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下手なりにくけた方が美しいわけで

今日は警報が出るくらいの雨。お昼頃から曇りになるとの予報だったので、本当はお手入れに出していた着物を回収しに行くつもりだったのだ。
しかし、予報に反して雨は止まないし、止んだとしても路面状況を考えると、とてもじゃないが袷の訪問着を2枚も、キャリーケースに入れて地面を引きずりまわす気にはなれなかった。
何より寒い。ここ最近暑かったこともあり、余計に寒さが身に染みる。そんなわけで、完全に外に出る気をなくし、なんとなく入っていた気合を持て余していたわけである。

一通り家の仕事を片付けてから、今日は縫い物をすると決めた。何しろ、やらなければならないものかたくさんある。特に納期のある仕事というわけでなく、まあ趣味の範疇で好きにやればいいものたちではあるのだが、それでもこれほど数が溜まってきているのでそろそろなんとかしないと収拾がつかなくなる。それに、着物生活と縫い物は切っても切れない仲で、次着るまでにここを直しておこう、というものたちが無限に増えるのである。

そんなわけで取り掛かったのが、よりにもよって絹の三分紐の両側をくけ合わせて、一本のリバーシブル帯締めにするという作業。今溜まっている縫い物達の中で、最も優先度の低いもので、なおかつ手指に多大な負担を強いる作業である。なぜそれに手をつけたか自分でもよくわからない。作業強度はともかくとして、採寸などが必要なく、とっかかりやすいというのがあったのだと思う。

紐の片方を100均で買ったクランプで挟んで固定し、ひたすら表に縫い目が出ないようにくける。
3部紐は固い。針も当然通りにくい。指貫をしても、中指がジンジンした。
それでも、ひと針縫うことに完成には近づくし、やり進めているうちになんとなくコツも掴めてくるようで、最後の方は割とスムーズに縫えた気がする。それにしても手指の力をかなり使った。握力が増えていそうだ。
同じことをする人がもしいたら、ひとつだけアドバイスがある。三分紐は輪状の紐なので、その輪を膨らませるようにしてくけると、比較的楽に縫える。疲れるけど頑張れ。好きな組み合わせのリバーシブル帯締めが手に入る達成感は一入だ。ちなみに私はもう二度とやらないと思う。

その後は何となく針が乗ってきた(?)のか、ミシンまで取り出して夏物の長襦袢のサイズ調整をした。去年メインで着ていた2枚が、両方プレタの長襦袢なのだが、着にくかったのだ。
広げて採寸してみると、マイサイズにくらべて身幅が少し大きめだった。前幅が2センチ、後ろ幅が1センチ、とか。大した数字に思えないかもしれないが、これが体を包む一周分になると6センチもの違いになる。身頃あたりわずか数センチの差も侮れない。
その長襦袢はずっと直したいと考えていたが、実際に解いて印をつけて、まち針打って縫ってまたくけて…なんて考えると気が遠くなる。しかも、言い方は悪いが、今回直すのはプレタである。そんな丁寧な作業をする気にはとてもなれない。

結局、前幅と後ろ幅のバランスにはある程度目を瞑り、前幅+後ろ幅がマイサイズになるように脇をつまみ、だーっとミシンをかけてしまった。裄丈も、同様に無理やりミシンした。縫い目は全て裏に出るので、糸の色も縫い目も知ったことではない。生地も夏物で薄手だったので、完成している脇縫いを縫い代ごと無理やりつまんで縫ってしまった。

そんなわけで、ひどい縫い目ではあるが、格段にマイサイズに近くなった長襦袢が2枚完全した。ちなみに現在手元にある夏用の長襦袢は、全部で5枚。仕立てていない反物もある。いくら普段着で、特に夏場は毎日洗濯すると言っても多過ぎやしないか。自分でもそう思うが、まあ、それはそれで。何しろ、襦袢が5枚もあれば、1週間洗濯しなくても着物を着回せるということなのだから。

そういえば、夫にボタン付けを頼まれていたのを完全に忘れていた。明日やることにする。


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