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あわあわ

昨日に続いて、お通夜での挨拶の話。

「これからの時間は私たち二人でお届けします」と言ったオットのことを そこにいた全員が「え?」という顔で見た。そもそも、隣に立たされたムスメでさえ「なにが始まるのか?」という顔をしている。なんだ、打ち合わせもしてないんかい。

しかし、結局はなにも始まらなかった。そう言った次の瞬間、オットの顔に後悔の色が浮かんでいる。これはまずいことになった、と顔に書いてある。わたしは「いいから、とにかく飛び降りろ。そこから降りるんだ」と念を送る。できないアドリブで滑るくらいなら、さっさと幕を引け。

そこから先は、おそらくオットもムスメも頭の中は真っ白だったであろうし、わたしも「早く終わって戻ってこい」と強く念じるあまり、話の内容はあまりよく覚えていない。

とはいえ、オットはみょうに緊張してしまい、あわあわしながらも、挨拶は決して変な内容ではなかったと思う。お母さんが急逝したことを告げ、お母さんの一生は幸せだっただろうかと振り返り、これからも皆様のご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします、みたいな感じだった気がする。せっかく始めた親子漫才の要素は1ミリもなかった。

お通夜が終わり、オットがポツリと「従姉妹の〇〇姉さんの目が全く笑ってなくてビーム出してた。あの鋭い視線に負けた」と言った。

〇〇姉さんというのは、兄弟が子どもの頃からとってもお世話になった方だそうで、歳が離れていたので、子守をしてもらったり、勉強を教えてもらったりしたのだそうだ。二人とも、頭が上がらないのである。そのお姉さんは、生真面目でキリッと厳しいところもあるらしく、「姉さんが怒ってる」と思ったオットは尻尾を巻いて引き下がったのだった。

負け犬はさらに言い訳をする。「だいたい、始まる30分くらい前になってから、お前やってくれって言われても、無理だ。それに」…それに?
「オレには考える時間が30分しかなかったのに、アニキは一晩じっくり考えて、しかもカンペまで作ってるなんてずるい!」と訴えた。ははは。

次にオットが葬儀の席で挨拶をするとなると、喪主であり、その時の主役?はわたしだろう。おそらくムスメが通夜、オットが葬儀の挨拶担当だ。オットよ、その時はゆっくりと考えるがよい。





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