まかろん
見よ!この素晴らしい出来を!そしてわたしを褒めろ!
ムスメがそう叫びながらオットにマカロンを差し出した。今日、わたしが外出している間に、一人で作ったらしい。なんとなく餡のように見えるチョコクリームも、自分で板チョコと生クリームを合わせて作ったものらしい。へえ。すごいな、と軽く褒めた。「もっと褒めて!がんばったんだから!」とムスメが強要してくる。
わたしは、マカロンが好きかと言われたら「あんまり好きじゃない」と答える。カラフルな見た目がラブリーで、乱暴に扱うと壊れやすい繊細さが美しいとは思うが、とにかく甘いし、高価だ。自分で買う気になれない。手のひらにちんまりと乗るサイズが、一個400円くらいする。ショートケーキ1個とそんなに変わらない価格なら、わたしはケーキを選びたい。と、思っていた。
こうして手作りしてみると、材料もわかるし、遠慮なくいくつも食べることができるから、なぜ苦手だったのか検証できる。ねっちりと歯にくっつくのは、素材がアーモンドの粉、卵白、砂糖を練り上げたものだから。なんとなくポソっとした感じは、焼き上がりがメレンゲ状になっているから。間に挟んだクリームの良し悪しで、味がずいぶん変わることもわかった。
クリームをサンドするマカロン生地は、同じサイズに焼かねばならないが、それを目測でやったというムスメを「すごいな」と褒めた。
そんなこんなで、ムスメに「褒めろ!」と言われるままにいろいろ褒めてみた。ムスメはすごく喜んで、照れて、「ウヘヘ」と笑った。
わたしは「日ごろ頑張ってるのに褒められないなあ」と自分のことばかり考えていたけれども、ムスメも「褒め」が足りてなかったんだな、と思った。これからは精力的に褒めていこうと思う。オットも褒めて褒めてほめ殺してやろうかと思う。
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