ロシアのフェイクアカウントについて その⑩:プーチン政権と嘘

【良い嘘と悪い嘘】

私も嘘つくことあります。例えば小さい子供に「サンタさんっているんだよ」って言ったことはあります。

会社の中で嘘つかれることもあります。パワハラ受けて人事の人権相談センターに通報したのですが、明確な証拠を提出しても全く対応してもらえませんでした。「利害関係のある関係者にヒアリングを掛けたところ、パワハラが行われていたとの証言が得られなかったので、パワハラは発生していないと人事部は判断しました。以上で調査を終わります。」みたいな対応。

一番目の嘘は、全然OKだと思います。二番目は、長い目で見てゆくと組織が劣化してゆくことになるので、組織にとっても良くない嘘だと思います。

良い嘘と悪い嘘の間には確たる境界線があるものではなく、ケース・バイ・ケースで判断するべきものだと思います。

【嘘をつく訓練】

キーウ周辺からロシア軍が撤退した後にブチャで遺体が大量に見つかった件で、ロシアの国連大使は「捏造だ」と言い張りました。誰も信じないような嘘をなぜ言い張るのか不思議ですが、プーチン政権の外交官は平然と嘘をつく訓練を受けているそうです。因みにブチャの虐殺については、2022年07月時点での駐日ロシア連邦大使であるガルージンも同様に平然と嘘をついています。因みにですが、ブチャの虐殺に関するロシアの嘘は暴かれています

【歴史的な背景】

個人にそれぞれ性格の違いがあるように、国民性とか社風とかいった人間の集団にも個性があります。個人であればその人の幼少期の経験なり身を置いてきた環境なりに、個性は影響を受けます。国民性であれば、その集団が経験してきた歴史にその個性は影響を受けます。

なぜロシア人はこうも嘘をつくのでしょうか?この記事では、「共産主義時代の経験が効いている」と主張しています。色々と理不尽なことを経験したのかも知れませんね。

余談ですが、日本で会社員をやっていると、やはり色々と理不尽なことを経験します。都心に住んでいると、しばしば「人身事故で電車が遅延」という出来事に遭遇します。みんなで責任を分担してみんなで利益を分配していれば、こういうことは起きないはずです。そういう意味では、日本にも権威主義に伴う嘘の犠牲者は継続的に発生していますし、実は自殺率の高い国でもあります。

【マレーシア航空17便撃墜事件の際の嘘】

2014年07月17日にウクライナ東部の親ロシア派占領地域でマレーシア航空17便が撃墜される、という事件が起きました。

当初、親ロシア派分離勢力は「ウクライナの輸送機を撃墜した」とSNSに投稿したそうですが、撃墜されたのが民間機であることが分かるとすぐにこの投稿を削除したそうです。

その後、
 ①ロシア国営メディアは「ウクライナ空軍が撃墜した」と主張
 ②ロシア国防相は「ウクライナの地対空ミサイルが撃墜した」と主張
 ③親ロシア派分離勢力の司令官が「遺体は新鮮ではなかった
  (墜落の前に既に死んでいた)」と主張
 ④ロシア・トゥデイは「西側がプーチン暗殺を企てて
  失敗したものである」と主張
様々な説明を繰り広げたようです。SNSにフェイクニュースを拡散させるようなこともやっていたようです。

こんなにコロコロと説明を変えていては信頼を失いますよね。なんでこんな事を言い出すのでしょう?こういう言動は信頼されないことを百も承知でやっていて、相手の責任追及のエネルギーを削ぐことが目的だ、と言われています。実際に、2022年07月時点で、プーチン政権は責任を認めていません。

<補足①>
「ウクライナの輸送機を撃墜した」とSNSに投稿したのは、ドネツク人民共和国(自称)の防衛相(自称)イーゴリ・ストレルコフ氏だそうです。こちらに2014年07月時点の記事があります。

【駐日ロシア連邦大使館のフェイクニュース】

駐日ロシア連邦大使館のツイッターアカウントは、くだらないフェイクニュースを垂れ流しています。

画像の右上に表示されている緑色のRTというロゴはロシア・トゥデイというロシアの実質国営メディアでWIKIにも「フェイクニュースを拡散させる」と指摘されています。

動画のストーリーですが、マリウポリの住民を自称する人物が出てきて、「住民を攻撃していたのはロシア軍ではなくウクライナ軍である」と主張すしています。戦争時に防衛軍が自国民を攻撃したり盾にしたりするケースが無いわけではありませんが、都市を徹底的に破壊しておいてから「あれはウクライナ軍が自分でやったことです」と言い張るのは無理があると思います。

