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B2Bマーケティングでは顧客の違いを意識することが重要

2020年10月21日(水)のMBA Essentialsのレポートです。

今回は、今村 英明先生による、
「B2Bマーケティング」
です。

今村先生に関しては、下記を参照ください。
http://www.shinshu-u.ac.jp/graduate/im/teacher/imamura.html

今回は、講義⇒ケーススタディ⇒講義、の順で授業が進められていきました。

非常に沢山の話があったのですが、自分が重要だと思ったのは下記の点でした。

- B2CとB2Bの違いは顧客と購買意思決定プロセス
- マーケティングの分析で重要なのは仮説
- マーケティングとは、カスタマージャーニーにおける次の段階に移行するのを後押しすること

一つ一つ説明していきます。

〇 B2CとB2Bの違いは顧客と購買意思決定プロセス
B2Cの場合は基本個人が対象となります。個人の場合は意思決定プロセスはシンプルで、その個人が買いたい、と思えば買うことになります。

一方、B2Bの場合は組織が対象となります。その場合、組織内でのプロセスに従って購買意思決定(BDM)がなされることになります。また、意思決定の単位も組織や購入する部署によってまちまちですし(経営者が決めたり、購買部門が決めたり、開発部門が決めたり)、意思決定の基準も様々です。さらに、意思決定プロセスは一般的に複雑で長いことが多いです。よって、対個人のように単純なわけではない、ということを認識しておく必要があります。

また、上記のプロセスは会社によってもまちまちなため、マーケティングや営業の際には、誰が意思決定におけるキーパーソンになるのか、といったことを押さえておく必要があります。下記はケーススタディで出てきた一例ですが、ある商品を販売する際に、

- 小企業: 社長が決める
- 中企業: 現場が介在して決める
- 大企業: 購買部門が決める

という特徴があり、現場が介在して決める中企業だけ成約率が悪い、といった話も出ていました。

なお、各企業の購買意思決定がどうなされているのか、を知る方法については、

・営業担当者に話を聞く
・営業担当者から聞いたキーパーソンにアンケートを送付して回答してもらう
・ライバル企業だと回答してもらえないこともあるので、その場合はコンサルタント経由で回答してもらう

などの手法により情報収集する、とのことでした。

このようにして、顧客の購買意思決定を認識した上で、マーケティング戦略を立てていくことが非常に重要となります。

〇 マーケティングの分析で重要なのは仮説
こちらはよく言われることですが、分析を行なう際にはやみくもに情報収集を行なうのではなく、仮説を持って情報収集・分析を行なうことが重要、という話がこの講義でも出ていました。

ケーススタディでは、市場構造図を中心に分析がされていましたが、その分析の元になっているのは、営業・顧客へのインタビューを元にした仮説だったそうです。流れとしては下記です。

- 営業・顧客へのインタビュー
- 「対中小企業が鍵では?」という仮説を立てる
- 上記仮説を市場構造図で分析して検証する

ここで重要なのは、仮説もさることながら、それを検証するフレームワークは、仮説検証に応じた適切なものを使う、ということです。分析フレームワークは世の中に溢れているので、その中で今回の仮説検証や深堀りに適したものを選択していくことが重要です。また、フレームワークを選んだとしてもセグメンテーションの切り口は無限にあるので、その切り口も仮説に応じてトライアンドエラーで考えていく必要があります。

なお、市場構造図というのは、検索しても出てこなかったので説明しますと、下記のように、縦軸にセグメント(ここでは従業員数)とその割合を高さで示したもの、横軸をセグメント内での分類(ここでは、自社・他社・未導入)を示したもので、面積によりその市場規模が分かるものです。この例で言うと、399人以下の会社は未導入が大きく今後の市場拡大が見込まれるにも関わらず、自社が導入出来ていないことが分かります。よって、事業拡大を狙うならば、未導入部分の面積が大きいセグメントを狙う戦略を立てる、ということが考えられます。(勿論、苦手な部分は原因分析した上で捨てる、という戦略も成り立ちます)

市場構造図

勿論、市場構造図のつくり方はこれだけではなく、縦軸・横軸の切り方のバリエーションは無限にあります。よって、その時に応じて適切なものを選んでいく必要があります。

〇 マーケティングとは、カスタマージャーニーにおける次の段階に移行するのを後押しすること
マーケティングにおいて、カスタマージャーニーを考えることは非常に重要です。顧客は、下記のような旅を経ていく、と言われており、

Awareness (気づく) ⇒ Interest (興味を持つ) ⇒ Search (検索する) ⇒ Action (購入する) ⇒ Share (共有する)

右に行くに従って人数が減っていく、と言われています。段々細くなっていくため、マーケティングファネル(漏斗)と呼ばれたりします。次の段階に行くことをコンバージョンと言ったりしますが、このコンバージョン率を上げていくことが重要となります。これを後押しするのがマーケティングの役割、ということです。

特に最初のAwarenessに関しては、放っておくと課題に気づかない企業もいることから、先んじて手を打っていく必要があります。

気づきには下記のように3つの段階があり、

- 問題に気づく
- 放っておいてはいけないことに気づく
- 手に入る解決策があることに気づく

3段階目まで持っていくことが出来れば、営業活動により購買に結び付く可能性がある、ということです。ここに結び付けるために、

- リードジェネレーション(顧客発掘): 見込み顧客を集めること
- リードナーチャリング(顧客育成): 見込み顧客に継続的な情報提供をし、顧客に気づきを促すこと

ということを行なって、気づきの段階を先に進めていくことが重要となります。(なお、リードジェネレーションとリードナーチャリングは具体的な説明がなかったので簡略化した自分の解釈となります。多分詳細はこんな雑な概念ではないと思いますのでご自身で調べてみてください)

今回は、Awarenessの部分がメインでしたが、カスタマージャーニーの各段階におけるコンバージョン率を測定し、コンバージョン率が悪いところに対して分析して対策を打っていくことで、最終的な売り上げ増につなげることが出来るため、カスタマージャーニーを考えることは非常に重要です。

〇 まとめ

今回は上記以外にも沢山の内容が盛り沢山でしたので、特にB2Bに関連するであろう部分をピックアップしてご紹介しました。マーケティングにおいては、B2C, B2Bも共通の部分も多いのですが、B2Bの特徴や個別の会社のやり方を理解した上でやっていかないとうまくいかないことも多いのだと思いました。

今村先生、沢山の学びをどうもありがとうございました。

次回は2020年10月28日(水)「市場創造」(池上 重輔先生)です。

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