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いめとれ

宝くじが当たったら、と考える。きっとアレモコレモと買ってしまうだろう。でもその前に、まず、捨てる。落ち着け。わたしにはお金があるんだ。だから買い替えられるものは全部捨てて、心機一転、新しい生活を始めようじゃないか。

貧乏くさいプラスチックの衣装ケースを捨てよう。いっそ中身も捨ててしまおう。結婚したときに買った無印のベッドも、Francfrancのソファも、もうすっかりくたびれている。とりあえず必要だからと買った、味も素っ気もないハンガーラックも、捨てるのがもったいないからと人からもらった食器も全部捨てる。そして必要最小限のものだけ買う。

まだ使えると思って取っておいたバッグや、いつか着るだろうと思っていた服も、もう全部いらない。これからの人生、たとえ痩せたとしても、その服はもう似合わないし、バッグのデザインも古い。キャンペーンでもらったロゴ入りのグラスとか、クリーニングから戻ってきたときのワイヤーハンガーとか、そういうものを家から追い出す。

吟味に吟味を重ねて、気に入って使い続けられるようなものだけ買う。そして、大切に手入れをしよう。わたしの暮らしは洗練されるだけでなく、すっきりと生活しやすくなるはずだ。

あれ?これって、お金がなくても、今やってもいいんじゃないの?ベッドやソファは最後まで取っておく案件としても、もう着られない服や、ノベルティのグラスなんて、なくてもいい。いつかは使うかも、と取っている小包用のパッキンや、スーパーのレジ袋、もう使わなくなった調理道具。他にももっと、処分していいものがあるだろう。

お金持ちになってから始めるより、お金がなくても今からその準備をしていてもいいのではなかろうか。そう思うと、掃除の仕方も変わってくる。

おっと。まだ宝くじを買ってなかった。




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