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新しいビジネスモデルを創出し、成功確率を高めるには、2つ以上の視点を組み合わることが重要

2020年6月17日(水)のMBA Essentialsのレポートです。

今回は、長谷川 博和先生による、
「アントレプレヌールシップ~成功確率を高める手法を学ぶ~」
です。

長谷川先生につきましては、下記を参照ください。
https://www.waseda.jp/fcom/wbs/faculty-jp/6058

今回の内容も盛り沢山でどうまとめるか迷うところもありますが、やってみたいと思います。

今回は、下記のアジェンダでした。

- 新型コロナとビジネスチャンス
- 新しいビジネスモデルの創出
- ベンチャーエコシステムの重要性

一つ一つ説明していきます。

● 新型コロナとビジネスチャンス

こちらは、新型コロナによるビジネスチャンスをどう見つけていくか、という話です。
色々な話があったのですが、重要なことは

「新型コロナにより、人々の価値観の変化や企業内のDXが急速に進んでいるため、新しい価値観・論理に基づいて考えていくことが重要」

ということだと思いました。(当たり前と言えば当たり前の話ですが…)

この中でよく話に出ていたのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)やリモートワークについてです。新型コロナにより、急速にDXが進んでいますが、その中で、リモートワークにおけるメリット・デメリットというのが出てきています。

・物理的課題: 遠距離でも繋がれる一方、コミュニケーションや体験が希薄になる
・効率化課題: 効率化・コスト削減が出来る一方、マネジメントやメンタルケアがしにくい
・通信環境課題: ログを残しやすく、蓄積・分析による改善が図れる一方、リモート環境整備やセキュリティ面での課題がある
・プライベート両立課題: 家族やプライベートの時間が増える一方、プライベートと仕事が切り離しにくい

今後を考えても、リモートワークは、新型コロナ前に比べると行なわれ続けることを考えると、このデメリットにある部分を解決することが出来れば、そこがビジネスチャンスになる、ということでもあります。

また、グローバルにおける顧客消費行動の変化も加速していると言われており、

モノ消費⇒コト消費(体験)⇒トキ消費(今しかできないこと)⇒タメ消費(SDGsなどの社会のため)

のような変化に加えて、

「ヒト消費」(共感消費: 総合的一貫性・ストーリー性)

が進んでいます。

このように、色々な変化が起きており、さらに新型コロナで加速している、という状況の中で、重要なことは、ドラッガーの

「混乱時における最大の危機は、混乱そのものではなく、従前の論理に基づいて行動することである」

ということだと思いました。これをやっていかないと、ビジネスチャンスを掴むどころか、生き残ることすら難しくなる、ということを示していると思います。

● 新しいビジネスモデルの創出

こちらは、新しいビジネスモデルを創出し、成功確率を高める方法についての話です。
色々な話があったのですが、重要なことは、

「様々な視点から考えると同時に、2つ以上の視点の組み合わせを持つことで成功確率が高まる」

ということだと思いました。

自分としては、この「2つ以上の視点の組み合わせ」というのが非常に大きなポイントだと思います。やはり1つの視点のみで考えると、アイディアが一般的なものにとどまってしまい、なかなかビジネスモデルとして具体化出来ないので、2つ以上の視点の組み合わせを持つ、というのは非常に有効だと思いました。

例えば、4つの起点、という考え方があります。簡単に説明すると、アイディアにたどり着くには4つの道があり、

1. 技術起点のアプローチ: 基礎技術や新技術からのアプローチ
2. 市場起点のアプローチ: 拡大する市場や新市場からのアプローチ
3. 社会起点のアプローチ: 社会課題からのアプローチ
4. 人間起点のアプローチ: 人が感じる価値や、その価値観や行動などのからのアプローチ

というのがあるのですが、それぞれ下記のような問題点があります。(人間起点のものは、そうなのかなぁ、と若干疑問に思いましたが…)。

1. 技術起点のアプローチ: 成功打率が低い
2. 市場起点のアプローチ: アイディアがなかなか生まれない
3. 社会起点のアプローチ: 社会貢献活動やニッチに収まりがち
4. 人間起点のアプローチ: 自社がやる必然性と事業性が見えづらい

こういった形で、単一の視点だけではなかなかビジネスモデル創出まで行きつかないので、二つ以上の視点を取り入れることが有効、とうことです。

具体例としては、ルンバが挙げられていました。

技術: 空気を吸う・モノを感知しながら動き回る
人間: 床をきれいな状態に保つ・動き回ってかわいい・留守でも夜中でも勝手にやってくれて嬉しい

を組み合わせて作られたもの、ということですね。

また、同じような発想で、体育館などで、「自動的に椅子が動いて必要な形に整列するシステム」などもアイディアになるのではないか?という話をされていました。

4つの起点以外にも、業務のデジタル化・ソーシャルネットワーキングなどの「メガトントレンド」を2つ以上組み合わせて提案が出せないか、という話もされており、視点の持ち方は色々とあるが、その複数を組み合わせることが重要なのだと思いました。

また、アイディア発想のための話もあり、クリステンセンの「Innovator's DNA」の中で、「イノベーションを起こし"続ける"会社が持つDNA」として、下記が紹介されていました。

1. Associating (結びつける): 一見関係のないものも結び付けて考える
2. Questioning (疑問をもつ): 常識となっているものも含めて様々なことに疑問をもつ
3. Observing (注意深く観察する): 主観を捨てて徹底的に観察する(疑問を持つ、にも関連)
4. Experimenting (検証する): 思いついたものはやってみてPDCAを回す
5. Networking (異文化の人と交流する): 社外の人と交流して知識を得る(結びつける、にも関連)

全て重要なのですが、自分としては、5と1(敢えて順番を逆にしています)が特に重要だと思いました。入山先生のところでも話があったのですが、同一業界の中の話だけで考えると、煮詰まってアイディアが出てこなくなってしまうので、異文化の人と交流して、そこで得られた知識を結びつける、というのは非常に重要ですね。

● ベンチャーエコシステムの重要性

こちらは、

「新しいビジネスを生み出すために、(特に大企業は)ベンチャーや大学・政府機関とオープンに協業することが重要」

ということです。

自分はこのあたりに関しては素人なので、正直よく分かっていないところも多いのですが、結局は、上記のクリステンセンのDNAを実践しやすい一つの手段がこちらなのかな、と思いました。
「ベンチャー企業は、大企業にとって高リスク開発を実行してくれる重要なパートナー」
となりますし、
「大企業は、ベンチャー企業にとって成長に手を貸してくれる、また、Exit(=買収)の対象としても重要なパートナー」
となり、WIN-WINの関係を築ける、ということです。

また、こちらとは異なるのですが、Yahooはベンチャー買収後に、ベンチャーの社長を役員にすることで、ベンチャーのネットワークを生かす形でYahooに取り込んでいる、という話もありました。通常は、単なる子会社にしてしまい、親企業としてネットワークなどは生かせないことが多いのですが、うまく新しい風を取り込めているのかな、と思います。

今回は、本当に様々な考え方や事例などが大量にあったため、まとめが本当に大変でしたが、非常にためになる授業でした。長谷川先生、ありがとうございました。

次回は、6/24(水) 「人材・組織~ワークショップで理解を深める」(杉浦 正和先生)です。

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