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ダイエット中ですが何か?

痩せない。痩せたいのに痩せない。今日までに痩せたかったが、間に合わなかった。

今日は、撮影の日だった。公民館の事業で、「地域のCMを作る講座」があり、それに参加しているのだ。当然、裏方のつもりだった。撮影、編集が主な仕事だと思っていた。ところがどっこい、今回の企画は「全員ダンス」である。ありえない、と頭の中では思っていたが、どこか他人事にしていた。

とりあえずダンスの練習はした。振り付けは割と単純で、運動会で小学2年生くらいが踊りそうな難易度。公民館の『着付け教室』や『ゴスペルサークル』のおばさま方も、スイスイ踊る。小学生はもちろん、中学生くらいになると、動きにキレがあってカッコ良い。『おやじの会』のメンバーも、愛嬌たっぷりにポーズを決めてくれた。参加したみんなのダンスを編集で組み合わせて、MV風にしようという企画だ。

そして今日、満を持してわたしたち制作グループの番がきた。実は数日前、「せっかくだから、衣装も揃えましょうよ」と声が上がった。「この街のコンシェルジュっぽい感じはどうですか」「じゃあ、カチッとした白のブラウスに、黒のタイトスカートですかね?」
話はどんどん進んでいく。
「パンプスも履きましょう」「じゃあ、首にスカーフ巻きますか」「それなら、白の手袋もいいですね」
話がどこまでもエスカレートする。待て。やりすぎると寒いぞ。そう心の中では叫んでいるが、みんなの嬉々とした表情や盛り上がる一体感に水を差す勇気はない。それに、これは仕事じゃないんだ。クライアントはいない。みんながいいと思っているなら、それで正解なのだ。わたしは一切、口出しをしないと決めた。

さらに、「こういうのはどうですか」とLINEで写真が来た。メイクは宝塚風。さらに、頭に何かターバンのようなものを巻いている。待て。コンシェルジュじゃなかったのか。グループラインは盛り上がっていく。「いいですね!キレイです!」「耳には、こういうクリスマスのオーナメントをイヤリングのように下げませんか」写真の耳には、クリスマスの丸いキラキラのボールが下がっている。「わあ!それはステキ!いいと思います!」話の展開が早い。

コンセプトはどこへ。イメージがどんどん変わっていくぞ。そのうち、「スカートじゃなくて、フレアパンツでもいいですかね?」という声が出て、「いいんじゃない?いいよいいよ」と話がまとまっていった。

企画の崩壊が怖すぎる。だが、わたしはタイトスカートにパンプスなど持ってないし、どうすれば逃げられるかばかりを考えていたので、これ幸いとパンツを履き、足元もローファーでごまかした。

体質のせいで日頃はお化粧ができず、メイクの道具も持っていないので、みなさんのをお借りして、しかもメイクアップまでしてもらって、出来上がったのがこちらです、と写真を見せてあげたいのだが、それは無理。もう、つけまつげバッサバサの、アイラインキメキメの、「あんた誰?」という顔だ。メガネをかけるとつけまつげが当たって邪魔するので、メガネは諦めた。当然、視界は全く持ってぼんやりしてしまい、そうなると声も出ない。
アレヨアレヨというまに、撮影が始まった。いつもはカメラチェックをするのはわたしの役目だが、今日はメガネをかけていないので、他の人に任せた。

撮影はまあ、なんとか終了。メイクを落として「おつかれさまでした!」と帰り着いたところへ、LINEがじゃんじゃん届き始めた。今日のメイキングの写真である。なんだこれ。わたしのコロコロした姿が滑稽すぎる。宝塚のレビューにドラえもんが混じったみたいな感じだ。わたし以外のメンバーは、みんなスラリとしているのは承知していたが、ここまで差がつくと、笑いしか出ない。戦隊モノヒーローだったら、間違いなくイエローだ。

そこで一念発起して、ダイエットに力が入るかといえば、そうでもない。むしろ挫折感たっぷりで自嘲するしかない感じ。これを書きながら、半ばやけ食い気味に、お菓子を食べている。

ダイエットは明日からにしよう。(まだあきらめていない)

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