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ダンスウィズミー

つい先ほど、映画館から帰って来た。

「ダンスウィズミー」。今日の昼間、ミュージカルがとても好きだという友だちに感想を聞いたら「そうね。面白かったんだけど、面白くなかった。」と答えた。早いとこ観よう、と思って上映時間を調べてみたら、今日が最終日で午後9時からの1回しか上映がない。それを知ったのが、午後7時。行かねば。マッハで夕食の準備をしてムスメに食べさせて、身支度をして家を出た。自転車で夜風に当たりながら、夜道を進む。普段は夜に出かけないわたしだが、「矢口映画」だけは、必ず映画館で観ようと決めているのだ。

「映画は、コーラとかポップコーンとか、飲んだり食べたりしながら観るもの」と思っているが、今日は手ぶらで座席に座った。あまり広くないが、わたし一人しか座っていない。とても広く感じる。予告編やら商業施設のCMやらをぼんやり見ながら、「なんでこんなに人気がないの」と思う。公開されてまだ1ヶ月も経っていない。友だちの言う「面白かったけど、面白くなかった」とはどういう意味だろう。

観ているうちに、考えることをやめた。笑った笑った。「懲りないやつ」と、ちょっとイラっとしながら、「あーあ、また負のループにハマってるよ」と心配しながら、次から次へと起こる珍事を笑った。これはミュージカルであると同時に、ロードムービーと言ってもいいと思う。最後に「ああ、ここで旅が終わるのか」と残念に思うくらいの珍道中なのだ。旅の果て、主人公は生まれ変わる。結末の選択は、予定調和にも思えるものの、実は新たに始まる珍道中の布石だ。続きが見たいなと思ってしまう。

帰り道も夜風に当たりながら、自転車で暗い道をどんどん進む。任侠映画を観た人が、映画館を出たら肩で風を切っているように、わたしも脳内では「タイムマシンにお願い」がガンガン鳴っていて、ちょっと首を振りながら、グイグイとペダルを漕いだ。


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