ぱんぱん

パンが好きだ。しかし、おいしいと評判の店を訪ね歩くような時間もお小遣いもなく、毎日仕事帰りに寄るスーパーで、100円パンや袋に入った菓子パンなどを買って食べる。近所のスーパーの棚にあるパンは一度は食べてみたことのあるものばかりで、新しい味を欲している。

先日、『マツコの知らない世界』で見た、ローカルパンに憧れる。長野県の「牛乳パン」や、沖縄県の「ゼブラパン」、それから富山県の「翡翠パン」に岩手県の「力あんぱん」、鹿児島県の「スナックブレッド」、どれも美味しそうだった。いつか旅行ができるようになったら、ご当地パンを食べたいと思う。

ご当地パンといえば、「マンハッタン」。中学生くらいからずっと食べ続けている。中学生の頃、同じくらいよく食べたのは「銀チョコ」だ。小さめのコッペパンに切り込みがあり、そこにホイップクリームが挟まっている。さらに表面はチョコレートでコーティングされている。それがアルミホイルで包まれ、細い紙の帯が巻かれていた。同じ名前の商品が今でもスーパーに売られているが、わたしが食べていたのは中学校の隣にあるパン屋さんの自家製だった。

そういえば、数年前にメロンパンが大流行した時、子どもの頃に食べた味とは大違いで驚いた。パサパサした生地に甘いクッキー生地が乗っかっているのがわたしの知っているメロンパンだった。口の中の水分を全部持っていかれる感じが好きではなかった。しかしどうだ。この頃のメロンパンは1個200円もして、ケーキのような繊細さで、サクッとフワッと口の中で溶ける。これはメロンパンという名前だが別物じゃないか。

マリトッツォブームの火付け役になったパン屋が通勤途中にあって、毎日そこに長蛇の列ができているのをバスの中から目撃する。一度食べてみたいが、あの列に並ぶのはしんどい。仕事帰りでヘロヘロのおばさんは、今日もスーパーの袋パンの棚に向かう。オットがいつもリクエストする、フランソアの「クロワッサンにクリームが挟まったやつ」を買って帰ろう。名前が長くてぜんぜん覚えられない。



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