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かしぱん

新商品に弱い。コンビニやスーパーで新しい商品や限定商品を見ると、用もないのに買いたくなってしまう。いいカモだなと思いながら、小銭を遣っている。チリも積もればなんとやら、かなり浪費していると思うが、食べ物は生命を維持するために必要なものなので、まあいいかと思うようにしている。

ヤマザキの薄皮シリーズをよく買う。クリームパン、あんぱん、白あんぱんを定期的に購入してきた。物価高騰のため、内容が五個から四個になっても、致し方ないことだと思っていた。なんとなく文化が衰退する感じで、製パン業界も先細りなのだなと不安な気持ちになっていた。

ところがある日、新作を目にする。物価が上がり、商品が小さくなるか、あるいは値上げをするか、という二つの選択肢ばかりを突きつけられているので、ゲンナリしていたのだが、薄皮シリーズの新作に「え?新しい風?」みたいな驚きと同時に、人間、あきらめたらあかんな、という気持ちが芽生えた。

わたしたちはまだ、何も終わっちゃいない。日本はもうだめだ、衰退するばかりだ、終わりの始まりはもう始まっている、と耳にすることが多いのだが、いやいや、まだ終わってはいない。あきらめたらそこでゲームセットなのだから、前向きに生きていかなくちゃ。

と、菓子パンコーナーの前で、一人のおばさんが考えていたことなど、誰が想像するだろうか。


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