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コロナ禍において観光バブルになっていたケアンズと現在のシドニーの状況、オーストラリアのコロナ対策について

先月(2021年7月某日)ケアンズに嫁入りして10年以上になる友人と電話をしていたところ衝撃的なことを言われた。

『ケアンズは今観光バブルやで』

最初「ケアンズ今ヤバイで」と言われた時に私は(ケアンズも沖縄と同じ観光地だし、大変だよね)と真逆のことを思っていた。

しかし彼女の口から出た言葉は

「ケアンズは今観光バブルやで」

という衝撃的な一言だった。

ケアンズで起きていた観光バブルとは

現在ケアンズでは8月11日までの3日間のロックダウンに入っており、現在は『マスク無し生活』にすでに戻っている。

そして他州の状況から『観光バブル』ではなくなっているとのこと。

しかしながらオーストラリアで感染が広まる前までは間違いなくケアンズは観光バブルだった。

どういうことかというと、ケアンズはこれまで田舎だと国内では注目されていなかったが、海外にいけなくなった他州の人たちが『ケアンズは安心だ』とケアンズに注目し出し、遊びに来るようになったようだ。

リタイア前後の富裕層が超豪華トレーナーでオーストラリアを数ヶ月旅をしたりと、これまで海外に行っていた富裕層の人たちもケアンズに来るようになり、忙しかったとのこと。

ケアンズはロックダウン前までマスク無し生活を送れていたほど『安全な場所』だったのである。

そのためブリスベンやメルボルンなどの学校の修学旅行先としてケアンズが選ばれるようにもなったのである。

そしてシドニーなどの都会のお金持ちがケアンズの家やマンションを投資目的で買い始めているとのこと。

まさに『観光バブル』である。

沖縄県で今起きていること

私は沖縄県北部にある『名護市』に移住して9年目となる。

名護市はとても自然豊かで人もほどほどに多く、生活するのに困らないものが揃っていてとても居心地が良い。

広い公園もあり、地元の人たちが癒される場所もたくさんある。

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そんな名護市の写真を見てよく「ケアンズと名護の生活は一緒やな」と彼女は言っていた。

しかし今沖縄県ではこのような状況になっている。

①美ら海水族館休館
②市営ビーチクラゲネット撤去
③土日祝日映画館休館
④2週間以内に県外に行った人と接触NG要請あり
⑤保育園行事とことん中止
⑥小学校の夏休み延長
⑦8月20日新たに743人の感染確認、累計陽性者は36,204人に
⑧「沖縄から来た」と言うと嫌がられる立場に

名護市で蔓延防止が発令されたのは2021年4月9日。

それからずっと蔓延防止と緊急事態宣言の中で暮らしているのだ。

もう4ヶ月以上もずっとだ。

やっと楽しみにしていた年長になって、これからいろいろな経験するぞ!と楽しみにしていた子供達。

しかし予定されていた息子の保育園でのお弁当会(遠足のようなもので海や川に遊びに行く行事)はことごとく中止。

ずっと楽しみにしていた年長だけが行く伊江島へのキャンプも目処の立たない延期。

年長さんだけが出来る『追い込み漁』も保護者と離れて3日間を過ごし成長する姿を見られる『伊江島キャンプ』も川での飛び込み経験も海での遊びもことごとく中止になっているのだ。

