ロシアのフェイクアカウントについて その③:反論集


【大前提その1:侵略した側/侵略された側】

ウクライナは国連に加盟した独立国です。悪いのは、ウクライナに宣戦布告しないまま侵略したロシアです。争いをみると「どっちもどっちだろう」と判断する人も多いようですが、国際法の観点で言えば侵略した側の侵略戦争が違法で侵略された側の自衛戦争は合法です

非ナチ化が・・・とか、NATOの東方拡大阻止が・・・とか言っているのは、どれも侵略の理由にはなりません。

欧米諸国政府も日本政府も国連事務総長も言っていることは同じです。

プーチン政権が悪い。

【大前提その2:嘘をつく人】

この侵略は事実上プーチンの一存で始まっています。そしてプーチンがなぜこの侵略を始めたかは、誰も分かりません。プーチン以外の人が喋っている解説は全て推測にすぎません。

そしてプーチンですが、この生物と交渉した経験のある人は最終的に皆同じ事を言います。

「要するに嘘つきである」

学者やまじめな政治家は丹念にプーチンの言い分に耳を傾けますが、それをやるとドツボにハマります。

例として、会社でパワハラを仕掛けてくる上司を考えてみます。「どうすればボクはこの人に認めてもらえるのだろう?」なんて考えたら、相手の思うツボです。人が苦しんでいる姿を見て喜んでいるだけなので、どんなに立派な仕事をしても認めてもらえることはありません。そしてそういうのは大抵は「やかましい」と言えば終わる話です。

ウクライナの前大統領のポロシェンコ氏は、プーチンについて以下の様なアドバイスを発信しています。
 ①プーチンを信用してはいけない
 ②プーチンを恐れるな
 ③プーチンに対しては強くでるべき
ヤクザと関わるときの心構えそのままです。

廃墟と化したマリウポリの写真、見たことがありますよね。プーチンは「ウクライナ国内のロシア語話者を守る」なんて言っていました。侵略前のマリウポリの人口の3割はロシア系であったそうです。守ろうとしたんだけど完全破壊してしまった、なんて言い分をまじめに聞く必要ありますか?

「要するに嘘つきである」

状況を整理する上でとても大切なポイントです。

因みに、大統領になる前からのプーチンの嘘の数々に関しては、別途こちらのnoteに記載しています。

【大前提その3:人道の観点】

人道の観点から言っても、許してはいけないことです。目の前に猟奇殺人犯がいるようなものです。一緒にお食事とかおしゃべりとか、出来ませんよね。国際社会が団結して戦争犯罪者プーチンを檻に入れる必要があります。

【大前提その4:国際秩序の観点】

国際秩序の観点から言っても、許してはいけないことです。核兵器保有国が核兵器の使用をチラつかせながら隣国に軍事侵攻して領土を獲得しようとする。こういうことをしてなんの罰も受けないのであれば、どの国もわき目もふらずに軍備拡張/核武装に走ります。お互いが疑心暗鬼になっているところに偽旗作戦とフェイクニュースで攪乱されたらどうなるでしょう?行きつく先は人類の破滅です。

問題点を理解しないままプーチンを擁護する発言するアカウントには、注意してゆく必要があります。

【大前提その5:歪んだ自意識】

ではなぜプーチンはウクライナに侵攻したのでしょうか?答えはプーチンしか知りませんし、ロシアの次期政権がプーチンを逮捕して国際法廷に立たせてもプーチンは本音を喋らないと思います。

私は「単に支配できると思ったから向かって行ったのだろう」と推測しています。

行動から判断するに、ソヴィエト連邦のような恐怖で周辺国を支配する存在を目指しているように見えます。また、ピョートル大帝云々言っているあたりも、領土的野心を仄めかしているように見えます。

周囲に支配を認めさせることにより自らの偉大さを示そうとするのは、非常に幼稚な考え方だと思います。

【大前提その6:説得の限界】

ツイッター界隈で親露の主張を展開しているアカウントは、大別すると3種類あります。
 ①工作員アカウント(スリーパー)
 ②工作員アカウント(サクラ)
 ③洗脳された日本人

①工作員アカウント(スリーパー)は数年前から日本語アカウントとして活動していて、ロシアのウクライナ侵略の開始(2022年02月24日)前後にロシア支持の主張をつぶやきだしたアカウントです。多くのフォロワーが居て、親露派アカウントの中では発言権があります。

②工作員アカウント(サクラ)は、多分、ウクライナ侵略の開始(2022年02月24日)前後に開設したアカウントだと思います。それほどフォロワーは多くありません。①工作員アカウント(スリーパー)を囃し立てる役割や、反論してくるアカウントに脅す役割を担っているようです。

参考①:工作員アカウント(スリーパー)・マヨ
参考②:工作員アカウント(スリーパー)・MK

問題は③洗脳された日本人です。なぜか知りませんが、プーチン政権を擁護する言説をやたらと広めようとします。普通の人が宗教にハマってしまうことがあるのと少し似ているかも知れませんね。

この③洗脳された日本人の人たちは概ね、
 ・プーチンは表に出てこない悪者と戦っている
 ・それに気が付いた私は気が付かない一般大衆より優れている
といったスタンスをとります。

