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あじつけ

今日はスパイスカリーを作った。スパイスのセットにレシピが入っていて、簡単に作れそうだった。レシピ通りに材料を揃えて、レシピ通りの分量で、レシピ通りの手順でやればいいのだ。だから、味見をしなかった。何にも疑うことなく、分量通りの塩を入れた。大さじ2と書いてあった。多過ぎじゃね?と思わんでもなかったが、まあ、レシピに書いてあるんだからしょうがない。

さあできた、と思って、ちょっと食べてみた。うへえ。しょっぱいじゃないか。これはあかん。レシピには「天然塩」と書いてあった。だから多くても良かったのか?わたしも天然塩を使ったけれど、塩は種類によっとちょっとずつ味が違う。今日の塩はポルトガル産だ。おにぎりに使っていたが、ここまでしょっぱいとは思っていなかった。

わたしは慌ててカレーの師匠に連絡をした。「塩気が強すぎて、どうしたら修復できますか」返事はすぐに来た。メールには「まず、カリーを二等分する。玉ねぎ2個をスライスして飴色になるまで炒める。次に、トマトを刻んで玉ねぎと合わせて炒める。それに半分のカリーを投入。残りはとりあえず冷凍しておけば、わたしが救済する」とあった。そしてすぐに「水は足さないように」と追伸がきた。

なるほど、その手があったか。玉ねぎの甘みとトマトの酸味で中和するのね。わたしは言われた通りにやってみようとしたが、とにかく眠くて、ソファでグズグズしていたら、そのまま眠ってしまった。

22時にムスメが帰ってきた。もう玉ねぎを飴色になるまで炒める時間はない。ええい、ままよ。しょっぱいまま食え。リカバリーしていないカリーを出したら、「おいしい」と言って食べた。え?

23時過ぎにオットが帰ってきた。カップうどんとコンビニおにぎりを持っている。「カリーがありますよ」と言うと、オットは「じゃあそれを食べる」と言って、おにぎりをムスメに譲った。しょっぱいカリーを黙々と食べ、「もう少し食べようかな」と、おかわりをした。恐る恐る「しょっぱくないですか」と聞いたら、「いや。別に」とスプーンを口に運んでいた。

「新しい味だよな。トマトの酸味がな、めっちゃトマトやし」とムスメにパスすると、ムスメは「食レポヘタかよ」とつっこんだ。

いつも味付けが薄いとか濃すぎるとか、この材料にこの調味料は合わんとか、やいのやいの言うオットが今日は言わなかった。あの人たちは、わたしよりもうんと汗をかいていたのだろう。塩分を欲していたのだ。そう考えることにした。もうそれでいいですかね。


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