ロシアの情報戦 その99:参政党のロシア擁護


【概要】

プーチン政権ロシアによるウクライナ侵略は明確な国際法違反であり、極めて深刻な人権侵害です。幼稚な嘘と異常な残虐行為を繰り返しています。醜悪の極み。

参政党はDS陰謀論/反グローバリズム陰謀論と絡めながらロシアの大規模極悪犯罪を擁護します。この一連の言動は虐殺への加担であり、平和に対する敵対行為です。日本語言論空間でも愚図愚図言いながらロシアを庇う輩が後を絶ちませんが、問題の解決を遅らせているのはこういう人達です。

参政党のロシア擁護は党員のボトムアップの議論を経て形成した政治的姿勢ではありませんし、政策としても明言していません。しかし、党幹部が書籍/街宣/国会などでロシア擁護の主張を繰り返しています。不用意に参政党に参加してしまうと、ロシアの歴史的犯罪に加担してしまうことになります。ある意味、詐欺的であると言えます。

【神谷宗平】

①神谷宗幣氏による街宣の動画です。どっちもどっち論を展開しています。

「アンネの日記」を読んで「どっちもどっち」と言い出すくらい倫理観が破綻している意見です。

②北海道における街宣です。脈絡なく即時停戦を喋りだします。動画のURLはこちら

【抜粋】
日本はいまだにアメリカにくっついてウクライナの支援にお金を出そうとしていますけれど、もうヨーロッパも白けてるし、グローバルサウスの人達ももう興味がない。ウクライナ戦争なんか。そんなところに一生懸命にまだウクライナウクライナと言ってるのが日本の政治です。そんなことおかしいんだと、さっさと戦争なんかやめてもらったほうがいいんですよ。いつまでも継続の応援してる場合じゃないんです。戦争早くやめた方がいい。そういう声を挙げるのも国民の皆さんです。(1:23:13)

③2024年03月03日の新宿での街宣です。「ウクライナを支援するな」と主張しています。投稿はこちら

【矢野義明の戦況分析】

①松田学と矢野義昭による戦況分析動画です(2022/04/12公開)。検索すると、この組み合わせで対談している動画は他にもいくつか見つかります。

矢野義昭はロシアの侵略/虐殺行為をプロパガンダで支援する自称軍事専門家です。こちらも参考に願います。

【要約】
 ①(ロシアによる侵攻は)米国/宇国側に要因がある(04:43)
 ②(ブチャ虐殺について)本当にそういうことが出来たのか(07:28)
 ③(ブチャ虐殺について)宇国警察が遺体を並べた様子(09:06)
 ④キーウ方面から露軍は(敗走ではなく)計画的に撤退した(09:54)
 ⑤虐殺したなら穴を掘って埋めたハズだがそれをやっていない(11:03)
 ⑥ブチャ虐殺の画像だけで経済制裁に踏み切ったのは性急(11:39)
 ⑦ロシア系住民を虐殺から保護するとの言い分は成り立つ(14:25)
 ⑧露軍は効果的な反撃を受けた/米国に仕掛けられたと言える(18:49)
 ⑨宇国がNATOに参加するのは露国の脅威であった(24:15)
 ⑩力による現状の変更は認めてはならない(36:09)

①~⑨まではロシアの嘘八百をそのまま代弁しているに過ぎません。⑩だけが正しいですが、それをもってロシアを非難することは一切発言していません。

⑥と⑧では松田が笑っています。

【DS陰謀論】

山岡鉄秀が参政党の松田学と対談している動画です。

【要約】
①プーチンがウクライナのネオン街(ネオナチ)の人達を叩こうとして進行しているのは事実(3:54)
②2014年のクリミア以降、ゼレンスキーがそういう人たち(ネオナチ)と繋がっているという話もある。(6:43)
③アメリカがウクライナで生物兵器を研究している。(15:03)
④DS/グローバリストと呼ばれる、資産と非公式の権力を持つクラスターが存在する。その人達がロシアのエネルギーを狙っている。(32:29)
⑤真珠湾攻撃については、(日本を)追い込んだ勢力も見ないといけない。(ロシアのウクライナ侵略にも)似たようなところがある。(36:45)
⑥プーチンは計算が狂ってい合理的に行動できていないので、狂気の侵略者に見えている。プーチンは正義のためではなくてロシアの国益の為に反DSの立場を取っている。敵はグローバル全体主義。プーチンは仕掛けられてやった面がある。一番悪いのはグローバル全体主義。(41:58)
⑦ウクライナは事実上の緩衝地帯。ウクライナ人にも自己決定権はあると言っても、結果としてパワーバランスが崩れれば争いは起きる。侵略は認められなくても、いろんな事情がある。アメリカ民主党が悪い。トランプなら戦争の惨禍を回避できた。2020年のアメリカ大統領選挙からウクライナ侵略まではつながっている。(43:32)

