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【034】「褒められて伸びるタイプ」と公言して失うもの

「自分は褒めて伸びるタイプです」と聞くたびに「損するから言わない方がいいのになー」と勝手ながらに思っています。

損だと思う理由は二つあります。
まず、周囲の人から注意や指摘をもらって自分の行動を改善する機会を自ら手放しているからです。特に、気の弱い上司についてしまったら、その上司は叱ることが怖くて耳障りの良いことしか言ってくれないことになります。

そうでなくても、最近は社員を叱ってくれる上司は少なくなっているように思います。深い人間関係を構築するのが苦手な人が増えているのかもしれません。だから適切な指導を受けたいと考えるならば、実際に褒めて伸びるタイプかどうかにかかわらず、「叱られて伸びるタイプです」ぐらい言っておいてちょうどよいのではと思います。

「褒めて伸びる」と公言しないほうがよいと思う二つ目の理由は、わざわざ自分から他人のコントロール下にはいってしまうからです。無自覚のうちに、褒められるために行動しますと宣言しているのと同じです。これは大人になったら手放した方がよい思考と行動の習慣です(コントロール気質の親に育てられた人にはこれがなかなか根強い癖になっている可能性はありますが)。

組織では上に行くほど褒めてもらう機会は減ります。承認を得るためでなく、自分の意志で仕事を楽しめるようにならなければ、いずれ辛くなってしまうかもしれません。

会社にはさまざまな承認のしくみがあります。普段のマネジメントの現場で褒めることだけでなく、評価やMVPなどの表彰の制度などもそのひとつです。それらの仕組みは適切に社員を動機付けし、効率的にスキルを伸ばすサポートとして有効です。ですが、別の視点からみると、それは社員の行動をコントロール仕組みです。その仕組みや目的もわかったうえで、それを活用する側にまわるためにも、褒められることをトリガーとして行動することは、早めに卒業したほうがよいように思います。

余計なお世話ですが、これ実は大事なことだと思っています。

写真=バルセロナの海にて。クルーザーで夕陽が沈むのを見せてもらいました。写真じゃわかりませんが笑(2019年6月撮影byじぶん)

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