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えびたい

お隣に回覧板を届けるついでに、パウンドケーキ風のおやつをお裾分けした。お隣はひとり暮らしのようだから、2切れ。本当にお裾分けだった。
それなのに、お返しに立派な梨を二つもいただいてしまった。海老で鯛を釣るようなことになってしまい、恐縮である。

梨は美味しい。去年はほとんど食べずに冬になってしまった。それをオットが残念がっていた。今年は、今日初めて梨を買って帰った。4つも買った。さぞや家族が喜ぶだろうと思って帰ったら、お隣からいただいた梨をテーブルに並べてホクホクしているオットとムスメがいた。

その喜びに水を刺してはいけないなと思い、自分で買った梨は黙って冷蔵庫に入れておいた。

夕食後、お茶を飲もうと野菜室を開けたオットが「ああっ。梨が!」と驚いた。そして、「今、うちには梨がたくさんある…」とかみしめるように言った。よかったな。全部が君の口に入るわけじゃないんだがな。

デザートにお隣からいただいた梨を一つ剥いた。12に切り分けて、テーブルに出す。「わーい」と飛びついてきたオットとムスメがショリショリと梨を噛み砕く。「甘いねえ」「美味しいねえ」と二人は上機嫌だ。

それはわたしがパウンドケーキを焼いて、お隣にお裾分けしようと思わなかったら、ナシの時間だ。わたしはエビでタイを釣ったかもしれないが、あなた方は漁夫の利である。

まあ、こういう幸せな時間もある。明日もがんばろう。

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