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好きな服を満足に着られると、不思議と胸を張れること


先日、正藍染をやっている友人のあやきちゃんに誘ってもらって、自分には身に余るほどの場所へ行ってきた。なんと、彼女の正藍染ブランド「NORABI」と、誰もが知るブランド「ラルフローレン」がコラボしたのだ。

そのコラボ商品が、店舗リニューアルとあわせてお披露目されるということで、グランドオープンの前日に開かれたお披露目の会に私も同行できることになった!

普段からファッションに疎く、まともな洋服も持っていないし、普段着物が好きで着ているけれど決して美しく装えているわけれはない。
そもそも、以前どこかでお話しした気がするが、私が洋服から着物に乗り換えた理由だって、「洋服生活をしているとどう頑張ってもスエットジャージ生活になってしまうのが嫌だったから」という意識最底辺のものだった。
そんな私が、全世界に最新のファッションを発信しているブランド様のお披露目会だなんて、きっと場違いも甚だしいはずだ。それでも、せっかく誘ってくれたのだから、なかなかできる経験ではない!と半ば喜び勇んで同行させてもらうことにしたわけだ。

行く気満々なのは良いとして、大きな問題が一つある。ずばり、「何着ていく問題」。前述の通り、私はすでにまともな洋服を持っていない。本来ならば、ラルフローレンさんの商品の一つでも身につければ良いのだろうけれど、残念ながら持ち合わせがないのだ。しかもグランドオープン前のお披露目会に集まる方々なんて、みんなオシャレに決まっている。そんな場に、ファッションに疎い私が洋服なんて着て行ったら、アウェー感に打ちのめされるところだっただろう。

しかし、私には着物がある。本来、海外発祥の洋服ブランドであるラルフローレンに、全然関係ない着物で行くことは場違いなのかもしれない。
しかし、今回私が行く目的は、「正藍染フランドNORABIを、お祝いするため」である。
ならば、着ていけるものはこれ一択しかないだろう!

正藍染着物 正面
正藍染着物 背面

私の持てる衣服の中では、これ以上にふさわしいものはないと思う。正藍染の魅力をたくさん伝えられるだろうし、ラルフとのコラボを通じてたくさんの人たちに正藍染の魅力を知ってもらいたい。そんな思いで、この着物を装うことにした。

ジャケットがわりの風呂羽織を合わせて

私は着物が好きだ。好きで着ている。正直、それが自分に似合っているかとか、着付けが美しくできるかとか、そういった美意識的なところには、いまだに強い関心はない。ただ、好きで着ていて、着心地の良いようにするのが好きなのだ。
そんな大好きな着物に合わせて、お祝いの気持ちを自分なりに表現したくて、一つ紋入りの黒羽織を合わせてみた。帯も、半幅帯だけれど、正藍染の青を邪魔しないものを選んだし、飾りに差し色として桜色の帯揚げもつけてみた。

要するに、「自分の好きなものを、自分の好きなように装った」のである。
そうすると、不思議と堂々としていられたのだ。

ラルフローレンのお店の中は、超絶美意識高いオシャレな人々で満杯だった。もうとにかく全てが眩しくて、あまりの輝きにこちらが焼き殺されそうなほどだった。
しかし、私も、精一杯の気持ちを込めてコーディネートした、大好きな着物を着ていたので、張り合うつもりなんて毛頭ないけれど、私が勝手に一方的に肩身が狭いような気分になることなく、自然体でいることができた。

お店にいたたくさんのオシャレで輝いている人たちは、もしかしたら「好きなものを好きに装う」を極め続けてきた方々なのかもしれない。
意識低い私なんかと並べられたらたまったものではないだろうけれど、「好きなものを好きに装う」という気持ちの根っこは、もしかしたら一緒なのかもしれない。
オシャレな人たちがあれだけ眩しく輝いているのは、それを極限まで突き詰め続けたことの集大成なのかも。
そんな、あまりにも強大な輝きの隣で、私が縮こまらずに済んだのは、私自身も「好きなものを好きに装ったから」なんだと気づいた。
TPOとか、格がどうとか、そういうのを気にかけ つつ、最終的には「これが好き!」と思えるのであれば、どんな場であっても胸を張っていられるのかもしれない。

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