Tableau Public Viz投稿で広がる世界
※この記事は、以前某社さんでDATA Saber Apprentice向けに先輩DATA Saberとして講演した内容を、一般のTableauユーザ向けに再構成したものです。
※2022/10/23 直近の事情を踏まえた修正&近況報告加筆
はじめに
みなさん、はじめまして。
藤原理香と申します。
都内で働く、データアナリストです。
普段は、ID-POS分析、ビジネスダッシュボードの構築などをしています。
人と人、組織と組織の間を行き来して、価値を生み出す活動を志し、DATA Saber “DATA MERCHANT”、データの交易商の二つ名で活動しています。(DATA Saberって何?という方はこちら)
今日は、私のライフワークでもある、 Tableau Public へのViz投稿に、ぜひみなさんも挑戦してほしい!
そんな思いでお話しします。
では、さっそくみなさんに質問です。
Tableau Publicなど、公の場へのViz投稿について、どう思いますか?
私には無理!
仕事でTableauが使えるようになれば僕はそれで…
上級者がやることでしょ?
そうですよね、私も最初そう思っていました。
Data Saberプログラム(詳しくはこちら)には、達成しなければならない試練(課題)があるのですが、その必須課題として、「パブリック活動」というのがあります。
Tableau Community Forumsでの質問回答・ブログ記事の投稿・ユーザー会の開催・講演、そして、Tableau PublicへのViz投稿。
この中から、最低一つの活動を選んで実施しなければなりません。
正直、どの活動も「げげ、こんなの私にできるかな」「う…面倒だな…」と思ったことをここに白状します。
ですが、いまや私はこの「パブリック活動」の虜です。
Data Saberプログラム修了後も毎週Vizを投稿し、公開したVizは80個を超えました。
では、なぜ私がこんなにViz投稿に夢中になったのか。
それは、このViz投稿を通じて、”Tableauコミュニティのすごみ“を体感する、素晴らしい経験をしたからです。
Viz投稿で私に何が起こったか
さて、このお話は時系列ですると分かりやすいですね。
2019年2月、私は仕事のツールとしてTableauに出会いました。
当時、データの可視化と言えば、SQLでデータを抜いてVBAで描画・自動化。なんてイメージを持っていた私にとっては衝撃的な出会いで、「これなら私にもできるかも!」と思ったことを覚えています。
そして1年半の時が経ち、2020年7月、Japan Tableau User Groupの夏の総会で、Makeover Mondayというグローバルな参加型のViz投稿イベントのことを知り、「わー、こんなのあるんだ!」と思ってTableau Publicのアカウントを作り、Viz投稿を始めました。
その後、ご縁があって師匠に恵まれ、2021年2月からDATA Saberプログラムに参加、師匠・同期・先輩Saberと勉強会等で交流しつつ、試練(課題)の一環としてViz投稿を続けていました。
すると、2021年3月、思いがけないことが起こります。
Tableau Public Featured Author選出
Tableau Publicに、Viz作成者というページがあるのをご存じでしょうか?
ここには、数多いるTableau Public内で活動しているViz作成者たちの中から、Tableau Publicの運営が選出したデータロックスターたちが特集されています。
ここに取り上げられている方々は、まさに私の憧れのスター達!
いつか、Featured AuthorのようなVizzerに…という思いはありましたが、
なんとここに選出いただいたのです!(Featured Authors March 2021)
私の誇りです。
いやー、うれしいなー、ゆめのようだなー、なんて思っていると、
その1か月後、もっと思いがけないことが起こります。
海外のYoutube配信イベントにスピーカー参加
ある日、twitterに届いたDMを開いてみると、
差出人は、アメリカを拠点に活動されているAdamさんという方で、
今度、Featured Authorの女性たち(この時のFeatured AuthorはWomen’s History Month特集で、選出されたのは全員女性でした)を集めて、YouTube配信イベントをやるんだけど、来ないか?
