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根を掘る

さて、うちの庭である。6月初めの草抜きから数週間が過ぎ、再び緑の絨毯がびっしりと敷き詰められている。緑の絨毯と言えば聞こえはいいが、要は草ボウボウなのだ。

生えているのは主にヨモギとミントだ。奴らは地下茎をグイグイ伸ばして繁殖する多年草だ。とにかく強い。庭中に生えたヨモギとミントを抜いたところで、根が生きているのだから、一週間もすればすぐに芽吹く。どちらも食べたりお風呂に入れると良いので、むやみに引き抜くのは気がひける。その躊躇が、びっしりと生えてくる奴らを阻止できないでいた。

「これは根をなんとかしないといけないな」と思い、今回はスコップで根を掘ることにした。スコップに足をかけて、ザクッと土を切り込む。よいしょと持ち上げるとびっしりと絡まった根が見えた。ザクッ、メリメリ、ザクッ、メリメリ、と根を持ち上げながら掘りまくる。「あっ」スコップの柄が折れた。雨ざらしにしたまま10年。折れても仕方ない。持ち手がないので、棒の部分を掴んで、足で踏み込む。かなりの範囲を掘った。

次は、根を引っ張り出す作業だ。根を引き抜くと、ズルズルと向こうの方まで繋がっているのがわかる。無理に引っ張ると切れる。そうこうしていると、根を抜く作業が楽しくなってきて、スパン!と長い根が抜けた時は爽快な気分だ。

いつもは手袋をしているのに、今日は「ちょっとこの辺だけ抜いてみるか」と始めたので、素手である。根を掴み、土をほじり、手が汚れるのもかまわず作業していたら、爪の中にも土がびっしりと入っていた。抜いて抜いて抜きまくる。でもまだ根は残っている。

この庭に、花を植えたり、トマトやゴーヤを植えたこともあった。そう考えると、この夏に何か野菜でも植えてみるのもいいかもしれない。考え事をしながら土をかき分けて根を引っ張る。野望はどんどん膨らむ。しかし、根は強い。びっしりと庭の地下でスクラムを組んでいる。

小一時間、根と格闘した。庭の三分の一も掘れていない。先はまだまだ長いが、今日の労働が効いたのか、猛烈に眠い。今だ!チャンスだ!早寝だ!



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