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CRAWL

クロールは水泳の自由形のことだと思っていたら、「のろのろ進む」「腹這っていく」などの意味らしい。

「匍匐前進!」という言葉を初めて聞いたのは、おそらく小学生の時「金曜ロードショー」か何かの、父と見ていた戦争映画だったと思う。「ほふくぜんしんって何?」と聞いた覚えがある。「戦場で腹這いになって進むこと」と父は答えた。まだ幼稚園の弟が「こう?」とやって見せた。父は「そうだけど、そうじゃない」と言った。形はそうだけど、本来の姿ではない、という意味だろう。

ただ腹這いになって進むわけではない。敵から身を隠しつつ、相手に近づかなければならないのだ。生きるか死ぬかの瀬戸際でもあるだろう。

弟が匍匐前進の真似をして、ちゃぶ台の下をくぐってゲラゲラ笑っていた。「そうだけど、そうじゃない」の言葉は結構重いなと思った。

そういえば大人になってから、日常の中で腹這いで前進することがあるだろうか。わたしは二日酔いの朝に布団から這い出すくらいしか経験はないのだが。


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