ロシア軍はウクライナで異常な暴力を振るっています。世界中の市民が一斉にロシアに向かって「おい。やめろ。」と言えば、この暴力は止まります。プーチンを擁護する言説を広めることは、この暴力を煽ることに繋がるので、やめましょう。

と何度言っても、③洗脳された日本人はこちらの言うことを聞いてくれません。例えば、かつてオウム真理教徒は麻原尊師に「もうすぐハルマゲドンだからヴァジラヤーナでポアしましょう。」と説かれて信じ込んでサリン散布に向けて集団で突っ走ったわけですが、いまだに麻原尊師が最期を迎えた東京拘置所に来て祈りを捧げる信者が居ます。完全に信じ込んでしまった人は、理屈では洗脳を解除できません。

現段階では、予防的に周囲に注意喚起する活動や、洗脳されかかっている人を引き戻す活動が、掛ける労力に対して効果が高いと思います。親露派アカウントを相手にしていて「ダメだこりゃ」と思った場合は、それ以上相手にしないことも大切です。

【大前提その7:プーチン自身による暴露】

①「NATOのせい」とか「ウクライナはナチ」とか色々言っていたプー公は結局領土目的の侵略であることを自分で暴露しました。

政治家/評論家/研究者にもプー公の馬鹿馬鹿しい嘘をまともに扱った人が大勢います。自分の発言に責任を持つ意志があるなら、弁明するべきです。投稿はこちら

【反論①:集団的自衛権】

親ロシア派のSNSアカウントが「ウクライナに対する侵攻は国連憲章51条で定義されたDPR/LPRに対する集団的自衛権の範囲内である」と主張することがあります。
 ・国連憲章51条の対象は国連加盟国(DPR/LPRは非加盟)
 ・自衛の範囲を超えている
といった問題があり、アントニオ・グテーレス国連事務総長も各国の代表者もロシアの言い分を認めていません。

そもそも多くの国がDPR/LPRを独立国と認めていません。東部ドンバス地方での紛争を煽ったのがプーチン政権です。プーチン政権が「DPR/LPRを守る」などと言う資格はありません。

【反論②:NATOの東方拡大】

親ロシア派のSNSアカウントが「ロシアが許容できる範囲を超えてNATOがロシアに接近したことが侵略を招いた」と主張することがあります。

プーチン自身がそのような主張をしたことがあり、また西側の学者(ミアシャイマー教授)も同様の主張をしており、説得力を感じてしまいます。

ロシア側の発言に注目するとして、侵略開始以降、NATOの東方拡大阻止にこだわった発言は次第に聞かれなくなってゆきました。「ロシア軍がドンバスに戦力を集中している」という振る舞いから判断して、プーチン自身もロシアの世論もNATOの東方拡大阻止には実際にはそれほどこだわっていなかったと判断してよいと思います。

国際社会の観点で判断するならば、ウクライナがNATOに加盟するかどうかを決めるのはNATO加盟国とウクライナで決めることであって、ロシアは関係ありません。

そもそもロシアがクリミアを強引に併合した経緯があり、こういう点も考慮するべきと思います。ウクライナがNATO加盟を検討し始めたのは当然であって、それをもって侵略の口実にするのは本当に無茶苦茶です。

ついでに言うと、他の旧ソ連構成国がNATOに加盟したのもそれぞれが希望して加入したのであって、NATOがロシアに脅威を与えるためにそれらの国々を唆したわけではありません。周辺国がソ連時代の恐怖支配を嫌悪していることが、NATOの東方拡大の原因だと思います。

2022年時点では既にプーチン政権の異常な幼児性/残虐性は明らかになっており、多くの人がNATOに加盟した旧ソ連構成国の判断を「正解だった」と判断していると思います。プーチンはNATOに対して「これ以上の東方拡大は認められない」などと再三にわたって警告したそうですが、問題はプーチンにあったことになります。

<補足1>
ロシアは民間人を殺害したり、民間施設にミサイルを撃ち込む行動を繰り返しています。一方、ウクライナはロシア領内へ侵攻する気配を見せません。NATOからロシア領内への攻撃を自制するように求められているためです。核戦争へのエスカレートを懸念しているためです。核保有国と核非保有国が戦っているために、このようなアンフェアな状況が発生し、継続しています。そして、ロシアも分かってやっています。

「NATOの東方拡大がロシアのウクライナ侵略を招いた」などという主張は、嘘です。これは正当防衛ではないですし、予防戦争でもありません。

<補足2>
侵略開始以降、ロシア軍は民間人虐殺や都市破壊といった蛮行を繰り返しています。しかしそういった蛮行が明らかになったにも関わらず、著名人でも「NATOの東方拡大が原因」との主張を継続する人物がいます。以下のような写真を見て「NATOの責任だ」と言っているようなものです。馬鹿馬鹿しい発言です。プーチン政権の責任であり、プーチン政権を止めなかったロシア国民の責任です。

NATOの責任でしょうか?

<補足3>
NATOの東方拡大がロシアにとって死活的な危機であり、2022年02月24日に始まったウクライナ侵略はロシアにとって予防戦争である、、、だろうか?