と誘ってくれたのです。
多少英語に心得はあるものの、レッスンを除き、普段英語で発言することはありません。
不安な気持ちはありましたが、
こんなこと、二度とないぞ!と決心し、参加しました。
素晴らしい経験でした。
世界中の才能あふれる女性たちの、Tableauとの出会い・ここまでの道のりに耳を傾け、自身も語っていく中で、気が付けば、私はまるで見たことのない世界に立っていました。
Tableauは、こんなに遠くまで私を運んでくれたのか
Tableauが私の世界を変えてくれた
それはとても、とても深い感動です。
イチ会社員としてダッシュボードを作り続けるだけの毎日を送っていたとしたら、決してたどり着けなかった景色でした。
こうして、私はViz投稿の虜になったのです。
Viz投稿で広がる世界
では、なぜこのような一見突拍子もないようなことが起こったのでしょうか?
これこそ、冒頭に触れた、”Tableauコミュニティのすごみ“です。
Tableau自体が(当然ですが)日本に閉じた製品ではないので、Tableauユーザは世界中どこにでもいます。
よって、ごく自然に、Tableauのコミュニティは世界中に広がる、多層的で巨大なコミュニティを形作っています。
いかなるコミュニティも始まりは「個人たる私」、だと私は思っています。
そこから、
身近な社内には、同僚や上司、社内コミュニティ、
会社を一歩出て国内には、DATA Saberの仲間たち、JTUG(Japan Tableau User Group)やその分科会、
更に国外に目を向けると、
私がHOMEとして愛してやまない#MakeoverMonday、
世界中のテクニシャンが集うWorkoutWednesday #WOW2021、
Prep Builderの腕磨きに最適な#PreppinData、
データの可視化でSocial Goodを目指す#VizforSocialGood、
そしてアダムさんが私を呼んでくれた#Vizconnect、
この、一見途方もなく遠いところ、別の世界に見えるようなコミュニティですら、”Tableau”という共通の文脈でつながっています。
だから、日本の会社員の私が、アメリカのYouTube配信イベントに出ていることだって、突拍子のない話ではないのです。(実際、あの日参加していた女性たちは国も職業もみんなバラバラです)
そして、私だけに特殊な事象でもありません。
Tableauコミュニティが、「個人たる私」を、そのどこまでも続く地平の先へ導いてくれるのと同じように、「個人たるあなた」もまた、Tableauコミュニティはその地平の先へいざなってくれます。
集合知に勝る英知はない 1人でやりこむ<<コミュニティ
このように、社内でイチTableauユーザとしてダッシュボードを作るだけでなく、コミュニティで活動するようになって、私は一つの確信を得ました。
集合知に勝る英知はない ということです。
特に、これは日本の文化かもしれないですが、
・知らない・できないことが恥ずかしい
・質問したりなんて気が引けてできない
・みんなすごいから私は混ざれない
⇒1人でひっそり・こっそりやりこむ
という結論に達する方が多いように思います。
確かに、優良な学習動画プログラム等もありますし、特に基礎を体系的に学びたいという最初の段階ではどっぷり自分の世界・自分のペースで。というのも悪くないと思います。
ただし、ある程度Tableauが手になじんできたら、次に待っているのは、「練習」「場数」の世界です。
Tableauの学習は、楽器や語学の習得に似ています。
教則本と自主練だけで素晴らしい演奏家になれるかというと、なかなか難しいですよね。
その点、コミュニティは、「な、なんだこれやってみたい!」と勝手にうずうずしてしまうような作品や、「そんなこと知らなかった!」という新しい知識との出会いの宝庫です。
それに、同好の士と言いますか、コミュニティの仲間たちとの交流は、退屈でつまらなくなりがちな「練習」を続けるモチベーションになります。
また、もしコミュニティの中で活動してみて、他のみんなは苦労しているようだが、自分にとってはさして苦労でもない。と思える分野があったとしたら、ジャックポット!大当たりです。それは自身の長所の可能性が高いです。
私の場合は、ストーリー型のダッシュボードのデザインが得意なこと。これが長所です。
これも一人でやっていれば気づく余地はありません。
具体的にどうしたらいいの?
Tableau Desktop を自由に使用できない環境の方は、無償のTableau Public Desktopのインストールを
ちなみに、Tableauは会社のPCには入っているけど、高価なソフトだから自分では購入できないし、お金がかかるから、仕事以外でTableauの活動はできない。と思っている方、いらっしゃいませんか?
