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スピード結婚の現実

親友の知人だった彼と、
3人で飲み会をした事がきっかけで、
交際をするようなった。

最初から、
あまり気をはらず、
緊張せずにいられたのは、
彼が初めてだった。

転勤族の彼との
交際にあたり、
「遠距離恋愛は、私は無理です。
それまでで、良ければ…」
というスタートだった。

とにかくお互い
仕事が忙しく、
なかなか
ゆっくり会う時間が
作れなかった。

私の両親が厳しく、
仕事以外で、
帰りが遅くなる時は、
・22時が門限。
・外泊禁止。

仕事が休みの日は、
・なるべく17時までに帰宅
・家族と食事をする。

平日は、深夜残業を理由に、
帰宅時間を遅らせ
彼と少し会って帰る。

休みが合えば
ドライブに行く事が多かったが、
携帯電話をまだ持っていない時代。

行き先が遠くて、
門限に間に合わない
連絡を
公衆電話でするも、

「今、誰と何処にいる?
とにかく、早く帰って来い!」
と、父の怒鳴る声が
受話器から響く…

どこへ居ても
何をしていても
父に監視されているようで、
時間を気にし
楽しめなかった。

ドライブで、
遅くなってしまった時は、
彼も、
一緒に両親に
頭を下げてくれた。

父は、面倒見がとてもよく
人を食事に誘ったり
プレゼントをするのが好きで、

彼とも食事をしたり、
独り暮らしで足りない
家電製品をプレゼント
してくれたりした。

父はお酒が強いのに対し
彼は、お酒がとても弱い。
父に付き合うのは、
とても大変そうだった。

出会って、数ヶ月で
彼の転勤が決まった。

新店舗の開設準備員に
選ばれての転勤だった。

転勤が決まったら、
10日~二週間程度で、
転勤先に移らなければならない。

転勤の内示が出てすぐ、
彼は、
私の実家に挨拶に行く!
と言った。

両親にその旨伝えたら、
「もし、もらいに来る内容の挨拶だったら
どうする?」
と父に聞かれ、

「相手のご両親と、
同居しなくても良いのであれば、
お受けしたいです」

と答えた。

交際間もない時から

「だまされたと思って、
俺と結婚しない?!」
と何度も言われていた。

「だまされるの嫌だから、
しないよ!」

と冗談で
答えていたのだが。

転勤のご挨拶という事で、
仕事が終わってから、
私の実家に来てくれて、
仕事の話をしながら
両親と4人で食事をした。

後半、あらたまって話始めた彼を
父は、和室に通し、
きちんと話を聞く姿勢をとった。

「結婚させて、頂きたいのですが、
お許し頂けますでしょうか」

そんな感じの言葉だったと思う。

それに対し父は、
「娘は、とても繊細で心が弱い。
もし、ご両親と、同居となると、
きっと、気を遣い神経をスリ減らして
やっていけないと思うのだが、
その辺りは、どう考えてるの?」と。

彼は、
「長男ではありますが、
転勤もありますので、
同居は考えておりません」と。

こんな感じの会話で、
出会ってほんの数ヶ月で
結婚が決まってしまった。

私は23歳になったばかり
彼は25歳だった。

その後、
転勤引越の準備をしつつ、
彼は、彼のお母さんに 
「結婚するよ」と伝えたらしい。

お母さんも、
ビックリしていたようだが、
善は急げで、
ご両親揃って、
私の実家に
ご挨拶に行かなきゃ
と言ってくれたようだ。

ご挨拶に来て下さる日は、
遠方にいる兄夫婦も
かけつけてくれた。

主人の父は、
病気で視力がだいぶ失われていた。
普段から口数の少ない方でもあり、
主人の母と
私の両親とで、
結納の時期や
結婚式場の手配について、
話し合っていた気がする。

主人の両親とは、
この日が初対面だった。

主人の母が、
式場探しをして下さり、
その年の11月に決まった。

出会って
1年未満で、
バタバタと決まったのだか、

同じ県内とはいえ、
忙しい彼と、
はなれながら、
結婚式の打ち合わせや
新居探しは、
ほとんど私一人が決めた。

忙しさで、
結婚式の事に、
気が回らないのか、
面倒なのか…

任せるよ! 
という言葉に、
とても寂しさと不安を覚えた。

結婚が決まる前は、
とても優しかったのになぁ~
『釣った魚に餌はやらない』
ってこういう事か…
などと
マリッジブルーに陥っていた

婚約指輪は、
一緒に買いに行ってくれた。

結婚指輪は、 
義姉と選びに行った。

披露宴で流す音楽の編集も、
私一人でやった。

結婚式が近づくにつれて、
彼との結婚生活の不安が
大きくなっていった。

気持ちが不安定な私に、
母は、
「結婚、やめていいんだよ!」
と言ってくれた。

席順やお料理、引き出物を決める時に、
母と主人の母の意見の違いで
ちょっと険悪な雰囲気に。

両家のお料理や、
引き出物、
別々にしようか…
なんて話もでたりして。

結婚式で、
両家の中が悪い…みたいに
みられるのは、
良くないので、
彼の母が、
折れて下さった。

色んな決めごとに、
無関心だった
彼への不信感は、
つのるいっぽうだった。

思い描いていた、
幸せで楽しい、
結婚式の準備…とは
違ってた。

不安を沢山抱えて、
元気の無い私に、

結婚式当日になっても
「やめるなら、今だよ!」
と言い続け、
逃げ場を作ってくれた母には、
とても感謝している。

無事に、結婚式を終え、
友人や会社関係の方々が
企画して下さった
二次会にも参加し、
その日は、
とても幸せで
楽しく終える事ができた。

翌朝、私と夫は、
新婚旅行に出発した。

旅行会社の、
ガイドなど付かない、
二人だけの旅行。

フロリダディズニーワールドへ。

デトロイトの大きな空港内での
乗り換えは、
とても大変だった。
英語は話せないが、
英語が読める夫が救いだった。

4泊7日、楽しく過ごした。

帰りは、飛行機の故障で、
2~3時間、足止めをくらい、
日本に着いた時は、
帰りの列車に
間に合わなかった。 

空港に迎えに来てくれてた
兄夫婦の
お世話になり、
1泊し、
翌日、帰ってきた。

駅に着き、
すぐ夫の母に、
無事に着いた報告電話をした。

「あなたたちがいない間に
お父さんが救急車で運ばれて、
入院している」と…

荷物を置いてすぐ、
夫の父の見舞いに向かった。

新婚旅行の楽しい時間から、
一気に現実へ戻った瞬間だ。

嫁として
病院訪問の
始まりでもあった。