第一印象で言うならば、「突然ロシアが騒ぎ出した」と感じています。そもそも米ソ冷戦時代のような、超大国同志の一触即発のようなにらみ合いの空気は存在していませんでした。NATOが東方に拡大したのは事実ですが、同時にNATO加盟国は通常戦力の削減を進めており、相手に危機感を抱かせるようなことをしていません。小泉悠先生の「現代ロシアの軍事戦略」では「1993年に公表された『ロシア連邦軍事ドクトリン』以来、ロシアはNATOとの全面戦争の蓋然性は大幅に低下したという情勢認識を公式に維持し続けてきた」と記載されています。

実際には、NATOの東方拡大に対してはロシアはそれほど危機感を感じていなかったと思います。単に大国コンプレックスを逆なでされて面白くなかった、という程度でしょう。

<補足4>
ロシア軍は民間人を意図的にミサイルで攻撃しています。そしてある程度のロシア人は被害者のことをあざ笑っています。ロシアの国営放送は「もっと大規模に行うべきだ」との放送を行っていますが、国営放送が処罰を受ける様子もありません。

「NATOの東方拡大がロシアを追い詰めた」というのはプーチン政権が垂れ流しているプロパガンダでしかありません。耳を傾ける必要はありません。

<補足5>
1420というロシアの一般国民に対するインタビューを公開しているYouTubeチャンネルがあります。ロシアの一般国民が「NATOの東方拡大がウクライナ侵略を招いた」というプーチン政権の嘘を全く信じていない様子を伝えています。動画はこちら

「NATOの東方拡大がウクライナ侵略を招いた」というプーチン政権の嘘を信じている人もいるかもしれませんが、無理やり信じている人が多いと思います。

<補足6>
こちらはヨーロッパのどこかで踊るロシア人の動画です。NATOのことを恐れていません。動画はこちら

在日ロシア人もみな伸び伸び暮らしています。日本はNATOの主要メンバーであるアメリカと同盟を組んでいますが、NATOの存在に生命の危機を感じている在日ロシア人は見当たりません。

<補足7>
こちらの記事は、ワグネルのトップのプリゴジンが「このままだと占領地を奪還されるから停戦するべきだ」と主張している記事です。記事のURLはこちら

要するに、如何にして拡大させた占領地を確保するかに頭が一杯になっているのであって、「非ナチ化が・・・」とか「NATOの東方拡大が・・・」とかを気にして戦っているわけではありません。

<補足8>
ロシア国防相が兵士を募るための動画を公開したそうです。「キエフでマンションを買うのが夢」と煽っています。

要するに、考えていることは露骨な侵略戦争です。

【反論③:ドンバスの虐殺】

ロシアの国連大使が「特別作戦の目的は(8年間)キエフ政権による虐待とジェノサイドから人々を守るため」と説明したそうで、親ロシア派のSNSアカウントがその説を持ち出してくることがあります。

しかし、国際司法裁判所は「現段階では、領土でジェノサイドが行われたというの申し立てを立証する証拠を所有していない」と述べているそうです。(参考情報1)(参考情報2)。

OSCE(欧州安全保障協力機構)のレポートはこちら。私は全部は目を通していませんが、「キーウ政権が8年間ドンバスで自国民を虐殺し続けた」という事実はないと信じています。反論したい方は、このレポートの山から「虐殺があった」との報告を探して私に見せてください。

狼少年の嘘と同じです。相手が「本当か?」と調査をしている間に一方的に軍事行動を起こして既成事実を積み上げるのがプーチンのやり方です。調査後に「どうもプーチンの言っていることは怪しいらしい」となった頃には占領地が広がっていて、その時に文句を言っても占領地を返そうとはしません。

<追記①>
この点に関して小泉悠氏は、ロシアが侵略直前になって唐突に「ロシア系住民が虐殺されてきた」という主張したことに対して、「じゃあなんで今まで国連の場で解決しようとしなかったのですか」と反論しています(動画)。

<追記②>
神戸学院大学経済学部教授の岡部芳彦氏は東部ドネツク地方での虐殺について、「2014年09月時点で当時のロシア連邦国際交流庁駐日代表部長が『ドネツク州でロシア語系住民のジェノサイドが起きている』」と話していたが、反論したら黙った。」と述べています。(記事へのリンク)。この時点で情報戦の下準備が行われていた、と指摘しています。

また岡部教授は「東部ウクライナに住むロシア系住民はプーチン大統領が作り出した概念である」と指摘しています。元々東部ウクライナの人たちはロシア語を日常的に話す人であっても自意識はウクライナ人だった、と指摘しています。

<追記③>
筑波大学の東野篤子教授による解説です。国連報告書はこちら。2014-21年の間に戦闘に巻き込まれて死亡した民間人が3404名。「誰がどのような状況で亡くなったかは把握できず、ジェノサイド認定はできない。」というのが国連の立場だそうです。

<追記④>
プリゴジンのトロール工場が閉鎖されたため、元従業員たちが業務内容について証言を始めたそうです。ドンバスの虐殺がフェイク・ニュースであることも証言しています。記事はこちら

<追記⑤>
プリゴジンが「ウクライナはこれまでもドンバス地域を爆撃しておらず、また、ロシアを攻撃するつもりもなかった」と述べる動画を公開したそうです。記事はこちら