ほぼTableau Desktopと同等の機能を使用できる、無償のTableau Desktop public edition というソフトがあり、Tableau Publicのページからダウンロードできます。
有償のCreatorライセンスをプライベートで所有しているユーザはごくごく小数で、コミュニティ活動に参加しているTableauユーザの多くが、このPublic版を使用して、費用の負担なくVizを作成して投稿活動に勤しんでいます。
ちなみに、このPublic版は、保存するとそのままTableau Publicのクリエイターページ(↓こういうの)に公開されてしまうので、
★仕事のデータをこっそりPublic版で描画して保存、全世界に守秘義務のあるデータを公開してしまうことのないように気を付けましょう!
あくまでPublic版はオープンデータを扱うもの・場所と心得るのが大事です。また、このPubic版は接続できるデータソースが限られており、データベースへの接続はできませんが、多くのViz投稿イベントでは、主催からcsvやExcelなどでオープンデータソースが配布されますので、Public版で不自由に感じることはほぼないと思います。
Tableau public Desktop の詳細はこれらの解説サイトが参考になります。
Vizを作って投稿する
オススメのイベントをご紹介します。
MakeoverMonday
毎週お題のVizとデータセットが配布されます。参加者は、配布されたVizを自身のアイデアやテクニックを用いて、より良くMakeover(作り直す)して投稿する。という趣旨のコミュニティです。
比較的データセットがシンプルなことが多く、初心者の方から熟練の方まで幅広く参加しやすいと思います。
参加の敷居が高い方は、まずはtwitterで#MakeoverMondayを検索するだけでも。
素晴らしい作品にたくさん出会えます。
同時に、「え、これでいいの?」みたいなシンプルな作品にも多く出会えるはずです。
なんかすごい事ができないと参加しちゃいけない、というわけではなく、みんな自分のペースで参加しているんだ、というのが実感できると思います。
一時休止していましたが、2022年10月現在ウィークリーで、データ配布・Watch Me Viz(ホストのアンディの制作・解説動画配信)、Viz Review(ホストのエヴァによるVizのレビュー・講評動画)が提供されています。
参加方法の詳細は以下のブログが詳しいです。
WorkoutWednesday
テクニックを磨きたい、という中級者以上の方にうってつけのコミュニティ。MakeoverMondayと同じく、毎週お題のVizとデータセットが配布されますが、WorkoutWednesdayのアプローチは、配布されたお題のVizがどう作られているかを推測し、自身の知識とテクニックでお題のVizを正確に再現する。なので、表現力というより、技術力特化型のコミュニティですかね。
私は残念ながら参加したことはないのですが、腕自慢の巣窟のイメージあります笑
参加方法はこちらのブログが詳しいです
和Vizユーザー会 #和Viz
海外のコミュニティは敷居が高いな…という方には、国内のVizイベントもあります。
こちらも私は残念ながらワークショップに参加したことはないのですが、
オンラインイベントに参加し、イベント中にグループワーク等で実際に手を動かしながらVizを作り上げていくスタイルのユーザー会です。
参加レポート記事が参考になります。
その他にも、Viz for Social Good, Sports Viz Sunday, SDG Viz Project, Preppin Data, etc,,,とにかくたくさんあるので、ご自身の嗜好にあった場所をHOMEにしてまずは投稿してみると良いと思います。
どのコミュニティも温かく迎えてくれるはずです!
Vizを見せ合ってFeedbackしあう!