動画で「ウクライナのネオナチ」を「ウクライナのネオン街の人達」と言い換えています。「ウクライナのネオナチ」はプーチンが侵略の口実とした点であり、ウクライナ側は反論済みです。単純に「ウクライナのネオナチ」を連呼するとプロパガンダの協力になるので言い換えているわけです。

この二人のロシア擁護は確信犯です。

【馬淵睦夫】

参政党幹部と馬淵睦夫は何度かYouTubeで対談動画を配信しています。馬淵睦夫は2014年以降に継続してロシアのプロパガンダを日本に撒き散らしています。馬淵睦夫に関する参考情報はこちら

馬淵睦夫と松田学の対談動画を一つ要約してみました。URLはこちらです。

大まかには「WWIIで日本はグローバリストによって戦争に引き込まれた。同様にプーチンもグローバリストによってウクライナ侵略に引き込まれた」というストーリーを話しています。ロシアの情報機関がまき散らしている作り話で、松田が馬淵に問いかけながら対談を進めています。

実際にはロシアは領土獲得を目的として侵略戦争を行っています。もし違う理由で侵攻しているならば、自軍に20万人もの死者を出す前に撤退して話し合いをしているでしょう。

【要約】
①参政党はグローバリズム全体主義に対抗して自由を守る国民国家という軸を打ち出している (00:12)
②ウクライナ問題は完全にアメリカが仕掛けた戦争である (00:47)
③ウクライナ問題が日本のメディアのトップになることはなくなった。~中略~グローバリズムと戦っているプーチンさんが初期の目的を事実上達成した。(01:31)
④ウォール街が軍産複合体がしこたま儲けた。~中略~ディープステートの伝統的なやり方である (10:24)
⑤今回のウクライナの事態は、プーチンは確かに国際法違反して悪いことをしたかも知れない。日本ももしかすると真珠湾攻撃はそうだったかも知れない(11:55)
⑥グローバリストから見た場合、日本を戦争に追い込んだ、日本がグローバリストにとってこのまま強くなったら困るというか、そういうことがあったのか?(松田)それはある。(馬淵) (38:16)

【篠原常一郎】

参政党の結党時のメンバーはKAZUYA、神谷宗幣、松田学、渡瀬裕哉、篠原常一郎の5名です。この中で、篠原常一郎はロシアと関係のある人物です。

こちらは篠原常一郎がロシアの軍歌を歌っている動画です。

駐日ロシア連邦大使のガルージンが2022/08/04に広島を訪問して原爆慰霊碑に献花した際に、篠原常一郎が同行しています。参政党結成メンバーの一人であるKAZUYA氏(2021年04月に離党済み)にとっても驚きだったようです。

献花の後に、駐日ロシア連邦大使館と一水会が共催で「軍備管理と核軍縮の現状と見通し」という会議を開催したようです(動画)。

【要約】
①私が調査した結果、明らかに2014年のクーデター政権が民族浄化主義と反ロシア主義に立ってロシア語話者の住民を弾圧したことが紛争の原因(1:36:40)
②これを防ぐために国際社会がミンスク合意を作ったが、その後の政権が一向に停戦合意を守らない(1:37:09)
③安部元総理も7月8日に亡くなる前に海外のメディアの前で、「ミンスク合意をゼレンスキー政権が守っていたら2月24日の開戦はなかったのではないか」と発言された(1:38:39)
④この紛争当事国であるウクライナに対して自衛隊の防衛装備が移転された(1:39:13)
⑤この会議に参政党の山口支部の二人が来ている(1:39:38)
⑥質問主意書で防衛装備の移転について防衛相に質問した(1:40:02)
⑦国民の知らない間に事実上の参戦行為が行われている(1:41:01)

篠原常一郎は「ミンスク合意を破ったゼレンスキー大統領が悪い」と喋っていますが、実際にはミンスク合意を破ったのはロシアです。詳細はこちら

因みに、篠原常一郎は「参政党は防衛装備の移転について質問主意書を防衛相に提出した」と述べていますが、実際に神谷宗幣氏が提出した質問主意書はこちらです。

【政治活動としてのロシア擁護】

プーチン政権ロシアによるウクライナ侵略は、明確な国際法違反であり深刻な国際人道法違反であります。

この大規模極悪犯罪を安易に擁護することは、犯罪への加担になります。

参政党幹部は党員の合意を得ないまま政治活動としてロシア擁護を繰り返しています。

①国会の場で即時停戦を提案しています。大量猟奇殺人集団であるプーチン政権ロシアにお土産を渡そうという提案。国際法に対する信頼を失墜させて世界平和を危険に晒す行為です。