そして秋祭りも保護者の参加NGが決まり、このままだと運動会も怪しい。

去年よりも何もできない状況だ。

そして娘の小学校もGW後から、学校帰りに友達と遊ぶのが禁止され、夏休みも早く始まりそして2学期の始業式が延期になった。

公園もロープが張られ遊べない場所も多く、子供達はストレスが限界に来ている。

せめて夏休み中に夏休みらしいことをと思ってもこの感染爆発の中自由に遊べる場所は少なく、人に知られていない川に行き週末遊ぶくらいしか出来ない。

もちろん都会の方に比べたら贅沢な遊びだということは分かっている。

だけどそれは便利な都会生活よりも不便な田舎生活を選んだ特権でもある。

ケアンズで久しぶりに出た陽性者と対応

そんな名護市と似ているケアンズが1年以上市中感染0の状況が続いていたのだ。

先日久しぶりにコロナ感染者が出たそうだが、たった1名での対応がスーパー凄い。

陽性者の子供が通う学校は閉鎖、そこに通う子供たちもその家族も全員2週間完全隔離、この時点ではロックダウンになっていない。

しかしその後タクシー運転手の感染が確認され、その人が10日間体調不良の中動き回っておりどこにチェックインしたのか把握できないことが発覚し即ロックダウンに。

2021年8月11日までの3日間ロックダウンだったようだ。

2人目の感染確認からのロックダウン決定へのスピードが素晴らしく、『即』決まったとのこと。

そして今またマスク無しの生活を手に入れている。

ケアンズのコロナ対策について

①オーストラリアでは州ごとで必要であればロックダウンが行われている
②感染者が出たらその周辺の人たちは2週間完全隔離
③スーパーなどでその時間居合わせた人も完全隔離
④どこに行くにもQRコードで管理されていて感染者が接触した場所がわかるようになっている
⑤接触した場所が把握できなければ感染者1名でも即ロックダウン
⑥完全隔離が守られているか現在の状態を写真で確認され、その後突然警察が訪問しちゃんと隔離しているかチェックすることもあるという徹底ぶり
⑦ロックダウンしてでも早く安全なケアンズに戻さないとケアンズの経済が死ぬという意識を持って徹底している
⑧ロックダウンしたところで生活に支障はないくらいの補償が出る
⑨補償対象は事業主だけではなくアルバイトやワーホリにも

たった1名でもとにかく早い時期にロックダウンし即感染爆発を抑え込むことでまた経済を復活させる。

『安全なケアンズ』を早くまた取り戻して、他州からも来てもらって経済を復活させなければならない、という意識が高い。

また、近くには無料で気軽にコロナチェックが出来る場所があるようだ。

ちょっと体調が悪いなと思ったらパッと行って受けられる場所があるから、他州から人が来てもそこまで不安ではなかったとのこと。

またその検査結果待ちをしている数日間仕事が出来なければ、条件が合えば補償も出る為ハードルも低いはずだ。

ケアンズ観光局公式の方が『日本のお客様が来てないから厳しい』と私のツイートにコメントを残したので、実際にはバブルと言えるほどではないのかもしれない。

しかし一般市民がそういう感触であるということには間違いない。

このメリハリこそ、今の沖縄に必要なのではないだろうか。

たった1名でのロックダウンはケアンズに限ったことではなく、先日首都キャンベラでさえ感染者1名で1週間のロックダウンを行なったことが話題となった。

逆にシドニーでは感染者が爆発的に増えており、同市のあるニューサウスウェールズ(NSW)州全体で6月26日からロックダウンが続いている。

違反者には3,000〜5,000豪ドルの罰金が科せられるという(値上がりしている可能性あり)。

しかしながら感染者数は減少を見せず右肩上がりが続いている。

そこで今度はシドニーに住む在豪17年になる友人に話を聞いてみた。

シドニーの現状とオーストラリアのコロナ対策について

※あくまで友人の見解であることをご了承ください。

2021年8月19日に発表されたNSW州の新規感染者数は681名。

現在2ヶ月のロックダウン中で徐々に規制も厳しくなっているのにも関わらず終息に向かっている感じがしないと彼女は言う。

ロックダウン中は飲食はテイクアウトのみ、エッセンシャルと認められない店は全部休業。

もちろんヘアサロンなども。

エクササイズと買い物くらいしか外出不可、それも5km圏内か自分のLGA(ローカルガバメントエリア)内のみ。(規制状況により変動、学校や通院など特例あり)

メルボルンにおいてはcurfewと呼ばれる、夜間(21時〜5時)の外出禁止令も出ている。

そして仕事を全くしないとなると、条件にもよるが週に750豪ドルの補償が出るのだ。

今回のロックダウンの補償は7種類ほどあるらしく、2020年最初のロックダウン時も補償がしっかりしていたオーストラリア。

そんなに補償を出せるほどお金があるのは、やはり税金が高いからだろう。

そして友人は2020年3月からずっとリモートワーク。

会社に行ったのは勤続記念を受け取りに行ったのとデスクを片付けに行った2回のみ。

ロックダウン中に必要のない出勤を無理矢理させた会社には罰金が課せられるそうだ。

ロックダウン中に規制を破った人に対しても罰金制度があり、なんとマスク罰金も?!