特に私がHOMEにしているMakeoverMondayでは、このFeedbackの文化がほんとに盛んで、国境を越えて「ここ、こうしたら?」「こういうやり方知ってる?」といったFeedbackが飛び交います。
いきなりコミュニティの中でこういうFeedbackをしに行くのは難しいと思うのですが、身近な方、会社の同僚や、もしあなたがDATA Saber Apprenticeであれば、師匠や同期と作ったものを見せ合って、Feedbackし合うのがオススメです。
その際は、ただ「好きです」「きれいですね」ではなく、「構成比の描画に、ツリーマップを用いるのは効果的ですね」など、具体的に理由を挙げるのがよいです。
(といいつつ、twitterでよく感情に任せてSuper Cool! Great! I love it! などとコメントして回っているのは私ですが、あれはファン活動です(言い訳))
更に踏み込むのであれば、「改善点と改善案」までFeedbackに盛り込めると格段に効果が上がります。
改善点の指摘は意外と難しいものです。
というのも、自身の中に、「理由を説明できる正解」がなくては、改善点に気づくことも、ましてや改善案など提示できません。
困難な道のりですが、「好き嫌い」以外でVizを評価できるようになるかは重要な要素です。ぜひ特訓をおススメします!
Inputもする!他の参加者の作品を大いに鑑賞する!
たまに、Makeover Mondayに参加する方で、
影響を受けちゃうので、他の方の作品は見ないようにしてます。
どうしてもアイデアが出なくて、他の方の作品を見てから作っちゃいました。
という方を散見するのですが、他の方の作品は、「見てください」。
作るのと同じくらい、見ることを大事にしてください。コミュニティは、自分の作品をOutputする先であるのと同時に、極上のInput空間です。私はコミュニティに対するoutputとinputにかけている時間・リソース配分がだいたい1:1。つまり、コミュニティ活動の半分はコミュニティ内の作品を鑑賞したり、その作品の構造を分析することに費やしていることになります。それでも、私はいつもInputが足りない、と感じています。
そもそも、Vizの目指すところは、Visual Best Practiceの体現であって、オリジナリティは後から勝手についてくる副産物、くらいの捉え方がオススメです。
また、Tableau Public上のVizzer達は太っ腹なので、大抵の人が、ワークブックのダウンロードを可能にしてくれています。
「これ、どうやってるんだろう?」と思った作品は、遠慮なくダウンロードして中身を拝見しましょう!
私も毎週のようにいろんな方のワークブックを覗いては新しい気付きをもらっています。
ちなみに、影響を受けすぎちゃって、パクリって言われるのが怖いんです。
という方も多いと思います。
そういう時は、ぜひ投稿をtweetするときに、
Inspired : @参考にしたVizの作者 Thank you!
「この人にインスパイアされました、ありがとう!」とこちらからメンションして伝えるとよいです。
みんなとっても喜んでくれます。
さいごに
みなさん、私が最初にした自己紹介のこと、覚えていらっしゃいますか?
藤原理香 都内で働くデータアナリスト…
ですが、最後に、Tableau Enthusiastとして自己紹介させてください。
私はこの、Viz投稿を始めて出会ったもう一つの私の顔をとても気に入っています。
Rika Fujiwara
Tableau Public 上に公開しているViz82個 フォロワー448人(2021年9月現在)
Tableau Public Featured Author 2021
主な活動の場、#MakeoverMonday
きっとViz投稿はあなたにとって素晴らしい経験になります。
みなさんのご参加を、心よりお待ちしております!
おわりのおわりに 近況報告
…という記事を執筆したのが、もうおよそ1年前ですね。(2022年10月現在)
その後、
・Tableau Conference 2022 Viz Gallery Featured (ウェブ・ラスベガス会場でのViz展示)
・Tableau Public Ambassador 2022 就任
・ BIコンサルタントとして、シアトルベースのコンサルティングファームに転職。
など、相変わらず、Tableauとそのコミュニティのすごさに圧倒されるばかりです。キャリアまで変わってしまいました。
しかし、この記事を書いて1年、大きく変わったのは、コミュニティの恩恵を受ける側から、コミュニティに貢献する立場にシフトしたことだと思います。今度はあなたの番よ、と背中を押されている気がします。
ユーザーグループに所属せず、ふらふらと神出鬼没ですが、コミュニティの強さは、活動・人の多様性にあると信じて、私なりに。そして、誰もが自分なりの方法でコミュニティをリードできる世界観を目指して、活動を続けていきます。
今年は特に、イベント登壇などでみなさまのお目にかかれるよう、頑張る所存なので、どこかで見かけたらぜひお声がけください!私もいろんな方とお話したいです。
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