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「逆張り」と「順張り」

 標記のような言葉があること、知らなかった。
 世の中には逆張り君と順張り君がいるらしい。
 国語辞典編纂者の飯間浩明さんへのインタビュー記事を読んでそう思った(朝日新聞2022 年5月28日)。

 逆張りというのは、飯間さんによれば、元来は証券業界の用語で、値の下がった株を今が好機とばかり、あえて買うことを指すらしい。

 経営の分野では「世間の常識や主流と反対の策をとること」を言う。

 「誰も価値を認めないことを、(いい機会だと思って)あえてすること」、さらには「他の人々と逆のことをあえてすること」を指すようだ。

 そういう逆張り君は昔からいたと思うが、私自身も、そう言えば、中高生の頃から20代半ばまでころまで逆張り君だったのかもしれない。
 人がいいと言うものにはあまり価値を認めず、そんなものはたいしたことなく、これを知らなきゃダメだみたいな議論はしょっちゅうしていた。

 逆張り君は、変わり者とか変人と言われて、昔からいたように思うが、あくまで、少数派だった。

 しかし、今のネット空間では、「逆張り志向」が強まっているというのが飯間さんの見方である。

 「SNSの中では、常識的で穏当な意見は埋没しがちです。」

 従って、ちょっと変わったことを言って人目を引き、個性的に目立とうとするらしい。…

 すると、私のようなへそ曲がりは、それも面白くなくなり、「順張り」君になる。そういうのが、私の理解では「順張り」という意味らしい。最初から素直な順張りでは、本当の順張りではない。ただの優等生的生き方だ。
 
 逆張り君を経験した後、本当の順張り君に変身するのだ。
 まずは正統なものを知らなければダメだと、順張り君になるのである。

 結構、これは不経済で大変な生き方だが、一通りの勉強をしなければならないから、身につくことも多いはず。ただの逆張り君やただの順張り君である優等生ではダメなのだ。
 
 順張りに逆らう逆張り、その逆張りに逆らう順張り。そしてまたまたの逆張り。ぐるぐる目まぐるしい。スパイのスパイのスパイの…みたいで、だんだん自分の人格が何だか分からなくなってしまうよ。おいおい、大丈夫かいと自分自身に問う。
 
 やっぱり、シンプルに生きよう。逆張り君か順張り君、どちらかでいいよ。

 何れにせよ…結局、人の生き方は見せかけでなく、深さなのだよね。それは見る人が見ればすぐ分かるものなのだよ。すぐ、見破られてしまうものだった、のだよね。

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