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はらいた

尾籠な話で申し訳ない。

猫の額のような小さな庭が、雑草で鬱蒼としてきた。ちょっと気を抜くと荒地になってしまうので、1ヶ月半おきくらいに手を入れる。

いつもは手袋をするのだが、昨日の朝は素手でやっていた。草の根っこを掴んだ時、ひんやりした感触があった。何か濡れたものに触った。あちゃ。
猫のフンである。しかも緩い。うわー。

わたしはもういい大人なので騒いだりはしない。苦々しい思いはするが、猫も悪気があったわけではなかろう。生きるために排泄するのは自然の摂理だし、見たところ消化不良で腹も痛んでいただろう。そのまま家の外にある蛇口から水を勢いよく出し、洗い流した。それから家に入り、念の為せっけんで念入りに洗った。

ビニル袋を手にはめ再び庭に出て、例のモノを掴み取る。グニュという質感とひんやりとした温度を感じなかったことにして、サッと袋を裏返した。

どこかに腹を壊した猫がいる。気の毒ではあるが、次に催したら
別のところで排泄していただきたい。

夕方、自転車で出かけた。うちから500 mくらい離れた場所に、今朝、庭で見たものと全く同じ色と質感のやつが落ちていた。小学生の通学路で、誰かが踏んだ形跡があった。お気の毒に。

あいつ、この辺りに住んでいるのか?と見たこともない猫の気配を探した。猫は見つからなかった。しかし、確実に腹を壊した猫が身近にいるという実感は湧いた。会ったこともない猫の健康を祈る。

運がいいのか悪いのか、わたしはよく犬のフンを踏んだり猫のフンを掴んだりする。そんな人生。どこかで何か帳尻が合うのだろうか。いや、もしかしたら以前に得たラッキーの帳尻合わせでフンを掴まされているのかもしれない。『禍福は糾える縄の如し』と思っておこう。

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