見出し画像

ジャパネットたかたの成功例から学ぶMBAイントロダクション

2020年7月1日(水)のMBA Essentialsのレポートです。

今回は、内田 和成先生による、
「MBAイントロダクション春」
です。

内田先生に関しましては、下記を参照ください。
https://www.waseda.jp/fcom/wbs/faculty-jp/6070

今回は、ジャパネットたかたの成功について、個人で考え、グループで議論して共有し、内田先生がまとめる、という形で進んでいきました。
結論から言うと、ジャパネットたかたの成功を一言でいうと、下記です。

- 初心者に、量販店の価格で、街の電器屋のサポートがあると「思わせる」こと
- 顧客ターゲット、マーケティング戦略、自社経営資源・オペレーションに整合性があること

こちらの内容を解説していきます。

● ジャパネットたかたについて
まず、ジャパネットたかたについてですが、最初に15分ほどのビデオを見ました。
内容は、10年以上前のジャパネットたかたのデジタル一眼レフの紹介のTV番組の動画だったのですが、最初にA4サイズで大判プリントされた、子供が涙を流している写真を出して、
「これを見ると、なぜ子供が涙を流しているのか、親は鮮明に思い出すことが出来るんです」
「パソコンの中に入れているのではなく、印刷することで何度も見て思い出すんです」

というところから入ります。こういった感情に訴える体験軸から語りだす、というのが非常に特徴的で、思わず「そうだなぁ」と思わせるところがポイントです。そして、

「一眼レフ単体だけではなく、使うのに必要な、SDカード、ケース、ポーチ、HDMIケーブルなどをつけて、79800円」
「さらに、今持っているカメラを下取りに出すと、69800円」
「さらに、今回はプリンタもつけます。こちらも写真紙とUSBケーブルもつけます」

のように続きます。要は、一眼レフカメラだけだと使えないので、普通に使うために必要なものが全部揃ってますよ、ということですね。また、後でプリンターを出すことでお得感を植え付けると共に、最初に言った「印刷する話」を回収します。さらに、

「分割払いで24分割で月々3000円です。もちろん金利手数料はジャパネットが負担します」

と繋げて、金利手数料がかからないので分割で買っても損しない、かつ月々3000円で手に入る、ということで買いやすさをアピールします。

上記の内容を一つの商品(セット)につき、30分くらいかけて説明しています。この長時間の宣伝も特徴です。

これを4Pと3Cでまとめていきます。

● マーケティングの4P
- 製品(Product)
ナショナルブランドだけを扱います。これは消費者のよく知っているブランドを売ることで安心感を与える狙いがあるのだと思います。
品揃えは少ないです。敢えて少なくすることで、悩まなくて済む、という狙いです。

- 価格(Price)
安さをアピールしていますが、正直、セット販売なので値段は分かりません。分からないことによって、比較をしにくくする、という狙いもあるのだと思います。

- 流通(Place)
こちらはTVショッピングですね。

- プロモーション(Promotion)
機能ではなく、使い方や体験を重視したプロモーションを行ないます。
金利手数料がゼロ、というのもプロモーションです。(実際は価格に上乗せされているのですが)
価格の出し方も、最初に出したり最後に出したり、人によって刺さるタイミングが違うので色々なパターンで出しています。

● 3C分析
- 顧客
普通に考えると、顧客は高齢者やビギナーなどになると思いますが、もう少し深堀していきます。売り方としてセット販売をしていますが、正直、プリンターを持っている人にとってはプリンターつきって邪魔になり、要らないから値段下げてくれ、となります。ということは、ターゲットは基本、何も持っていない人、すなわち、

「初めてそのジャンルの商品を買う人」

となります。

また、そういった人達は、ロジャースの普及理論(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%AE%E5%8F%8A%E5%AD%A6)で言うところの、レイトマジョリティ・ラガードをターゲットにしているとも言えます。最初から意識してやったわけではないと思いますが、結果的にはロジャースの普及理論でセグメンテーションを行ない、レイトマジョリティ・ラガードにターゲッティングした、と言えます。

- 競争相手
こちらは色んな意見が出ていました。「街の電器屋」「家電量販店」「レンタル/リース/サブスク(所有⇒利用への変化)」「旅行会社(時間とお金のある人が対象という意味で)」「他のTVショッピング」「他のTV番組(視聴率を食い合う、という意味で)」などです。

ちなみに、受講者アンケートでジャパネットたかたで購入したことがある人の割合は2~3割でした。なので、大半の人はジャパネットたかたでは買ってない、ということになります。自分も買ったことがないわけなのですが、そういう人は、大抵、自分で何がいいかを調べて、それを一番安く買える店で買う(ネットや家電量販店)、ということになると思います。よって、そういうことが出来ない人が対象となるので、家電量販店やネットで買わない人が対象となり、競合としてもそこではない「街の電器屋」というのがメインになってきます。(ただ、時代が変わってくると競合も変わってきます)

ここでのポイントは、何を競合と捉えるかにも色んな考え方がある、ということかな、と思いました。Q&Aセッションで、「どうやって競合を探すか?」という話があり、内田先生からは、5 Forces分析を行ない、それぞれのForceが戦略を変えてきた時に競合になりうるので、そこから考えていくのが良い、とおっしゃられていて、「なるほど」と思いました。

- 自社経営資源
こちらで真っ先に出てきたものは、設備でした。自社で放送スタジオを持っていますし、コールセンター・倉庫・物流・設置サービスも自社でやっているそうです。あとは、放送局とのパイプも経営資源と呼べるのではないか、という話もありました。

とはいっても、一番の経営資源は「高田社長の話術」、ということが言えると思います。自分も、高田社長が出た時とそうでない時で売り上げに大幅な差がある、という話を聞いたことがあります。よって、高田社長という経営資源を最大限に生かすために、移動なしで放送が出来るように、自社で放送スタジオを持っている、という話がありました。

また、ライブ放送にもこだわっていて、ライブと録画で売り上げに5倍もの差が出る、という話もありました。それと関連して、コールセンターも自社で持つことにより、放送中にリアルタイムに売り上げの情報が上がってきます。それにより、売れている場合にはその商品を引っ張り、売れていない場合にはさっさと次の商品に移る、といったことも可能になります。

このように、やっていることが全て繋がっている、ということが重要なのだと思いました。

● まとめ
今回は、ジャパネットたかたの成功を題材に、自分で考え、議論して、色んな視点を得て、先生のまとめを聞く、という流れで学んでいったので、書くだけでは得られない学びがありました。

また、下記のジャパネットたかたの成功についてですが、

- 初心者に、量販店の価格で、街の電器屋のサポートがあると「思わせる」こと
こちらは、最初の川上先生の講義に繋がりますし、

- 顧客ターゲット、マーケティング戦略、自社経営資源・オペレーションに整合性があること
こちらは、山田先生の講義に繋がるものがあります。

そういう意味でもMBA Essentialsの学びに整合性があるんだなぁ、と感じています。

内田先生、どうもありがとうございました。

次回は、春期ラストで、7/8(水) 「アカウンティング~クイズとレクチャーで基礎を学ぶ」(西山 茂先生)です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?