見出し画像

ちょっと思い出しただけ。

なんでもないふとした時に
ちょっと思い出す事がある

新卒の頃、外回りをしていた時に立ち寄った
某企業の名古屋事務所にて仲良くなった
事務のお姉さんに、いつもの様に自社の
取り扱っているもののお話をした延長で
世間話をしていた所、
「今好きな人はいないの?」と聞かれた

当時23歳、好きな人はいない
過去に彼氏がいた事はあったが
国境を跨ぐ遠距離恋愛の末
自然消滅の経験があるだけ

中学の頃、とある出来事がきっかけで
男性不信へと陥り女子高女子大と
男性が先生しかいない世界で過ごしてきた
新卒で入社した会社や飛び込み先、担当顧客にいる
男性と話すだけでも精一杯なのにいる訳がない

「いないです」と答えると、
その事務のお姉さんは続けてこう言った

「20代のうちに死ぬほど好きだった
って思える恋をした方が良い、
歳を重ねていくとね、結婚の事を考えて
純粋な好きという気持ちよりも安定とか
その人の家庭環境とか考え方とかそういう
条件面が視野に入ってきたり、
だんだん自分の好き嫌いが分かってくるから
好き!っていうセンサーが鈍くなるのよ」

当時23歳、現在28歳、来月で29歳になる
事務のお姉さんの言葉がちょうど響く年齢だ
色んなことがあった5年間だった
自分が何をされたら嫌で、どういう傾向があって、
どんな事をしたくて、どう伝えたら伝わるのか、
人を好きになるということがどういう事なのか、
勉強になった5年間だった

向き合おうと思っても勇気が出なかったり、
勝手に不安になって泣いたり、
彼の言動の全てに振り回されたり、
小説や曲の中でヒロインが悩んだり苦しんでいる
その姿に投影する友人たちの言葉も、
「好きだけじゃ進めないんだよ」と
泣きながら電話をかけてきたあの日の夜も、
どう言葉をかければいいのか分からなくて
ただ静かに話を聞いて美味しいご飯屋さんへ
連れ回して一緒に時間を過ごした日も、
自分自身が失恋をした日も、
悔しくて見返す為にダイエットした日も、
初めて気持ちを伝えた日も、
電話がかかってくる夜が嬉しかった日も、
全部ぜんぶ記憶にあるし時々思い出す

相手のことを死ぬほど好きだと思える恋が
20代のうちに出来た私は幸せなのかもしれない

、なんてな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?