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はいはいはい

季節のかわり目いかがお過ごしでしょうか。

オットが風邪をひいた。えらいなあと思う。季節が変わるごとに、きっちりと風邪をひいて熱を出す。本人はつらいだろうが、下がってきた免疫力にテコ入れができる体は優秀だと思う。うらやましい限りだ。

「雨に濡れだのがいげながっだ。ゴホゴホ」とか言いながら、おでこに冷えピタを貼り、フリースのねまきを着て、ソファでぼーっとしている。当然、横になっているのだが、虚ろな目でテレビを見ている。時折スッと眠りに入る。そしてまた目を開けて、「げほげほ」と咳をする。

結婚する時、病めるときも健やかなるときも、と誓いを立てた人もいるだろうが、わたしたちはケッコン式を挙げていない。区役所の婚姻届を出し、お互いの両親や兄弟を中華料理屋に呼んで、会話の弾まない会食をして終了。

だからって訳でもないが、健やかなるときはまあまあ会話が弾むが、病めるときは関係が悪くなる。手負いの獣みたいに、物陰に隠れてじっとしていたいタイプのオットは、近寄ると威嚇してくる。ダメージの度合いが高くなってくると、食べ物もうけつけない。今日もお昼ごはんをせっせと作って並べたのだが「そろそろ食べます?」と声をかけると「だべまぜんよ!」と強い語調で返事があった。その拒絶感が半端なくて、野良犬に牙をむかれたような気持ちになる。そうですか、そうですか、と心の中で返事をして、黙って自分だけお昼を食べた。ちっともおいしくなかった。

やがて、むくりと起き上がったかと思うと、オットは自分のベッドに向かった。寝入ってしまったら起こすわけにもいかないので、わたしは部屋へ行き声をかけたのだが、「あの…夕方からわたしは出かけ…」と言い終わらないうちに、「はいはいはい」と返事して、オットはガバリと毛布をかぶった。

基本的に『そっとしておく』ということが苦手なわたしは、誰に対しても『良かれと思って』やることで失敗する。ついつい、やりすぎてしまうのだ。それをオットはこうやって時々思い出させてくれる。そのことを改めて気づかせてくれたことに、感謝しよう。

もちろん、わたしは凡人だから「ちっ」と思ったことも正直に書いておく。

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