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【読書記録】お探し物は図書館まで-青山美智子

【2021年本屋大賞ノミネート作品】
お探し物は、本ですか?仕事ですか?人生ですか?悩める人々が立ち寄った小さな図書室。不愛想だけど聞き上手な司書さんが思いもよらない選書と可愛い付録で人生を後押しします。『木曜日にはココアを』の著者が贈る、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。

ずっと気になっていた本だが、図書館で偶然見かけたので読んでみた。心温まる、考えさせられる、素敵なお話だったので、心に響いた文章3選とともに感想をシェアしたい。


今は生活を整えながら、やれることをやりながら、手に届くものから身につけていく。備えていく。森の奥で栗を拾うぐりとぐらのように。
とてつもなく大きな卵に、いつどこで出会うのかわからないのだから。

「お探し物は図書館まで」青山美智子 P.57 

何かを変えたいけどどうしたらいいか分からない時とか、今やるべきことがあってるのか分からなくなった時にもう一度読みたい文章。

私は新卒で入社してもうすぐ1年になる。私は物事を深く考えたり、検討したり、分析したりすることが好きだ。しかし今の仕事は深い思考はあまり求められず、とにかく数字を追う毎日。追っているのか追われているのか分からないが。

今の仕事は自分に合っていないと感じるが、こんなに早くに辞めるわけにもいかない。辞めたところで、いいところには就職できないんだろうなって。

でも、いつまでもこのままなのは嫌だ。
だから、転職しようと思った時に少しでも市場価値を上げられるように、あるいは社内で行きたい部署に異動できるように、自己研鑽しないといけないなと。

やっと生活も落ち着いてきて、こうやって先のことを考える余裕も出てきた。日々の勉強をいつかのための備えと思って取り組んで行きたい。改めてそう思わされた。


「人生で一番がんばったのは生まれたとき。その後のことは、きっとあのときほどつらくない。あんなすごいことに耐えたんだから、ちゃんと乗り越えられる」

「お探し物は図書館まで」青山美智子 P.138

生まれたときのことなんて正直覚えてない。

でも、確かに今目の前の苦しみって、今まで乗り越えてきた苦しみに比べたらどうだろうって考えることは多い。

明日会社に行きたくないなって、日曜日の夜は毎週憂鬱な気分になっている。
でも入社したばかりのもっと辛かったときは泣きながら会社に行っていたし、何が生きがいなのかわからなくてお酒を飲むことで晴らしていたし。
これまでの短い人生、他にももっと辛いことはたくさんあった。

だから、次の一週間の仕事も、辛いけど、なんとか乗り越えられるんじゃないかって。

毎週毎週、そうしてちょっとずつ命を伸ばして生きてる。

こうやって鼓舞しながら、記憶にある限りの人生で「一番頑張った」と言えることを、気づいたら更新している人生を送りたい。そうやって強くなりたい。


「独身の人が結婚している人をいいなあって思って、結婚している人が子どものいる人をいいなあって思って。そして子どものいる人が、独身の人をいいなぁって思うの。ぐるぐる回るメリーゴーランド。おもしろいわよね、それぞれが目の前にいる人のおしりだけ追いかけて、先頭もビリもないの。つまり、幸せに優劣も完成形もないってことよ」

「お忘れ物は図書館まで」青山美智子 P.158

結局、隣の芝生は青いだけなんだよなって。

つい人と比べてしまい苦しくなる。他人より優れていたくて、特別でいたくて、何者かになりたくて。

そんな気持ちが、私は人一倍強い気がする。

でも、私が持っていないものはたくさんあるけど、みんなが持っていなくて私は持っているものもたくさんある。こんなに恵まれているのに、もっと、もっとと求めてしまうのは欲張りなのだろう。

人の幸せと私の幸せは違う。

違うし、どっちがいいとかでもない。
優劣をつけるとしたら、私は私の幸せのほうがいい。

優劣も完成系もないから、この若い時点での幸せなんて比べるだけ無意味なんだろうなって。

理屈では分かるんだけど、なかなかその思考になれない時もある。人と比べて落ち込んでどうしようもなくなったときに、またこの文章に戻ってきたい。


以上、3選でした。

拙い文章を最後まで読んでくれてありがとう。

人生にちょっともやっとした気持ちを抱えている方はぜひ読んでみて。少し心が軽くなるかもしれないから。

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