ロシアのフェイクアカウントについて その⑱:日本国憲法


【護憲派/改憲派】

日本国憲法は「戦力不保持/交戦権の否認」を定めています。自衛権まで否認しているかどうかは、現時点でいえば国民の間で解釈が分かれているところだと思います。

ロシアのウクライナ侵略という現実を突きつけれられて、護憲派の人たちも考えが揺れている様にみえます。

護憲の立場を堅持しようという人は、ロシアの不法侵略に立ち向かうウクライナの戦いを見て「私ならやらないけれどね」というコメントになるようです。一方で今まで護憲派だった人でウクライナに頑張ってほしいと考えている人は、頭の中の矛盾を整理できていないようです。

【歴史的経緯】

現時点での日本国憲法の草案作成にGHQが関わったというのは別に秘密でもなんでもなく、みんな知っている話しです。

本来はよい事ではないですよね。喧嘩に負けたからといって、相手に生き方を押し付けられる筋合いはありません。

敗戦のショックで呆然自失としている状態で受け入れてしまったのでしょうね。国民的な議論を踏まえて制定されたものではないということは、認識しておいて良いと思います。

【平和を愛する諸国民の信義と公正】

日本国憲法の前文には「平和を愛する諸国民の信義と公正に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書かれています。

都市部への空襲や原爆投下といった民間人への攻撃を行った連合国がこういう草案を作成した、というのも強烈な話ですね。

私はかつて勤め先で上司のパワハラに遭遇して大層難儀したのですが、その上司が最後に「貴方の為にやっているのよ」と言い放つのを耳にして唖然としたことがあります。こういうのに似ていますね。お前が言うなよ、と思います。

戦争責任についてですが、日米開戦直前の日米交渉に注目するならば、対日石油禁輸からハル・ノート提示に至るまでの交渉は「アメリカが日本に戦争を強要している」と見て良いと思います。

そもそも「お互いが植民地獲得を競い合い、より強い勢力となった側がより弱い勢力を屈服させて支配する」というやり方が通用していた時代の出来事であり、「植民地獲得競争の二番手集団のトップに立った日本を一番手集団に居たアメリカが叩き潰した」という解釈で大まかには妥当だと思います。

日本国憲法は戦争責任を敗戦国に一方的に押し付けた東京裁判の延長上にあります。

 <東京裁判>
  ・お前が先に手を出したんだからな(連合国)
  ・お前が全部悪かったんだからな(連合国)
  ・手を出さざるを得ない状況に追い込んだのは俺だけど(アメリカ)
 <日本国憲法>
  ・連合国の皆さんは平和を愛していらっしゃいました(日本)
  ・東条英機が真珠湾攻撃を命じました(日本)
  ・われらはもう戦力を持ちません(日本)
  ・われらは戦争しない国になります(日本)

南国のジャングルなどにはまだ文明への接触度合いの低い人間集団もいて、そういう人たちにビー玉を渡すと宝物のように扱うそうです。

「平和を守らずに憲法九条を守ろうとしている」としか言いようのない言論も散見されます。憲法九条の草案を書いたGHQの人がこういう言論を掲げる人を見たらどう思うでしょうね。ビー玉を大切にしている未開の人々のように見えるのでしょうね。

【九条で平和を守れるか:その①】

憲法九条で平和を守ろうというのは、基本的には「こっちが軍縮するから君も軍縮してね」というやり方だと思います。

こっちが軍縮しているのに相手が軍拡を続けるのなら、どこかでやり方を変えるべきだと思います。

相手との戦力差が開きすぎて「いつでも支配できる」と相手が判断する状況になったら、もう手遅れです。そこから核武装を目指しても、相手はさせてくれません。

「日本はアメリカの核の傘に守られているから大丈夫」という考えも危険です。今回のウクライナ侵略でいえば、核保有国であるロシアの核の恫喝に対してバイデン大統領は引き下がってしまいました。

例えば中国共産党が日本に核ミサイルを撃ち込んだとして、アメリカは中国との全面核戦争を覚悟して中国本土に核ミサイルを撃ち込んでくれるでしょうか?そんなことするワケないですよね。核の傘というものは心理戦の上でのカードに過ぎません。

交渉が下手な人がアメリカの大統領になってしまったタイミングで、中国共産党が心理戦を仕掛けてきたら、アメリカは引いてしまうかもしれません。

【九条で平和を守れるか:その②】

「平和な国であることをアピールすれば戦争を仕掛けられることはない」という考え方も、お花畑な考え方だと思います。

今回ロシアは「キーウ政権はネオナチだから」といって侵略を開始していますが、言い掛かりも甚だしいです。

プーチンは今まで国内で恐怖政治をやってきたので、権力の座から降りることが出来ません。なんとしてでも高い支持率を維持し続ける必要があります。「ウクライナを支配することによる支持率向上を狙った」という面は、少なからずあると思います。チェチェン紛争やクリミア強奪で支持率が上がった経験があるので、癖になって繰り返したのでしょうね。プーチンが侵略に踏み切った要因は、実際にはロシア国内にあると思います。

ところで中国共産党はどうでしょうか。2022年の党大会で習近平が三期目を目指すそうです。共産主義を目指しているわけでもない謎の集団が、選挙で選ばれたわけでもないのに権力を握っています。みんなで集まって何を話し合うのでしょう?

