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silentは障害を持つ人に寄り添っているか

どハマりしているドラマsilent。


毎回気持ちよく涙活してますが、第9話で唯一引っかかったのが、想の姉、華のエピソード。

妊娠している華。子どもが想のように、聴覚障害をもっていたらどうしようと心配し、検査の結果、「大丈夫だった」と安心するシーンです。

一見、親の心をシンプルに描いているように見えますが、
障害がない=大丈夫
障害を持つ=大丈夫じゃない
と言う図式は障害を持っている人を傷つける発言のように感じました。


Twitter上では、華が生まれてきた子どもに「優生」と書いて「ゆうき」と名付けたことに優生保護法※を想起させる、とのコメントがあり、ますます気になりました。


※優生保護法とは、障害のない人を優れている、障害を持つ人を劣るとみなして、障害のある人が増えないように、障害を持つ人には強制的に不妊手術をして子孫を増やさないようにすることを合法としていた法律です。


障害のある人を傷つけるようなシーンを入れたり、障害を持たずに生まれてきた子に優生と名づけたり。
SNS上には、デリカシーがない、残念、と批判の声がありましたが、私はその逆、狙いがあって故意に挿入したエピソード、意図的な命名なのではないかと考察しています。


脚本家の生方さんは群馬大学医学部保健学科を卒業され、看護師としてのキャリアもお持ちの方。
障害を持って生まれてきたら、あるいは人生の途中で障害者になってしまったら、健康な人よりも不幸で、劣っていることになってしまうという価値観にはきっと疑問を持っていらっしゃるはずです。


なので、きっと、このひっかかりは次回以降、恐らく想が紬に対しても、この先自分と結婚することになったら、姉と同じ不安を抱かせることになると感じて距離を置こうとする動機になって、切なさを際立たせるとともに、視聴者みんなに、ねえ、本当にそれでいいんですか?と強く訴えかけるために生きてくると思うのです。


一方で、想と紬が大好きなスピッツ、楓の歌詞に二人を重ね合わせると、こちらにも紬の幸せを願いながら離れて行こうとしている想がいる。


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忘れはしないよ 時が流れても
いたずらなやりとりや
心のトゲさえも 君が笑えばもう
小さく丸くなっていたこと

かわるがわるのぞいた穴から
何を見てたかなぁ?
一人きりじゃ叶えられない
夢もあったけれど

さよなら 君の声を 抱いて歩いていく
ああ 僕のままで どこまで届くだろう
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恋愛>友情になりがちな展開を崩し、登場人物一人一人を主人公に劣らぬ丁寧さで描いている生方さん。きっと最終回もありきたりでない2人のラストを用意されていると思いますが、どうか希望と幸せいっぱいの関係が描かれますように。

障害を持つ人も、持たない人も、優劣ではくくられない存在価値を持ち、一人ひとりが輝いていくラストを期待しています。

※日経xwomanアンバサダーブログより転載

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