【反論④:非ナチ化】

セルゲイ・ロズニツァ監督の映画ドンバスにもこのセリフが出てきます。映画の製作が2018年で、舞台が2014年~2015年です。

プーチン政権がキーウ政権を「ナチだから排除する必要がある」と言い出したのは、マイダン革命直後だと思います。親ロシア政権が倒れてしまったので、新たに成立した親EU派政権を批判するために用いた口実に過ぎないと思います。そもそも何をもって「ナチ」と言っているのか、良く分かりません。

マイダン革命は民主主義を志向した市民の抗議行動という側面を持っており、そういう面では香港の時代革命と似た側面があるのですが、ここで習近平が時代革命の抗議者を「あいつらナチだ」と言い張っているようなものです。実際には、専制主義/権威主義/全体主義を押し付けようとしているのは、プーチンと習近平です。

但しこの「ナチだから・・・」というフレーズはWWIIでナチスと戦った歴史を共有する人たちの間には共感を呼びやすいようです。偽旗作戦で民間人を攻撃し「キーウのナチがやったことだ」と責任をなすりつけると、ロシア国内/DPR内/LPR内では割と通用してしまうようです。こうして憎悪を煽ってきたのでしょうね。本当に汚いですね。

実際には、
 ・プロパガンダで自国民を隣国での暴力に駆り立てている
 ・自国民対して情報統制を実施している
 ・侵略行為で自尊心を満たそうとしている
という特徴を見せているプーチン政権がナチ的です。

<補足①>
「アゾフ連隊はネオナチだ」と言う主張が散見されます。反論はこちら

<補足②>
その後プーチンは「非ナチ化」という主張を「悪魔祓い」に変更しつつあるようです。またロシア正教会もこの動きに同調し、キリル総主教はプーチンを「首席エクソシスト」と呼んでいるそうです。プーチンが当初掲げていた「非ナチ化」という言い分に耳を傾けた人は、反省するべきでしょう。

<補足③>
ロシアにもネオナチがいます。プーチンはこのネオナチをドンバスに送り込んで騒がせ、ドンバス紛争を引き起こしました。どうしようもない嘘つきです。参考情報はこちら

【反論⑤:宇国には主権が無い】

昔プーチンがチラッと口にしたセリフです。「ウクライナの主権はロシアあってこそ」とほざいていました。

プーチンは隣国に宣戦布告せずに侵攻しています。個人間の争いに例えれば、無言で隣人を殴り続けているようなものです。

そして国内向けに「隣国には主権が無い」とのメッセージを発しているとすれば、それは個人間の争いに例えれば、「あいつには人権が無いから」とブツブツつぶやいているようなものです。完全に危ない人です。

国際社会が団結してプーチンを檻に入れる必要があります。

【反論⑥:ミンスク合意違反】

親ロシア派のSNSアカウントが「ミンスク合意を撤回したのはウクライナ側だ」と主張することがあります。ミンスク合意の内容は「ドンバス地方の一部地域に特別の法的地位を付与する」という内容になっています。実際には、2022年02月21日にロシアがDPR/LPRを独立国として承認した時点でロシア側から破棄したことになります。

ついでに言うと、2022年02月21日まではロシアはドンバス地方の紛争をウクライナ内部の内戦と言い張っていた訳で(実際にはロシア軍が覆面で介入している)、ウクライナ内部の話にロシアが口出ししている時点でおかしいです。

また合意事項に「違法な武装集団及び軍事装備、並びに兵士及び傭兵をウクライナの領域から撤退させること」という事項がありますが、これも問題です。この文言は覆面介入したロシア軍のことを指していますが、プーチン政権が覆面介入を認めなかったのでこういう曖昧な文言になっています。ウクライナ政府軍と戦う軍事勢力が東部ドンバス地方に存在する時点でおかしいのです。ミンスク合意の中に嘘が含まれています。

更に言うと、ミンスク合意は「ミンスク1合意→停戦違反→ミンスク2合意→停戦違反」という流れを辿っていますが、約束を破っているのはプーチン政権です。現場レベルでの細かい停戦違反はお互いやり合っているにしろ、政府同士のやり取りでは、ロシア側が一度も約束を守っていません。何しろロシア軍が撤退していません。因みにミンスク1/2共に合意時点での元首は、ウクライナ側はポロシェンコ大統領でロシア側はプーチンです。

<概略>
①ミンスク1締結(2014年09月05日)
 ・ウクライナはドンバス地方の一部地域に特別の法的地位を付与する
 ・ロシア軍は撤退する
②プーチンは軍隊を撤退させずに攻撃を続行する
③ミンスク2合意を発表(2015年02月12日)
 ・独仏が仲介
 ・ウクライナはドンバス地方の一部地域に特別の法的地位を付与する
 ・ロシア軍は撤退する
④プーチンは軍隊を撤退させずに攻撃を続行する

ミンスク2はドイツとフランスが仲介していますが、フランスのオランド大統領は「プーチンは嘘をつくのが習慣だ」と述べています。ウクライナのポロシェンコ大統領は「プーチンは約束を決して守らない」と述べています。