②街宣活動でも「ロシアを挑発するな」と主張している様子。ロシアに買収されているのかも。

【伊藤貫】

Channel Grand Strategyという参政党に関わりのあるYouTubeチャンネルに伊藤貫が出演していました。URLはこちらです。

大まかに言って以下2点を目的に喋っています。
 ・ウクライナ侵略の責任をアメリカに転嫁する
 ・危機感を煽る

【要約】
①ロシアのウクライナ侵略はアメリカが始めた (0:44)
②NATO拡大(が原因である) (0:59)
③2014年にビクトリア・ヌーランドがクーデターを起こさせた(1:00)
④アメリカのペンタゴンとCIAは大量の工作員を送り込んでウクライナ軍を米軍の下部組織として作り直した (1:17)
⑤ウクライナ軍にロシアを攻撃する能力を持たせようとした (1:34)
⑥ミンスク協定についてメルケル首相とオランド大統領が「あれは嘘だった」と言った (2:00)
⑦少なくともロシア側から見ると「我々は追い詰められたから戦争をやらざるを得なかったんだ」というふうに見えます (3:04)
⑧過去78年間の日本はアメリカに守ってもらえば良い。東アジアでロシアなり中国なりが暴れ出したらアメリカ様が守ってくれるから大丈夫だという基本的な国策が有効性を失っている (4:59)

【矢作直樹】

東京大学名誉教授で専門は救急医学、集中治療医学だそうです。2016年の参議院選挙に「日本のこころを大切にする党」から比例代表で立候補して落選しています。

参政党とは街頭演説やDIYスクール講師として関与しています。参政党が陰謀論に染まってゆくきっかけを作ったのはこの人では?という指摘があります。参考はこちら

試しに動画を一本見てみました。URLはこちら

【要約】
①今回プーチンさんが戦前の日本と同じような追い込み方をされた。(01:52)
②アメリカが非常に巧妙に1991年のソ連解体からNATOを拡大するように非常に巧妙に誘導してきて、それに対してプーチンさんはやっぱり腹に据えかねているっていうのがずっとあった(04:58)
③クリミアはロシア語が主体の人たちが多い所で、ロシアに救いを求めたような形にしてクリミアを併合した(05:27)
④第二次世界大戦の時に日清戦争/日露戦争の後、どんどん追い込まれていった日本と正に同じ(06:54)
⑤世界を本当に動かしてる人たちっていうのは「グローバリスト」という言い方では収まらないのですが、もっと上のレベルの人たちですけど、、、(07:11)
⑥メディアの言っていることというのは「真実」という意味では日本のメディアはあてになりません(08:31)
⑦敗戦後、日本は降伏してから「サンフランシスコ平和条約」によって形の上で独立を迎えましたが、約7年弱の間GHQに統治された。ここで戦中の日本の強さというものに彼らは衝撃を受けて、「この人たちを再び立ち上がらせると今度はどういう復讐されるかわからない」と彼らは本気で考えた。国際法を無視して結果的に日本の国を解体した(09:42)

【コメント】
①「日本が太平洋戦争に引き込まれたのと同様にプーチンもウクライナ侵略に引き込まれた」と主張するのは、ロシアの工作員が撒き散らす日本人向けの定番のプロパガンダです。
②プーチンの嘘です。参考はこちら
③プーチンの嘘です。参考はこちら
④ロシアの工作員が撒き散らす日本人向けの定番のプロパガンダです。
⑤グローバリスト陰謀論です。
⑥「メディアは偏向報道されている」と吹き込むのは、ロシアの工作員の常套手段です。これに引っ掛かった人は、どんなに説得しても「君は偏向報道に毒されているのだ」と言って人の話を聞かなくなります。
⑦日本は戦後に占領~占領解除を経験しています。この間に思想や国の在り方についての矯正が行われているという指摘は、その通りだと思います。そうじゃなかったら占領を解除するハズがありません。日本人に定着した東京裁判史観や日本国憲法については、一度見直すべきだと考えます。但し、ここから日米離間に持っていこうとするのが中露の工作員の作戦です。これに乗ってはイケマセン。米国も完璧ではありませんが、人権の尊重/法の支配/民主主義/自由といった人類普遍の価値に向き合う姿勢は中露とは比較になりません。

【まとめ】
喋っている内容はロシアのプロパガンダそのものです。どこかでロシアの情報機関と接点があったのかも。

矢作直樹は歴史解説やスピリチュアル的な書籍を出しています。今回解説した動画の概要欄には天然石の販売会社へのリンクが記載されており、その中で啓発的なセミナーを紹介しています。

「陰謀論+スピリチュアル」で金を稼ぐことを覚えてしまったのかもしれませんね。

【ロシア擁護と保守】

①Twitterでロシア擁護を主張するアカウントの多くが保守的な主張を展開します。

ロシアの情報機関が「なんちゃって保守」をターゲットにロシア擁護陰謀論を撒き散らしたためだと思います。「日本はGHQの洗脳が尾を引いているから米国から自立できない」という主張を定着させ、日米離間に繋げたいのでしょう。

