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なまべた

オットが「ちょっと食べて行こう」とラーメン屋に寄った。ラーメン以外にメニューはなく、駅の立ち食いそばみたいな感じの店だった。食券を買ったら、椅子に座る前に店員さんが「麺の硬さはどれにしますか」と聞いてくる。オットは「カタ」と言い、わたしとムスメは「普通」と答えた。

博多ラーメンの特徴は麺の細さ。そして、硬めの麺を食べるのがツウと言われているらしく、「カタ」の上が「ハリガネ」さらにその上が「粉落とし」というらしい。

券売機のところに手書きの表が貼ってあった。麺の硬さは「ナマ」「カタ」「普通」「ヤワ」の4段階、スープに入れる油の量も「ベタ」「ちょいベタ」「普通」「なし」の4段階。これを組み合わせて注文するらしい。
油の量が普通でいいなら、何も言わないで良いらしい。

わたしたちが一杯を食べ終える間に、何人ものお客さんが入れ替わり立ち替わりでラーメンを食べていく。店員さんは見たところ東南アジア系の女性で、日本語の発音はカタコトだが、きっちりと仕事をする。
券を買ったらその人が座る前に「麺の硬さはどうしますか」と聞く。厨房にそれを伝える。厨房から出されたラーメンをお客に運ぶ。そして客が帰ったらどんぶりを下げ、テーブルを拭く。単純な作業ではあるが、ひっきりなしにお客が出入りするので、これを無駄のない動きでこなしていくのは大変そうだ。

若い男性は「ナマベタ」と注文する人が多かった。中高年になると「カタ」もしくは「普通」の人が多かった。もちろんナマは生麺をそのまま出すわけではなく、サッと湯に潜らせる程度ではあるが、茹でる。だが、胃の負担は大きかろう。さすが若い人たちは胃も元気だな、と感心しながら黙々とラーメンをすする。

1杯500円。紅生姜は取り放題。あっさりめのスープが胃の弱いわたしにはちょうどよかった。ごちそうさま。


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