ドンバス紛争に関するプーチンの主張は全て嘘です。

<補足①>
2015年02月04日時点の小泉悠先生の記事です。ミンスク1が2014年09月05日に調印でミンスク2が2015年02月11日の調印です。この記事はミンスク2調印の直前に掲載されています。「実質的にミンスク合意は機能していなかった」という表現になっていますが、実際には停戦合意を無視して攻勢を継続しているのはロシア側です。

<補足②>
軍事ライターJSF氏による、ロシアのミンスク合意破りに関する解説です。ミンスク1に関する解説のリンク先はこちら

<補足③>
ミンスク合意に関する合六強先生の解説はこちら

<補足④>
ミンスク合意についての小泉悠氏の見解はこちら。

【反論⑦:東部ロシア系住民の保護】

プーチンは2022年02月24日の開始直後には「東部ロシア系住民を保護するため」という主張を口実にしていたようです。2008年のジョージア(グルジア)紛争や2014年のクリミア併合でもこの口実を用いたようです。

そもそも東部ドンバス地方での争いは殺し合いではありません。覆面軍事介入と偽旗作戦とプロパガンダで争いを煽っているのがロシアです(反論⑩参照)。ロシアに「東部ロシア系住民を保護する必要がある」なんて言う資格はありません。

2022年02月24日以降のウクライナ侵略の過程においても、東部ドンバス地方で動員した兵士を前線に送り込んでいるようです。こういう意味でも、「東部ロシア系住民を保護するため」という口実は嘘であると見做して良いと思います。

<補足①>
2022年11月24日時点では、プーチンはウクライナ全土をミサイル攻撃し、エネルギーインフラを破壊しています。ウクライナ国民を凍死の危険に晒し、屈服させようとしています。要するに、「相手を支配したいから侵略した」というのが実態です。

【反論⑧:オデッサの虐殺】

親ロシア派のSNSアカウントが「オデッサの虐殺」を話題にすることがあります。日本語のWIKIにはこの事件を説明する記事がありません。英語のWIKIには記事があります。

英語のWIKIの概要
親マイダン革命派と反マイダン革命派との争いが暴力の応酬に発展して労働組合庁舎で火炎瓶の投げ合いが発生し、48名の死者が出た。死者は主に反マイダン革命派であった。ウクライナ当局は事件を徹底的に調査できていない。

割と事実に近い理解はどのようなものでしょう?私は現時点では、「組織的な虐殺というよりは、突発的な暴動だったのでは?」という捉え方をしています。ここら辺は、もう少し良い資料が見つかったら追記する予定です。

こちらにもオデッサの虐殺の検証を試みた記事がありますが、概ね同じ認識のようです。

こちらは当時の動画です。反マイダン革命派が覆面スタイル+ゲオルギー・リボン装着で集まっています。元々喧嘩する気で集まっていたのは確かなようです。

【反論⑨:ブダペスト覚書】

2022年のロシアによるウクライナ侵攻においては、ロシア軍はウクライナの一般市民をターゲットにしたミサイル攻撃/爆撃/占領地における拷問と虐殺が行われています。このやり方については、抗戦意思を挫くことを目的としたテロ的作戦である、との分析があります。一方、ウクライナ軍はロシア国内の一般市民をターゲットに攻撃を行うことはしませんし、出来ません。

ロシア軍がこういう行為を繰り返すのは、ウクライナ軍はロシア国内の一般市民を攻撃してこないと判断しているからで、おそらく「ロシアは核兵器保有国であるがウクライナは保有していない」という事実を元にそう判断しているのだと思います。

元々ウクライナには核兵器が存在していたのですが、1994年にブダペスト覚書を締結してから核兵器をロシアに移送しています。

<ブダペスト覚書>
 ①米/英/露/宇が署名
 ②ウクライナは核兵器を手放す
 ③米/英/露はウクライナの独立/主権/署名時現在の国境を尊重
 ④宇が侵略の脅威の対象となった場合は、
  他の3か国は国連安保理に対応を求める

という内容になっており、2022年02月24日のロシアの侵略により、事実上この覚書は破棄されたことになります。2014年時点のクリミア紛争の時点で破棄されていた、と見做す議論もあります。

ロシア相手に約束することが全く意味を持たないことを示す一例として、参考になると思います。

他にも国際社会全体の課題として、
 ・核を保有する国連常連理事国が関与した国際法の違反については、
  国連安保理は機能しないことが明らかになった
 ・NPT(核拡散防止条約)が信頼を失う
といった問題が発生します。

また日本にとっては、「核保有国が絡んだ紛争には米国は軍事介入してこない」という実例が出来たことが重要です。日本を守っていた核の傘が消えてなくなったようなものです。

ブダペスト覚書の④に関しては、今となっては「効力あるわけがない」と分かります。核兵器保有国は最初から分かっていたのでしょうね。

【反論⑩:東部ドンバス地方の紛争の実態】

元々ドンバス地方は親EU派と親ロシア派(ウクライナの分離派)の対立はありましたが、殺し合うまでのレベルではありませんでした。この対立が先鋭化したのは、2014年のクリミア危機以降のことです。

