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みのむし

みのむしになろう
みのりきることがたいせつなんだね

なにものかであるかなんて
なにものにもきめられないし
なにものにもわかりはしない

ましてやせかいのせいかいなど
かみさまだってほんとはしらないかもね

すべてをしらなければならないないて
すべてをしらないひとがきめたきめごと

そんなことより
 
みのぶくろにはいって
すこしやわらいだ
にしびのかぜにゆられよう

にんげんにたとえるなら
むずかしいじがたくさんかかれた
こてんしょうせつをよみながら
はんもっくにゆられる
おじさんのきぶんらしいとのこと

ふくろのなかはあんがいすずしいって
おかあさんのともだちのしんせきの
もはやだれだかわからないひとも
ゆっていたらしい
 
にかいゆっていたらしい

いっていたとゆわないとこが
みそなんだぞって
いつもあからがおのまたいとこのおじさんが
とくいげにいっていたとききました

そのおじさんもせんげつほしになりました
いやせんせんげつだったかな
ここからみえるよぞらからは
みえないほしになったことでしょう

ほしはきょうもとてもきれいなのに
ここのかくどからはみることができないのが
ほんとーにざんねんです
かくどをかえたらみえるだけらしいのですが

みのむしとして
じぶんがいつか
うつくしいちょうになることを
みめみてゆれよう

ぱぴおんだったか
ぱぴよんだったか
でもばたふらいがいいな

ほんとはあじふらいがいちばんすきだけど

すわろうているなんてすてきでしょ

ゆらりゆらりろうかいな
まんねんかかりちょうのように

すいけんをきわめた
じゃっきいちぇんの
おししょうさまのように

おおむねありのままに

ゆらりゆらゆら
ことしもおおづめをむかえた
なつのせみのこえをききながら

ほんとうのしょうたいが
じつは蛾だなんて
そんなのあんまりだなんて
おもうことなく
ゆめにもゆめみることなく

いまこのしゅんかんの
かぜにぶらりぶらさがって
みのぶくろもろともいっそ

いったことのないかのちに
ゆられきってしまいたい

おおぞらは
いつでもはばたこうとする
ぼくたちをさえぎることなんてないのだから

でもぼくはもうしばらくきがすむまで
みのぶくろのなかでゆられよう


じつはぼくのさいしゅうとうたつちてんが
ここだったのなら

このばしょをあいすればよいのでそれでよい
このばしょでわらえればそれでよい

 

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