クライシスアクターという役者に演じさせてフェイクニュースを作成して拡散させている、と指摘されています。

この動画がフェイクニュースであるかどうか、日本から確認することは出来ないと思います。私は信じません。ついでに言うと、動画も合成っぽくて、胡散臭いです。

ロシア軍が拘束したウクライナ軍兵士をフェイクニュース撮影に強制的に出演させるケースもあるようです。

【ヤクザ的なお国柄】

昔、ヤクザに関するルポタージュを読んだことがあります。ヤクザの組長に密着してその組織の中でのやり取りを観察して、記事にしていました。その中で、組長と組員の間で車の中でのやり取りが紹介されていました。
 組長    :おい、そこ右だ。
 組員・運転手:はい。(右に曲がる)
 組長    :馬鹿野郎。右じゃない。左だ。(杖で運転手の頭を叩く)
 組員・運転手:はい。(戻る)
こんな感じで組長の言っていることが絶対視される状況になっていたそうです。権威主義が深化してしまったロシアは、今は国全体がこんな雰囲気なのでしょうね。

ロシアは侵略の口実の一つに「キーウ政権はネオナチだから・・・」という主張を掲げています。ロシアの外から見れば「は?」としか言いようのない主張ですが、ロシア国内では通用しているようです。

彼らの中では人を殺すに足る主張になっているのでしょうね。皆で唱え続けると、こうなるようです。プーチン政権のつく嘘は、このようにその場の思い付きで喋ってその嘘を皆で唱え続けて押し切るパターンばかりです。

因みにですが、殺される覚悟はないのだと思います。現実に直面して初めて頭を抱えた人の姿は、動画に残っていますが。

【ナワリヌイ暗殺未遂事件】

反体制のカリスマと呼ばれるアレクセイ・ナワリヌイ氏。元々は汚職を告発する運動をしていてその後選挙に出るようになった、という経歴の様です。この人は一度ノビチョクという毒薬で毒殺されかかっています

民間人が簡単に手に入れることが出来ない毒薬であり、どう考えても政府の関与が疑われるところですが、プーチン政権側は国民向けに「アメリカの諜報機関による策略である」と説明して済ませたようです。

子供に向かって「それはサンタさんがやったことだよ」と説明しているのと同レベルで中身がありませんが、国民からの追及はしぼんだようです。

どの程度、国民の納得を得たのでしょうね。無知な国民が信じ込んでしまうという側面と、秘密警察による暴力で異論が出るのを抑えつけているという側面の両方があると思います。

【ジャーナリストの暗殺】

プーチン政権を批判したジャーナリストが暗殺されるというケースは、検索すると沢山出てきます。

第一次チェチェン紛争(1994-1996)までは、割と政府に批判的な報道はなされていたようです。第二次チェチェン紛争(1999-2009)開始以降、メディアへの弾圧が強化されたようです。買収による懐柔と暗殺の両面でジャーナリズムを解体していったようです。

今では、ロシアのメディアは洗脳機関に成り果てています。

【第二次チェチェン紛争】

第一次チェチェン紛争はエリツィンが主導して失敗。第二次チェチェン紛争をプーチンが主導して成功。国民の人気を得てプーチンが大統領になるきっかけになりました。

第二次チェチェン紛争を再開する口実になった「ロシア高層アパート連続爆破事件」という出来事がありました。1999年の8月終わりから9月に掛けて、ロシアの都市で爆発が発生し、計300人近い犠牲者を出しています。

当時首相であったプーチンは「チェチェン独立派武装勢力の犯行である」と断定してチェチェンへの侵攻を開始しています。実はロシアの諜報機関FSBによる自作自演であった、と指摘されています。

本当に謀略で自国民を数百人も殺したのですかね。いかにもプーチンがやりそうなことではありますが、感覚が違いますね。

因みにですが、チェチェン紛争を現地で調査したジャーナリストと話しをしたことがあるのですが、チェチェン側の司令官は「ロシアと約束することに意味はない。紙とペンの無駄だ。」と言っていたそうです。こういう習性/体質なのでしょうね。

【オリガルヒ】

ロシアに関連した記事でオリガルヒという単語を目にするようになりましたね。

元々ソ連時代は共産主義で国有企業ばかりだったところ、これを民営化する際にどさくさに紛れて企業を私物化してしまった人達、、、という風に解釈しています。

兎に角無茶苦茶お金持ちで、プーチン政権と癒着しているようです。ウクライナ侵略以降は、オリガルヒが何者かに暗殺されたとのニュースも目にするようになりました。癒着していたのでしょうね。