雑誌「新聞研究」の2014年06月号(No.755)に「現地のメディア状況と取材環境(喜田 尚/石田 博士)」という記事があって、2014年04月時点でのウクライナ東部の状況を報じています。

<記事の抜粋>
ドネツク市の中心部でロシアの介入や庁舎占拠に反対する市民のデモが発生していた。参加者はウクライナ国旗を手にしており、女性や高齢者も含む平和的なデモだったが、たちまち覆面姿にバットや発煙筒を持った親ロシア派集団に襲われた。ロシアのテレビはこれを「西部から来た過激派が起こした乱闘」と報じた。

東部ドンバス地方の争いの実態は、プーチン政権が覆面軍事介入/偽旗作戦/フェイクニュースでお互いの憎悪を焚きつけて紛争を拡大させていった、という流れであったと推測しています。

セルゲイ・ロズニツァ監督の映画ドンバスでもこの状況を描いています。

因みに自称国家ドネツク人民共和国の2022年08月25日時点での国家元首はこの人(デニス・プシーリン)です。

pushilin
引用:https://www.afpbb.com/articles/-/3396928

この人の経歴ですが、WIKIによると2013年12月時点で「一時的に働いていない状態にあった」だそうです。その前は、無限連鎖講のリーダーだったそうです。2014年05月19日から、自称国家ドネツク人民共和国の国家元首だそうです。見るからに怪しげですね。

東部ドンバス地方の争いを煽ったのがプーチン政権です。

<補足①>
ツイッターに、2014年当時のドネツクにおける親マイダン革命派のデモの様子が投稿されていました。当時も分離派一色だったわけではないようです。

<補足②>
ドネツク人民共和国(自称)の国防相(自称)だった人物が、その後ドネツク人民共和国から離脱し、プーチン政権を批判する立場に転じているそうです。2016年05月の段階で「親露派指導部はロシア政府の操り人形だ」と指摘している記事があります。因みにこの人物は、2014年07月のマレーシア航空17便撃墜事件で「ウクライナの輸送機を撃墜した」とSNSに投稿した人物と同一人物です。この件に関連するnoteはこちらです。

<補足③>
2014年04月時点での東部住民の意識調査に関する記事があります。数字の正確性は不明ですが、参考にしてください。

<補足④>
2015年時点においてロシア国内にも東部ドンバス地方への軍事介入に反対する意見はありましたが、反対派のリーダーだったボリス・ネムツォフ氏は暗殺されています。この東部ドンバス地方に対するプーチンの介入は、元々はロシア国内でさえ反対派が存在する問題です。

<補足⑤>
ドネツクとルハンシクの占領地域は、実際は無政府状態のようです。参考記事はこちらです。

<補足⑥>
国際問題専門誌である「国際問題」の2017年1/2月合併号(No.658)に掲載されているユーリィ・イズムィコ氏の論文です。「SNSへの投稿や各種のインテリジェンス情報からロシア軍がドンバスで組織的な軍事活動を行なっていることはほぼ明らか」と指摘しています。

<補足⑦>
東部ドンバス紛争の発端に関する、ドンバスの住人の解説です。

<補足⑧>
東部ドンバス紛争の実態を解説した記事です。

<補足⑨>
東部ドンバス紛争初期において、親マイダン派のデモ隊を襲撃していた暴徒の動画です。

<補足⑩>
東部ドンバス紛争を引き起こしたロシアの工作員であるイーゴル・ガーキンのインタビューです。

<補足⑪>
東部ドンバス紛争にロシア軍が介入していたことを証明するOSINT分析です。

【反論⑪:ロシア語話者が弾圧されている】

ウクライナ紛争に関してロシアを擁護する人が、「ウクライナ国内でロシア語話者が弾圧されていた。これが紛争の原因。」と主張することがあります。

雑誌「新聞研究」の2014年06月号(No.755)「現地のメディア状況と取材環境(喜田 尚/石田 博士)」という記事で、以下のように触れています。
<①>
ロシア語が弾圧されている状況は存在しない。
<②>
2014年のマイダン革命以来、ロシア政府は「ウクライナ東部でロシア系住民やロシア語を話す人々の権利が侵害されている」を主張している。
<③>
ウクライナの問題は、
 ・中央政府の腐敗と権力集中
 ・経済/歴史的経緯に由来して地域間で親欧と親ロシアに分かれて
  相互不信となっている
が原因である。
<④>
ヤヌコビッチ政権時代に「ロシア語を含む少数言語に公用語に準ずる地位をを各地域に与える」法律を付与したが、ヤヌコビッチ大統領が解任された2月下旬に新政権の中心となる勢力が議会でこの法律を廃止とした。このことが双方の敵意を煽った。

実際のところ、どうなのでしょうね?公用語はウクライナ語であるとして、ロシア語をウクライナ国内で法的にどう扱うべきかの議論があったのは事実の様です。一方で、「ロシア語話者だから」という理由で権利が侵害されるような差別的に扱われる、という状況が公的/民間で広く常態化している、という様子ではないようです。

