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Brand New WIND

さくら舞う春色に 新たな風が吹いた
まるで あの頃に置いてきたものを
思い出させるように
ただひたすらに純粋で真っ直ぐで眩しかった
これは 君と 君たちと奏でるオーバーチュア

この一瞬が
雨上がりのきらめきのように乱反射して
どこまでも響いていく

もう一度 ここから


あの夏 季節外れの冬眠を強いられた僕ら
誰のせいでもない 誰しも非があった
後悔も涙も怒りも 声に出すことは叶わず
全てが流れるだけで
ただ諦めることしかできなかった

明けない夜はない 止まない雨はない
それならば
終わらない冬もないはずだと信じていた
信じていたかった

春が来たら花を咲かせられるように
今の自分にできることを探していた

乾いた秋色をただ眺めること
音も無く舞う白に願うこと
たとえ それが果てのない望郷心ノスタルジアでも
どんな形であれ 今の自分ができることで

本当は他の誰かに期待していたのかもしれない
きっとなんとかなる
いつか誰かが動いてくれる
そうやって現実から目を背けていた

だから あの真っ直ぐな音に心が動いたんだ
この光を ずっと待っていたから
確かに春を感じたから

走って 叫んで 気がついて
理由なんていらない
したい 見たい 聞きたい
そんな願望でこの小さな世界は回っている
きっと僕らは青い苺なんだ
不確かで 不安定で 足りなくて
だけど 未来への可能性は無限大に持っている
正しくなくても 遠回りしても
僕らがここにいる証を音に溶かして
真っ新なキャンバスに描けばいいんだ

はじめまして も もう一度 も関係ない
スタートラインは今 ここにある
躓いて転んでも きっともう止まれない
だって
こんなにも高鳴る鼓動を無視できないから

あの時とは違う季節を歩き出して
僕らは再び綾線を目指す

甘く優しい香りに包まれてワルツを奏でて
どうぶつ達も踊り出してしまうような
そんな非現実的な音楽を楽しもう

太陽みたいな向日葵とマリンブルーの空が
似合いの僕らになれていたら100点満点だ

爽やかな秋色の下でティーパーティーを開いて
風に吹かれる紅や黄の声に耳を傾け
なんでもない日をお祝いしてさ

かがやく白が舞う空になったら
この先も 永遠にとは言わないけれど
時間の続く限り今以上を更新できるようにと
願いを込めて
汗っかきのサンタクロースを待ちながら
僕らは目を閉じる

どんな未来に どんな音に出会うだろう
支え合って 時にぶつかって
ひとりでは届かなかった場所に手を伸ばして
自分のために 誰かのために
たった一人の 大切なあなたのために

ひとりひとりが抱える思いも
この場所にいる理由も違うけれど
見たい景色はただ一つで
それはすべて いつか見た夢に繋げるため

もう迷うことはない
AdagioアダージョでもAllegroアレグロでも 好きな速度で
思うままにこれが僕らだと胸を張って届けよう


堂々たる眼差しと強く美しい音を持って
色鮮やかな日々を駆け抜ける君へ 君たちへ

いつもこちらがもらってばかりで
何も返せない無力さを痛いほど感じていた
それでも君たちは そんなことはない
あなたがいてくれて良かったと
心からの言葉をくれるから
ここにいて良かったと思えた
ここにいる理由になった

絶対や必ずなんて確証はどこにもない
けれど
君たちが奏でる努力は 間違いなく
心に届いている 響いている
だから どうか君たち自身を信じてほしい


失ったものを取り戻すことはできなくて
刻まれた事実を覆すこともできなくて
ただ
与えられた平等な時間の流れの中で
散らばった欠片を集めて
繋ぎ合わせることはできたんだ
そうして生まれ変わった僕らなら 君たちなら
きっと叶わなかった夢を現実にできる



さぁ 今日という ハレの日に相応しい音を

新しき船出のファンファーレを

予測不可能な未来へ いざ


吹き抜けろ 青春

吹き抜けろ 僕らの音楽

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