ロシアのフェイクアカウントについて その㉔:松里公孝氏への反論

【概要】

ザ・リバティWebという幸福の科学(宗教団体)が関わる雑誌に、東京大学大学院法学政治学研究科教授の松里公孝という人物が珍説を寄稿していたので、反論してみようと思います。以下の様に、かなり攻めたタイトルの記事となっております。

<タイトル>
ロシア・ウクライナ研究の権威が語る ゼレンスキーを大統領にした過ち

ナチス・ドイツが活動した時代には、主戦論を唱えたチャーチルを罵倒してヒトラーさんに感謝した人物(ネヴィル・チェンバレン等)がいましたが、こういう人達には最終的には否定的な評価が下っております。

東大教授松里氏の主張は歴史の審判に耐えるでしょうか?

【問題点1】

<松里氏の主張>
ウクライナの問題を客観的に指摘すれば、「プーチンを擁護した」と批判される奇妙な呪縛も起きており、民主主義とは思えない異様な言論空間が広がっているのです。

<筆者の反論>
プーチン政権はウクライナに不法侵略し、猟奇殺人を繰り返しております。国際社会は速やかに結束して、軍事支援/経済制裁/外交圧力/情報戦等によりプーチン政権の蛮行を止める必要があります。

松里氏は事実上プーチンを擁護しています。国際社会の結束を妨げる効果を発揮しています。プーチン政権の暴力が継続することに繋がります。

日本は民主主義国ですので言論の自由はありますが、放言の自由ではありません。発言には責任が伴うことをご自覚くださいね。

【問題点2】

<松里氏の主張>
この際、親露派政権の打倒を目指して首都キーウ(キエフ)の広場に集まった右派民族主義者を中心とするデモ隊が突如狙撃され、数十人が犠牲になります(この事件は当時から革命派の自作自演説が絶えず、私もそう思います)。

<筆者の反論>
首都キーウの広場に集まっていた人々は自由と民主主義を求める人達です。革命の結果、当時のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領が失脚し、隣国ロシアへ亡命し、プーチンが亡命を受け入れました。

警官がデモ隊に暴力を振るった点については、多数の映像が残っているので争点にはなりません。

細かい経緯は知りませんが、ロシアに亡命する政治家なんてロクなもんじゃないでしょう。因みに、自主独立と民主主義の為に戦った右派民族主義者というのは、日本では坂本龍馬や桂小五郎といった人物が該当します。

【問題点3】

<松里氏の主張>
南部のオデッサでは、ロシア系住民が民族主義者の火炎瓶で焼き殺されるなど、マイダン革命は凄まじい暴力を伴ったのです。

<筆者の反論>
オデッサでの出来事に関して言えば、組織的/継続的にロシア系住民に対する虐殺が行われていたというよりは、双方の抗議者同士の争いが過激化して死者が出た、という突発的な出来事であった解釈しています。

暴力を伴ったからこの革命は無効、という話にはなりません。ロシア人が日本人に向かって「明治維新は暴力を伴ったから無効だ。日本は徳川家の支配に戻るべきだ。」といっても、誰も納得しません。

ウクライナがどうあるべきかを決めるのはウクライナ国民ですし、その過程で喧嘩したとしても最終的に国民が納得する形に落ち着いたのであれば、他国がどうこういうべきものでもないと思います。

【問題点4】

<松里氏の主張>
ロシア語話者が多いクリミア人や東部のドンバス人は、民族主義者の迫害を恐れてウクライナからの独立に動きます。これに対しロシアはクリミアを編入。ドンバスでは親露派勢力とウクライナ軍との間で内戦(ドンバス戦争)が勃発し、それが今回の戦争に発展しました。

<筆者の反論1>
クリミアに関しては、ロシアは軍事力による威圧を伴って独立と編入を進めています。独立に関する国連が定めたプロセスに則っておらず、国際社会は概ねクリミアの扱いに関するロシアの主張を認めていません。詳しくはこちら

松里氏はプーチン政権による横暴を認めています。これがプーチン擁護でなくて何でしょう。

<筆者の反論2>
マイダン革命直後の時点でいえばドンバス地方の中でも親マイダン派と親露派の両方がいて、デモ活動により民主的に争っていたようです。プーチン政権はこの争いに首を突っ込み、覆面介入と偽旗作戦で双方の対立を煽っています。詳しくはこちら

ロシア国内で集めた右翼に覆面させてバットを持たせて、その集団をドンバスに送り込んで親マイダン派のデモ隊を襲わせた、くらいのことはやっているようです。ドンバスでの親マイダン派と親露派の争いを殺し合いに発展させたのがプーチン政権です。

【問題点5】

<松里氏の主張>
14年以降、ウクライナ軍がドンバスの住宅や学校などを砲撃して多数の民間人を殺害したほか、右派民族主義者が親露派を殺しても逮捕されない問題が起きています。

<筆者の反論>
細かい部分を指摘するなら具体例を挙げるべきですし、問題行動は双方に関して指摘するべきです。

【問題点6】

<松里氏の主張>
さらにウクライナでは、自国の建国に関与しつつも、ナチスに協力した人物を英雄化することでロシアとの違いを強調する風潮が強まっています。

<筆者の反論>
ウクライナが自国の建国に関与した人物(ステパーン・バンデーラ)を英雄視するのは問題ないでしょう。1991年の独立以降、ウクライナとしてのアイデンティティを探る途上にある、ともいえるのではないでしょうか。

