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山笠のあるのは博多やけん

山笠のあるけん博多たい」これなんのキャッチコピーだったかなー、と思い出せなくて、ググってみたら、『伝統銘菓 博多山笠』というお菓子のCMだった。今はもうこの会社は存在せず、ある一定の年代以上の人の記憶に、このコピーだけが残っている。

さて、通称「博多祇園山笠」と言うが、正式には『櫛田神社祇園例大祭』という。現在の様子は博多祇園山笠公式サイトに詳しい。

今回の名物俳句は、「山笠があるから博多」ではあるものの、厳密には「山笠があるのは博多」であり、「博多」=「福岡」ではない、と知ってほしいから詠んだ。

実は、福岡市は結構な広さがあり「博多」と言われる地域はごく一部分にすぎない。JR博多駅の立地はまさに「博多」の一部なので、その名を冠したが、都心部として知られる天神は「福岡」と呼ばれるため、そのど真ん中にある西鉄大牟田線の始発駅の名前は「西鉄福岡」である。

その駅名にも象徴されるように「博多」と「福岡」には意識的な使い分けがある。ざっくり言ってしまうと「博多」は商人の町、「福岡」は城下町というイメージ。福岡市の中心部には那珂川と博多川に挟まれた「中洲」という地域があり、その中洲から(中洲を含む)東が「博多」であり、祇園山笠の土地なのだ。一方、中洲より(中洲を含まない)西側のエリアは、山笠の伝統とはほとんど縁がない。

その理由のひとつに、山笠が神事である以上、そのエリア外の人は「部外者」として扱われ、ここからは立入禁止、みたいな意識が存在したことにあると思う。当然、エリア外の人にとっても、この先は入っちゃいけない、という意識があっただろう。となり村の祭りを運営するのはとなり村の人。そんな感じだ。

だから、他の土地で自己紹介をする時、「博多から来ました」とは言わない。たいていの人は「福岡から来ました」と言う。「へえ、博多ですかー」とリアクションされたら、心の中では「チッ」と舌打ちをしつつ、まあ、博多駅から電車に乗ったしな、くらいの感じで「へへ」と愛想笑いをする。どうでもいい話だし、対立しているわけではないが、福岡市在住の人は、
「福岡市」=「博多」と思われていることに、わりと違和感を持っている。


ちなみに最近は、「女子高生の博多弁」が人気のようだが、あれは「福岡弁」と言っていい。コテコテの「博多弁」は、今では一般的には耳にすることができない。3代も4代も前からこの土地に生まれ育った人のものであり、徐々にその人口は減っているように思う。

(写真は「福岡移住計画」からお借りしました)


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