簡単に検索したが、中国国内ではやはり汚職に対する不満が高まっているそうです。そうでしょうね。権力は必ず腐敗します。

汚職体質に加えて国内で情報統制をしているところと個人崇拝が進んでいるところも、中国共産党はプーチン政権に似ています。蓄積された矛盾と不満のやり場を求める習近平が「日本はネオナチだから・・・」なんて言い出したら、、、それに人民解放軍が「おう!」と答えたら、、、日本がどんなに平和国家をアピールしてもやはり相手は向かってきてしまいます。

集団が洗脳状態に陥って暴走する危険性については、キチンと認識するべきだと思います。

【シラス/ウシハク】

明治憲法には「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」と記載されていました。草稿段階ではこの「統治ス」という文言を「シラス」とする案もあったそうです。

日本は明治時代に議会や内閣の制度整備が進み、民主主義が深化しています。明治元年の頃はほとんどの人がチョンマゲでしたが、大正元年は大正デモクラシーのムードが既に感じられていたと思います。そして明治期に急速に近代化が進んでいます。一方、高校の歴史の授業では「明治天皇が〇〇をやった」という実績は出てきません。こういったことから、「明治天皇は明治日本を統治した」といわれると私はしっくりきません。

WIKIを見ると、明治天皇は執務にあたって峻厳であったと書かれています。また内閣総理大臣として明治天皇に接した伊藤博文は「ごまかしが効かない」とこぼしていたそうです。峻厳に執務していたけれど統治していなかった明治天皇は、何をしていたのでしょう?

「明治天皇は明治日本をシラシタのだ」というのが私の解釈です。明治憲法の草案に記載された「シラス」は古い言葉で明確に意味が伝わっていないので、かえって私には納まりが良いです。

明治の先人は明治憲法を制定するにあたり、古事記まで遡って日本人のアイデンティティを探ったそうです。「シラス」という言葉は、古事記の国譲り神話に出てくる「シラス/ウシハク」の論争に由来するそうです。

明治憲法制定に携わった井上毅の講演録を読んだことがあります。
 ①天皇は国民を支配しない
 ②人が人をを支配するという考え方は醜悪である
 ③天皇は国民をシラスのだ
 ④簡素な住まいに起居し民の生活を慮る古代天皇の姿が
  シラスの在り方だ
みたいなことが書かれていました。結局「シラス」という言葉の意味が明確でないのでボツになったそうです。

プーチンの汚さに身の毛のよだつ思いをしている人にとっては、②の主張は納得いくと思います。明治の人は偉かったんですね。

【憲法改定】

ロシアのウクライナ侵略という出来事に直面して、改憲論議もまた活性化すると思います。現行憲法を維持するにしろ改定するにしろ、一度国民的議論を経験するべきだと思います。

明治憲法制定にあたり古事記まで遡って国の在り方を見つめなおした、というエピソードに筆者は感動しました。そして、神話の世界に生きた古代日本人も権力の在り方について議論したことを知って、更に感動です。

国際社会の中で平和を維持するための憲法になります。今回のロシアのウクライナ侵略という出来事に直面して日本に何が出来るのか、日本国民は自ら考えて、それぞれが行動を起こすべきだと思います。

自ら考え行動を起こした経験は、憲法について議論する際に活きるはずです。

【補足1:東條英機の遺書】

WIKIにある東條英機の遺言です。
 ①ハル・ノート
 ②東京裁判
 ③日本国憲法
 ④東條英機の遺書
の4点はセットで読むべきだと思います。②と③が東京裁判史観に則して書かれた文章で、④は東京裁判史観に対峙して書かれた文章になります。

<東條英機の遺書/抜粋>
 ・力の前に屈した。自分としては、国内的な責任を負う
 ・国際的な犯罪としては、どこまでも無罪を主張する
 ・諸君(連合国)の勝利は力による勝利であって、
  正理公道による勝利ではない
 ・原子爆弾の使用は猛省せよ
 ・私は国家の生存と国民の自衛のため、止むを得ず受けてたっただけ
 ・力の強弱を、正邪善悪の基準にしては絶対にいけない
 ・自暴自棄となることなく、喪神落胆することなく・・・
 ・諸君、ねがわくば大和民族たる自信と誇りをしっかり持ち・・・
 ・諸君にあっては日本男児の真骨頂を堅持していただきたい

因みにですが筆者の祖父は2004年頃に以下の様な文章を残しました。

最近、やっと敗戦の意味を知った。戦争以前を全て「悪」として否定する風潮が、日本に根付いていた礼儀や規範意識、国を愛する気持ちを若者から失わせたと思う。悪いところは捨てるべきだが、生かすところもあるはず。悲惨な戦争に二度と巻き込まれないためにも、物事の本質を見極め、善悪を判断できるようになってほしい。