店内入るとかコーヒーのテイクアウト待ちや公共の乗り物とかはマスクが義務になっており、破ると500豪ドルの罰金が課せられる。

ビーチには警察が巡回して違反者がいないかチェックしている。

こちらでは大人は自由に動いているのに子供が制限されて可哀想だと今の沖縄の状況を伝えたところ、シドニーでは大人の方が制限がかかっているとのこと。

日本とオーストラリアのコロナ対策の違い

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ここまでで分かるのは日本とオーストラリアでは以下のことが違うということ。

・ロックダウン時の補償制度が手厚い
・オーストラリアの税金は高い(だから補償が出せる?)
・子供より大人の行動が制限されている
・ロックダウン中に規則を破ると罰金が課せられる
・ロックダウン中はエッセンシャルな店以外は休業
・ロックダウン中に仕事ができなくなった場合、条件によっては週750豪ドル補償が出る
・リモートワーク徹底
・ロックダウン中は5km圏内か自分のLGA(ローカルガバメントエリア)内のみしか動けない(規制状況により変動、学校や通院など特例あり)
(2021年6月に発令されたロックダウンの対応状況)

そして国境はいまだに閉まっており、許可を取らないと出入国できない。

2021年1月〜6月は新規感染者が10人〜30人程度だったにも関わらず、国境を開けることはなかったオーストラリア。

ニュージーランドとは一時再開するも、デルタ株感染爆発によりNSW州との往来停止に。

そしてデルタ株がいよいよニュージーランドへも。

2021年8月17日に感染者1名でロックダウンに入ったNZだが、18日に新たな感染者が4名、19日には32人の新規感染者が確認されている。

感染者1名でロックダウンに入ったにも関わらず、感染者は出る。

これがもしロックダウンしていなかったら一気に感染爆発だろう。

感染スピードの恐ろしさを物語っている。

そしてシドニーはここまでの制限をかけているのにも関わらず収束に向かっている気がしないというのは何故なのだろうか。

それは以下の要因が考えられる。(あくまで友人の個人意見)

・デルタ株の感染力が高すぎること
・ロックダウンに踏み切るのに最初の1、2週政府が躊躇したことで遅れが出たこと
・ロックダウンの決まりを守り切れない人もいること

これを見るとやはり、感染爆発を止めるには『即ロックダウン』が有効なのではないだろうか。

ケアンズのコロナに対する危機意識の高さについて

一方ケアンズでは先述した通り、たった1名でその家族の通う学校の保護者とその家族が2週間隔離だったのだ。

そしてその1名が乗車したタクシーの運転手の感染が確認され、体調悪い中10日間歩き回ったことが分かり、8日朝急遽ロックダウン決定。

2021年8月8日16時から11日16時までロックダウンとなった。

たったそれだけの数で、即ロックダウンに踏み切ったケアンズ。

一方で海外ではロックダウン相当の人口比最悪な状況であるにも関わらずロックダウンに踏み切らない沖縄県。

2020年2月、初のコロナ感染者が出た沖縄県では沖縄県民が一瞬で恐怖に陥った。

あの頃はたった1名でパニックだったのにも関わらず、この1年半でどうしてこんなにも麻痺してしまったのだろうか。

ケアンズが1年半経過してもなおコロナに対する危機意識が高いのは早く『安全なケアンズ』を取り戻してまた他州の人に遊びに来てもらいたいという思いが強いからだろう。

沖縄県の今の状況について

沖縄県は今、このような状況にある。

8月20日15時現在の新規陽性者居住地別内訳。

那覇市保健所管内 188人
北部保健所管内 39人
中部保健所管内 298人
南部保健所管内 163人
宮古保健所管内 22人
八重山保健所管内 23人
県外 10人
米軍関係 30人

先日私が見た状況では北部は『16人』だった。

たった1週間で倍以上になっている。

そしてまた次見るときにはその倍になっているだろう。

観光業のことを考えるとなんとも言えない。

もう、そんなの関係ない!経済を動かすことが一番だ!としてコロナ感染を気にせず生活するべきなのかなとも思ったりもする。

しかし、オーストラリアを良い例としてメリハリをつけて行動したいものである。

そして早く『安全な沖縄』として安全に楽しく観光を楽しんでもらえる日が来て欲しいと切に願う。

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