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じんけん

ランニングをしているお父さんと自転車で伴走をする小学生の男の子が信号待ちをしていた。「ねえ、お父さん、あの犬みたいなやつ何?」と聞いていた。「さあねえ、なんだろう」 あっ、あれはね…とお節介おばさんのわたしは言いたいのをグッと堪えて、彼らの後ろに立っていた。

「じゃあ、あの建物はなに?」「あー、あれは人権蹂躙センターだよ」

わたしは耳を疑った。『じんけんじゅうりんセンター』!?お父さん、気は確かですか?あれは、人権啓発センターですよ。人権を蹂躙されたりしたりしないように、人権とはなにか、人権問題とはなにか、みんなよく知ってくださいって啓発活動をしているところですよ。お父さん、どうかしてますよ?

わたしは脳内でまくし立てた。黙っていたけど。でも、その言葉が出た経緯がちょっとわかる気もする。横断歩道のこっち側からプレートを見ると、「人権」の文字は読めても「啓発」は読みにくい。(下の写真、左下のあたり)さらに、「人権」の後に複雑な漢字をくっつけるならば「人権蹂躙」という言葉が頭に浮かんできたのもわからなくもない。だけど、その意味を知っていれば「人権蹂躙センター」というものがこの世に存在するかしないか、を判断することはできる。つまり、お父さんはこれまで、人権啓発という言葉を耳にしたり、目にしたりしても、スルーしてきたので、記憶にないのではないか、と思う。「自分には関係ない」と。しかし、そういう人こそ、人権啓発センターが最も啓発したい人なのだ。なにごとも、無関心が一番厄介だ。

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ところで「あの犬みたいな人みたいなのはキースヘリングっていう80年代に爆発的人気が出た、アメリカのポップアートの代表的なアーティストの作品です。しかも、その奥に並ぶのは、草間彌生の作品ですよ」と小学生の息子くんに言いたかったなあ。

草間彌生の作品は、近寄ってみると、こんな感じ。手前から奥に向かって、3つある。タイトルも「三つの帽子」。

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ちなみに、この建物は「あいれふ」という名前で、市の機関が集まっている。そもそもは「健康づくりサポートセンター」として生まれたので、保健所的な機能が主幹。

キースヘリングはAIDS撲滅運動に積極的だったので、ここに設置されたのではないか、と想像するが、草間彌生の作品についてはよくわからない。

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