プーチン政権が言っていることなので、余り深刻に捉える必要はないと思います。私自身は、特に差別の実態に関するレポートを目にしたことはありません。

侵攻後、ロシア軍はロシア語話者の多い東部で都市破壊を行っています。ロシア語話者を守るために軍事介入した、という言い分は口先の話です。

<追記①>
ロシア系やロシア語話者といっても、そもそも国民の大部分がバイリンガルであり、東部の方がロシア語がよく使われる傾向にあるという曖昧な分類であるようです。説明はこちら

<追記②>
「ロシア語に公用語に準ずる地位を与えるかどうか」という問題に関する片岡ソフィア氏のツイートはこちら

「『ロシア語に認められた公用語に準ずる地位を取り消す』という動きは、ロシア語を迫害するというよりは、ウクライナ語を再建しとウクライナ人としてのアイデンティティを探る意味合いが強い。」とのことです。

【反論⑫:クリミア再統合の正当性】

WIKIを読む限りでは大まかには、
 ①2014年2月27日にクリミア最高会議庁舎が謎の武装集団に占拠される
 ②2014年2月27日にクリミア最高会議がウクライナからの独立を宣言
 ③2014年3月16日に住民投票を実施、編入支持が96.6%と圧倒的多数
という流れの様です。

①の武装集団は「徽章を付けず覆面で顔を隠した所属不明の兵士」であったようです。多くの人が「事実上のロシア軍」と判断しています。

②についてです。ある国の一部が「独立する」と言い出すのはよくある話ですが、国連としては「プロセスは全て国連の管理の下で行われなければならない」というスタンスでいます。謎の武装集団に占拠された状態で最高会議が「独立する」と宣言すれば独立が成立するものではないですよね。多くの国が「②の段階でクリミアは独立した」とは認めていませんし、住民も独立の意思表示をしていません。

③については、ロシアやCIS諸国のオブザーバーが投票を監視したようです。欧州安全保障協力機構(OSCE)は「クリミアは独立国ではない」との理由で監視団派遣を拒否しています。

簡単に言うと、「ロシアに脅された状態で住民投票が行われた可能性が高い」という状況で、ウクライナ現政権もアメリカの現政権もEUも日本の現政権も投票結果を認めていません。

雑誌「新聞研究」の2014年06月号の「現地のメディア状況と取材環境(喜田 尚/石田 博士)」という記事に、現地取材のレポートが掲載されています。ロシア編入を問う住民投票が2014年03月16日ですが、石田記者は2014年03月01日にクリミア入りしています。
 ・クリミア自治共和国政府庁舎に記章の無い武装集団が居た
 ・武装集団は「モスクワから来た」と答えた
 ・クリミアの広場に親ロシア派住民が集まっていた
 ・広場に集まった親ロシア派住民の中に
  ロシアから来たとみられる民兵が混じっていた
 ・選挙前の段階で、クリミアではロシア国営放送が流されていた
 ・ロシア国営放送はマイダン革命のデモ隊をネオナチ・ファシストと批判
 ・親ロシア派の住民はロシア国営放送を信じ込んでいる様子であった
 ・キーウ発のニュースは見られなくなっていた
 ・クリミア・タタール人は「投票に行かない」と言っていた
 ・取材時に親ロシア派自警団から威嚇を受けた
といったことを指摘しています。

石田記者は「武装部隊が制圧し、少数意見が封殺された中で、短期間で強行された住民投票が、住民の自由意志とは認められない。」と指摘しています。

【反論⑬:ブチャの虐殺】

プーチン政権は「ブチャの虐殺はウクライナの自作自演である」と主張しています。この主張を唱える日本人もいます。被害に遭われた方やご遺族に対する冒とくになります。またプーチン政権ロシアがウクライナで行っている大規模極悪犯罪に対する擁護になり、国際世論の混乱に繋がります。侵略を長引かせることになるので、やめましょう。

反論はこちらです。

【反論⑭:ウクライナに武器を送るな】

憲法九条を尊重する立場の人が「欧米がウクライナに武器を送らなければ、この戦いは早く終わる」と主張することがあります。

そういう主張をされる方には、こちらの動画を見せてあげましょう。モスクワのアメリカ大使館前で「ウクライナに武器を送るな」と抗議する市民の様子です。

この侵略で領土を獲得したら、プーチンは数年後に更に領土を拡大しようとします。実際に、東部ドンバス地方での戦いはその流れを辿っています。そして、次の侵略戦争で前線に立たされるのは今回獲得する占領地の住民です。

無責任な言動は慎みましょう。

【反論⑮:領土的野心】

プーチンがウクライナを侵略した動機の一つとして領土的野心があることは、指摘してよいと思います。プーチン自身が何度か言及しています。
 その1
 その2

【反論⑯:バイオラボ】

SNS上で「ウクライナに米国の極秘生物学研究所があり、これを破壊するために、プーチンはウクライナに侵攻した」とする主張が流れることがあります。

ウクライナのバイオラボに関するデマを拡散させるツイート

まずロシアの国営放送が「ウクライナに米国の秘密の生物兵器研究所がある」と主張し、次にそれがQアノンの間で広まった、という流れで拡散しているようです。

Qアノンに関するWikiから引用
実際には、研究所はソ連時代の生物兵器計画の残滓を確保・解体するために設立されたものであり、それ以降は新たな伝染病の監視と予防のために使用されているものである。研究所は極秘ではなく、公的にリストアップされており、米国ではなく現地のウクライナ当局が所有・運営している。

