヒットで知られるイギリスのロック・バンド、ジグソーでございます。
ていうかこの人たちこれ以外にヒット曲ないから一発屋扱いされること多いんですけど、めちゃくちゃいい曲いっぱいあるんですよ。とくにこの曲は隠れた名曲だと思います。キャッチーなメロディと美しいコーラスワーク、豪華で分厚いアレンジがもうたまんないっすね。イントロのピアノから腰砕けます。
四曲めは、ギィ・キャベで『A M'VWEZENE』。
ベルギーで一番有名な(らしい)ヴィブラフォン奏者/作編曲家のギィ・キャベが1978年にリリースしたファースト・ソロでごぜーます。
これ聴いたチェット・ベイカーが『ベルギーのジョアン・ジルベルト』と絶賛を寄せた通り、ボサノヴァに軸足を置いたソフト・ポップ満載の名作です。
よくレコ屋の人とかが『捨て曲無しの大名盤!』とかポップに書いて客を煽り立てるじゃないですか、あれ98パーセントはウソなんですけど、これはもう天地神妙にかけて捨て曲無しの大名盤ですね。そしてその中でも屈指の名曲がこの『A M'VWEZENE』ですよ。
ユニークなワロン語(ラテン語から派生したベルギーの一地方で使われている言語です)の響き、“お前わかってんな!”って感じの洒脱な演奏(バックはベルギーの一流のジャズメンたちです)、そしてぬくもりに溢れた優しい歌声と、胸キュン必至のメロディ。もうしとっつも言うことないですね。最高ですよ。
決して派手さはないけれど、一生聴ける名曲です。
ちなみにこれ以降のアルバムも最高ですよ。これとか。
はい、というワケでいかがでしたでしょうか、山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第102回 聴かずに死ねるかソフトロック名曲特集、そろそろお別れのお時間となりました。次回もよろしくお願いします。お相手は山塚りきまるでした。
愛してるぜベイベーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
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