【選挙不正】

ロシアでは2018年03月18日に大統領選挙が行われ、プーチンが当選して4期目を開始しています。この選挙は不正疑惑が指摘されています。

この選挙はクリミア紛争後に行われているので、ロシア国内でプーチン人気は高かったようです。一方で、ナワリヌイ氏も出馬を狙っていたようですが、政権の妨害にあって断念したようです。

ナワリヌイ氏とプーチンがマトモに勝負していたら、どうだったでしょうか。いずれにせよ、プーチンとその取り巻きが敗北を認めるわけないでしょうね。何人も暗殺してきた権力者が権力の座から降りれば、無事でいられるワケがありません。

因みに2011年の選挙でも不正疑惑が取り沙汰されたようです。

【プーチン宮殿】

ナワリヌイ氏が暴露したプーチン宮殿。数千億円掛かっているようです。

ナワリヌイ氏はプーチンがウクライナ侵略を行った動機として「ロシア国民からの横領行為を覆い隠し、国内の諸問題から国民の目をそらすことだ」と指摘しています。

いずれにせよ、オリガルヒの無茶苦茶豪勢な生活は隠されてもいないわけで、そのオリガルヒに利益誘導しているプーチンはもっと凄いのでしょうね。

【エリツィンとプーチン】

あまり詳しくは知らないのですが、エリツィン時代からロシアは汚職体質だったそうですね。プーチンは汚職の追及を誤魔化すのが上手だったので、エリツィンに重用されたそうです。

最後に、「エリツィン・ファミリーを保護する」という条件でエリツィンに権力移行を承諾させたそうです。マフィアの政権交代みたいですね。

因みに、なんでプーチンが汚職の追及を誤魔化すのが得意だったかというと、彼自身が汚職の経験が豊富だったからだそうです。マフィアと組んで公金を横領した、なんて告発も受けたこともあるらしいです。

プーチンは、ソ連崩壊後の混乱時代を非合法な手段を駆使してのし上がってきた人物、という側面を持っています。

【権力の掌握】

大統領になって以降は、
 ①政敵の懐柔/排除
 ②秘密警察による司法機関のコントロール
 ③メディアの掌握
 ④マフィア/オリガルヒに対する癒着とコントロール
というのを駆使して独裁的な権力を掌握していったようです。具体的にどうやったのかは、私にはちょっと想像つかないです。

「強いロシア」というスローガンがロシア国民に響いた、そして響いたがためにプーチンの権力奪取をロシア国民が容認してしまった、というのは言えるかも知れません。こういう全体主義の下地みたいなものは、ロシア社会に昔から根付いている様にみえます。

もしくは、秘密警察とかマフィアとかそういう裏の理屈で動く層が人口構成上分厚かった、という面もあるかも知れません。なんでこんなになっちゃったのでしょうね。

実際には、ロシアは全然強くありません。貧困層や少数民族ばかりに戦わせて、自分たちはリゾートでバカンスしているような人達です。

【まとめ】

要するに、プーチンというのはヤクザ的な人物でありプーチン政権というのはヤクザ的な組織である、ということです。力の論理でしか会話できません。プーチンとの約束なんて意味を持ちません。

ヤクザに一度でも金を払ったらおしまいです。「こういう嫌がらせをすれば相手は金を払う」とヤクザが判断したら、何度でも繰り返します。「今回だけは払ってください。本当にこれが最後です。払ってくれたらもう嫌がらせをしません。」と言いながら、同じことを繰り返します。口実なんて、ホントでも嘘でもどうでも良いのです。「非ナチ化が・・・」とか「NATOの東方拡大が・・・」なんて、思い付きで喋っているだけです。

プーチンみたいな人達に関して、「言い分に耳を傾けるべきだ」とか「交渉に応じるべきだ」とか言い出す声が日本にもありますが、そういう人たちは分かっていません。そして、責任も取りません。

【補足1:侵攻の意図はない】

駐日ロシア連邦大使のガルージンは侵攻直前に実施されたTBSによるインタビューにおいて
 ・ロシア政府は攻撃を準備していると発言していない。(14:37)
 ・我々次第なら戦争はない(36:02)
と発言しています。全部嘘だったことになります。

【補足2:暗殺】

①暗殺しまくっています。いまだに「ロシアは話せる相手だ」と主張する奴がいますが、嘘です。投稿はこちら

【補足3:ロシアの情報戦】

①ロシアのやり口について説明した記事です(こちら)。
 ・反射的コントロール
 ・平和を求める本能につけ込む
という特徴があります。

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