【反論⑰:マイダン革命の黒幕】

2013年から2014年にかけて発生したユーロマイダン革命。自由と民主主義を求める人々の戦い。尊厳の革命とも呼ばれています。

この革命により当時のヤヌコーヴィチ大統領は逃亡し、最終的にロシアに亡命しています。ロシアの操り人形だったのでしょうね。これに対してロシアはクリミア強奪と東部ドンバス地方への覆面軍事介入というアクションで反応し、この争いは2022年のロシアによるウクライナ全面侵略に繋がっています。

このマイダン革命について、ロシア側は以下のように色々とケチをつけています。
 ・ネオナチが主導した
 ・アメリカのネオコン(ビクトリア・ヌーランド氏)が支援した
 ・ジョージ・ソロス(オープン・ソサエティ財団)が支援した
ロシアが2016年頃に製作したプロパガンダ映画「ウクライナ・オン・ファイヤー」ですでにこういった言い分が含まれています(映画はこちら。リンク先を少し上にスクロールしてください)。2022年時点で、日本語SNS上で発言する親露派アカウントは上記内容をそのまま主張します。ロシアの情報機関の世論工作の結果と言えるでしょう。

ネオコンやオープン・ソサエティ財団は自由と民主主義を世界に広めようとしています。プーチン政権は民主主義に偽装した個人独裁体制なので、こういう活動を嫌がっているのでしょう。

革命を成し遂げたのは、自由と民主主義を求めるウクライナの人々です。そして、民主主義の哲学を信頼する人たちがマイダン革命を支援/応援したというのは、別に悪いことではありません。

【反論⑱:クラマトルスクのミサイル攻撃】

クラマトルスク駅上空でクラスター爆弾が起爆し、少なくとも50人が死亡した事件です。ロシア側は「シリアル番号からロシアのものではないことが分かる」などと述べ、またしても責任転嫁を図ったようです。

こちらに反論記事があります。

source : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%AF%E9%A7%85%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB%E7%88%86%E6%92%83

【反論⑲:ザポリージャ原発の査察】

以下の流れで、出来事が展開しています。
<出来事>
 ①ザポリージャ原発がロシア軍に占拠される
 ②ザポリージャ原発が至近距離に砲撃を受ける
  ロシアとウクライナの双方が非難
 ③IAEAの査察が入る

おそらく、ロシアの偽旗作戦だと思います。原子力発電所の至近距離に砲弾を撃ち込んでいるのはロシア。危機を煽って有利な条件での停戦交渉に引き込むつもりでしょう。

ここで、砲弾がロシア軍占領地から飛んできたようにみえる点を査察団が指摘して、それにロシア側が反論している動画があります。

身振り手振りで説明していますが、コントのような馬鹿馬鹿しさです。ロシアのつく嘘は常にこの調子ですが、これが通用する社会なのでしょうね。

砲弾の推進装置と制御機構の動作次第では着弾直前に向きを変えることが無いわけではないようですが、確率は非常に低いでしょう。それに、その場で説明するようなものでもないと思います。

私は信じません。

【反論⑳:ロシアらしさに対する攻撃】

「ロシアは西側とは異なる政治体制であり、欧米の民主主義はロシアには適合しない。ロシアには独自の精神的・道徳的価値観がある。この点を国際社会は尊重するべきである、、、云々」という主張を時々見かけます。

プーチン体制が民主主義に偽装した独裁体制であることが問題です。プーチン政権がこういう主張を発信するのは、政権関係者が国家権力/国家財産を私物化している状況を守りたいだけです。そういうわけで、プーチン政権はジョージ・ソロスの民主化支援活動をやたらと敵視したり、東欧のカラー革命に過剰反応したりします。

失礼ながらロシアの国民性は、協力し合う/お互いを尊重するという習慣が希薄で「騙された奴が馬鹿だ」的な考え方に比重が寄りがちなように見えます。「ロシアは民主主義に向かない」といえば現時点ではそういう側面もありそうです。「ロシアはソ連崩壊直後に民主主義の導入に失敗して混乱した。その状況をプーチンが強権で立て直した。」という認識はロシア国内である程度共有されているようです。

また「ロシア国民は強いリーダーを好む。リーダーの多少の横暴は許容し、それよりも国家全体の結束を重視する。」という考え方も、定着しているのかもしれません。

一方で、テレビを通じたプロパガンダで欧米の脅威を煽りロシア国民をウクライナ侵略に駆り立てる振る舞いは、ロシア国民の信頼を裏切るものでしょう。ロシア人とウクライナ人の殺し合いは必要ありません。プーチンがやっているのは歴史的犯罪です。国家の私物化を押し通そうとした挙句の果ての暴挙である、との指摘は説得力があります。

source : https://www.yomiuri.co.jp/world/20210120-OYT1T50201/

【反論㉑:歴史の書き換え】

①ドンバス紛争の経緯を書き換えようと試みています。投稿はこちら

【補足1:当事者の証言】

①マイダン革命/クリミア強奪/ドンバス謀略を現場で観察してきた人物の証言です。投稿はこちら

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