WWIIは様々な勢力がお互いに協力関係と敵対関係を組み替えながら展開しています。バンデーラが一時的にナチス・ドイツと協力関係にあったと言えばそれはそうですが、それを言うなら日本もナチス・ドイツと同盟を組んでいましたし、ソ連だってナチス・ドイツと協力関係にあった時期があります。当時の協力関係や敵対関係をとやかく言っても意味はないと思います。

【問題点7】

<松里氏の主張>
西側諸国のリベラルメディアはウクライナで強まる極右運動を非難すべきですが、なぜか無視しています。そのためプーチン露大統領から「ウクライナはネオナチが支配しており、西側はそれを支援している」と批判される隙が生まれているのです。

<筆者の反論>
プーチンが「ウクライナはネオナチが支配しており、西側はそれを支援している」と非難しているのはプロパガンダであり、根拠はありません。

例えば筆者が「松里はネオナチだ」と批判して更に、「批判される隙を作った松里が悪い」なんて言いながら物理的な攻撃を加え始めたら、そりゃ周りから総スカンを喰いますよね。

2022年09月の時点でプーチンが国際社会から総スカンを喰っているのは、ロシア人とシリア人と北朝鮮人と松里氏以外の人にとっては当然です。

松里氏はプーチンと同レベルで幼稚ですね。東大教授の職は不適切です。

【問題点8】

<松里氏の主張>
ドンバスのアイデンティティはウクライナでもロシアでもどちらでもよいのです。

<筆者の反論>
何を根拠にこんなことを言っているのでしょう?

【問題点9】

<松里氏の主張>
そんな国を経済的に養ってきたのは、ロシア系住民が多い東部と南部です。民族主義者をしばしば輩出してきた西部は、遅れた農村地帯であるにもかかわらず、自分たちを養ってくれる東部・南部を見下し、ロシアとの対立がウクライナの経済と安全を脅かすということを考慮しませんでした。

<筆者の反論>
経済面でEUに加盟するよりロシアとの関係を重視した方がウクライナにとって有利である、との主張には同意できません。GDPで比較して、ロシアはEUの10分の1です。

【問題点10】

<松里氏の主張>
東部の和平を訴えるウクライナのゼレンスキー氏が大統領に当選。ところが同氏はすぐに公約を破り、19年12月にプーチン氏に合意を守る意志はないと伝え、「その時プーチン氏は戦争を決意した」と米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報じています。

<筆者の反論>
プーチンがDPRとLPRを独立国家として承認したのは2022年の02月21日です。それまではドンバスの争いは法的にはウクライナの内戦です。

ミンスク合意はウクライナ政府と分離主義勢力が締結した合意で、ウクライナの国内問題です。ウクライナの国内問題にプーチンが口出ししている時点でおかしいです。

元無職のプーシリンがいきなりウクライナ軍と戦えるはずもなく、分離主義勢力の軍事力の実態が覆面介入したロシア軍であることは情報はいくつも上がっていて、議論の対象になっていません。

ミンスク合意にプーチンが関わろうとしている時点でおかしいのです。詳しくはこちら

【問題点11】

<松里氏の主張>
ポピュリストは国内党派政治の延長線上で外交や軍事を考えるため、自国を滅ぼす危険性があります。ウクライナ国民がポピュリストを大統領に選んだのが間違いだったと言わざるを得ません。

<筆者の反論>
プーチンが隣国に不法侵略しているのだから、悪いのはプーチンです。そして、非人道的行為を繰り返しています。ブチャの虐殺について責任を問われて嘘をつきましたが、同じことをイジュームで繰り返しています。プーチン政権はどうしようもない犯罪者集団です。

松里氏はなぜプーチン政権の国際法違反/国際人道法違反を非難しないのでしょう。そして、東大はなぜこのような人物を法学政治学研究科の教授に任命したのでしょう?

【問題点12】

<松里氏の主張>
しばしばプーチン氏がメディアを弾圧するニュースが国内外で報じられます。確かに情報は以前よりも得にくくなりましたが、ロシア語さえ分かればYouTubeなどで体制側、野党側の双方の番組を視聴できます。もしメディアへの弾圧を問題視したいなら、今やウクライナの方が深刻なレベルなので、ロシアだけを批判するのは公平さを欠きます。

<筆者の反論>
ロシア国内で情報統制を行っていることについては、プーチン政権も否定していません。戦争を批判した国民を逮捕していることも、プーチン政権は否定していません。現在のロシアに言論の自由はありません。

また、「ブチャの虐殺はウクライナの自作自演」といった嘘は既に暴かれています。ついでに言うと、首相時代からプーチンは嘘ばかりです。

嘘をつくヤツが情報統制を行って隣国への不法侵略を正当化しているのだから、「ロシア国内におけるメディアは洗脳装置と化している」と見るのは妥当でしょう。

「ウクライナの民間インフラを攻撃すべし」とテレビで議論する動画もありましたよ。出演者の顔つきがおかしいです。ロシアのメディアはまともでしょうか?

【まとめ】

松里公孝氏
source : https://the-liberty.com/article/19810/

プーチンは歴史に悪名を残すでしょう。松里氏もプーチンのプロパガンディストとして歴史に名を残すでしょう。

【補足1】

<概要>
松里氏の主張は親露派アカウントに利用されています。その様子を示すTweetを紹介します。

①フェイクアカウントのJ Satoが松里氏の記事を紹介しています。

②「かもめもびーる」なるアカウントが「マヨさんの言葉が信じられない人は松里氏の記事を読んで欲しい」とツイート。マヨはフェイクアカウント。

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