私は、
 <東條英機>
  日本人。うつむくな。戦争には負けたが、心を折られるな。
  (1945-1948)
 <祖父>
  日本人は戦争に負けて心が折れた。(2004)
と言っていると解釈しています。

【補足2:戦うべき時】

今回のロシアの侵略で日本がウクライナに武器支援できないのは、「武器輸出三原則に違反するから」という判断になるのでしょうか。

ロシアはウクライナの民間施設を対象としたミサイル攻撃を続けています。「核保有国と核非保有国が戦っている為、自国の民間施設が攻撃されることは無い」と思っているので、ロシアはこういうことを繰り返します。

「力による現状変更は認められない」という見解を出している以上、日本国政府はウクライナ軍が領土からロシア軍を叩き出すまで戦うことを支持しています。そうであれば、武器供与も戦争終結に寄与する支援となるハズです。

日本国政府は、民間人への攻撃が繰り返される状況でウクライナに対する有効な武器支援に踏み込みません。この判断は平和の維持に繋がるのだろうか?この問いかけは一度日本人が考えてみるべきテーマであると思います。

戦うべき時があることを、ウクライナは示していると思います。

【補足3:フェイクアカウントの意見】

<概要>
外国のフェイクアカウントは、熱心に「日本は憲法九条を守れ」と主張します。憲法九条には怪しい要素が含まれていることになります。

例えば、ロシア軍はブチャで虐殺を行いながら「ウクライナの自作自演」と言い張りました。しかし、その後も占領地が解放されるたびに集団墓地が見つかり、多数の遺体が見つかります。

またウイグルジェノサイドはさらに不気味です。国際的な非難は盛り上がっていませんが、強制収容所の設置、殺害、不妊処置が報道されています。民族の規模縮小を狙っているのでしょう。

権力に取りつかれた悪魔に対して一度でも武器を手放せば、二度と武器を手にすることはできません。「戦いを挑まれた場合、降伏すれば戦争にならない」との主張は、非常に危険な一面をはらんでいます。

①ルパン小僧。憲法九条を守れと主張しながら、中国に言及しています。また、日米離反を狙った文言も含まれています。中国共産党のフェイクアカウントかもしれませんね。

②-1 鎌田善哉。平和憲法を守れと主張しています

②-2 継続的に、漫画っぽくプーチンを持ち上げているアカウントです。

②-3 こういうキャラクターを演じています。

【補足4:ロシア大使館前の抗議】

①護憲派の人たちはロシア大使館前で抗議をして、プーチン政権ロシアを止めて見せるべきです。しかし、2023年06月時点では、定期的にロシア大使館前で抗議する人は30人程度です。護憲/改憲を云々いう前に、日本人はまず日本国憲法を理解していません。

一方で、言論による戦いに意味が無いという訳ではありません。中露が情報戦を仕掛けてきています。意味があると考えているからやっている訳です。

ウクライナ侵略がひと段落したら、日本人は憲法九条について国民的な議論を経験するべきと考えます。

まずは、ロシア大使館前で抗議するべきです。市民によるプーチン糾弾の声が世界に広がれば、各国政府のウクライナ支援/ロシア制裁を後押しすることに繋がりますし、国内外のロシア人に対してプーチン政権から離反するように促すことが出来ます。

行動を起こし試行錯誤し成果につながる。日本人全体としてそういう経験を得ることが出来れば、コミュニティとしての成長に繋がるハズです。

ロシア大使館前の抗議についてはこちら

【補足5:勢力争いの観点で見る太平洋戦争】

ロシアは2022年02月24日にウクライナ侵略を開始しましたが、それに伴って情報戦の一環として、日本の保守層をターゲットに「プーチンは戦争に引き込まれた。日本が太平洋戦争に引き込まれたのと同じである。」というデマを撒き散らしています。参考はこちら。ということは、ロシアは「太平洋戦争はアメリカが日本に強要した戦争である」と見ていることになります。

chinaは戦中は胡適が日本切腹中国介錯論を唱えていましたし、戦後は鄧小平が韜光養晦を唱えていました。chinaも日米戦争に関しては「アメリカが日本に戦争を強要した」と見ていたのでしょうね。

日中戦争に関して言えば、これはどう見ても日本が中国に攻め込んでいるわけで、この点から目を背けてよいとは私は考えていません。私の祖母は「村から中国に出征した男が、帰ってきてから酷いことをしたことを話しているのを聞いた」と言っていました。ロシアがウクライナで行っているような残虐行為を、かつて日本も中国大陸で行ったのでしょう。

しかし、いつまでも過去の過ちを見つめて萎縮していても、良い結果には繋がりません。WWII時点ではchinaには「アメリカを利用して日本を倒す」という意識もあったわけですし、2023年時点で言えば中国共産党は異常な軍拡を続けて台湾を威嚇し、国内ではウイグル・ジェノサイドを敢行しています。勢力争いや帝国主義といった性悪な根性はchinaにも根付いています。彼らは繰り返し日本に過去の反省を求めてきますが、平和を願ってのことではないのです。

「平和を守る」ということが大切なのです。平和の敵が存在するのであれば、毅然たる姿勢を保つことが必要です。

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