この指摘は全くの嘘ではないと思います。私の祖父も「日本は敗戦を経験したことにより国民性が変質してしまった」と言っていました。「戦前の日本には良い所もあった。それが失われてしまった。」と。

国民性が変質してしまった原因は、一言で言いきれるものでもないと思います。GHQもある程度思想矯正を試みていますし、日本人自身が心を折られてしまった面もあると思います。

じゃあ本来の日本の良い所って何?という話になるのですが、そこまでロシアの情報機関が踏み込んでくるのはちょっと怖いですね。日本人のアイデンティティを探る思考に介入しようとしています。

矢作直樹と神谷宗幣が古事記に記載された「シラス‣ウシハク」の問答に触れている動画を見つけたので、紹介します。URLはこちら

<シラス/ウシハク>
シラス/ウシハクの議論は、明治憲法を制定する際に井上毅という人が参考にした古事記に記載されている武御雷と大国主の問答です。

天照大神が使者として武御雷を地上に遣わして、大国主に「あなたは民をウシハクが、私の子孫は民をシラス。ウシハクよりシラス方が良いのだから、国を譲れ」と迫ったというエピソードです。

ここでウシハクは「支配関係」に近いニュアンスのようです。シラスの方は、今でも意味があいまいです。私は会社員なので、上司のコミュニケーションのタイプに置き換えて解釈しています。高圧的な上司がウシハク上司で、コーチングの姿勢で接する上司がシラス上司、という風に理解しています。

神話の世界に生きた古代日本人も国の意思決定がどうあるべきかについて議論したのですね。そして明治憲法を制定する際にも、このエピソードは参考にされました。明治憲法は最終的に「万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」とされましたが、草案では「万世一系ノ天皇之ヲシラス」とする案もあったそうです。

では実際はどうだったのかというと、日本は明治期に内閣や国会といった制度の整備が進み、民主主義が段階的に進化しています。この間に明治天皇が「何をしろ」と明確に指示したことはほとんどないようです。実際には明治天皇は明治日本を統治していません。では明治天皇は明治日本に何をしていたのでしょう?

WIKIにおける明治天皇の項には「書類に必ず目を通した。記憶力が抜群であった。伊藤博文は『ごまかしが効かない』とこぼしていた」と書かれています。「細かくチェックしていたけれど実績が明記されない」というのも不思議な話ですね。

では明治天皇は明治日本に何をしていたのでしょう?この問いに対する答えは、私の中では「明治天皇は明治日本をシラシタのだ」ということになっています。

古事記の時代から日本の政治には民主主義の要素が入っており、それが明治時代においても意識されていた、ということになります。憲法を定める際に古事記まで遡って日本のアイデンティティを探った、という姿勢は立派ですね。

<動画の要約>
次にロシアの手先に成り下がった陰謀論者が何を語ったか、見てみましょう。

①国譲り神話におけるシラス/ウシハクの解釈(02:21)
②欧米の帝国主義と日本の帝国主義の対比(05:34)
③米国政府と日本政府の関係は支配/被支配の関係である(06:37)
④米国政府だけで見ると、国際銀行家/FRBと米国政府は支配/被支配の関係である(06:44)
⑤日本は特殊(あまり支配関係を求めない)である。理由は、天皇陛下の存在が大きい(07:39)
⑥古来、天皇陛下は国民を家族のとりまとめのような形で見てらっしゃる(09:00)
⑦戦後教育の中で教えてこなかった。天皇陛下のご存在を隠すことが、日本の国の在り方や伝統文化/歴史/信仰すべて押さえつける、感づかせないようにすることにつながることを日本と戦争した国は良く分析していて、だからこそそういう教育/メディアを作った(09:59)

シラス/ウシハクの話に触れながら、GHQの洗脳を指摘しています。日米離間に誘導する伏線なのでしょう。また「裏で米国を支配する裏の存在=国際金融資本」という陰謀論も意識させる内容になっています。

【反グローバリズム】

①参政党は「反グローバリズム」を掲げていますが、なんのことを言っているのでしょう?

2023年08月22日時点の参政党のHPを確認すると、党の政策の十番目の柱として「自由と文化と日本の国柄を守り育てる“国家アイデンティティづくり” 」を掲げており、そのコンセプトとして「『グローバル勢力vs国民国家』という対立軸が強まるなかで、自由社会と法の支配と民主主義を守る新たな国家の役割を強化・推進する。」と記載しています。URLはこちら

このグローバル勢力が何を指しているのか、さっぱり分かりません。

②こちらの記事では神谷宗幣が「(参政党が敵視する)あの勢力」という言葉の意味を問われて、「国際金融資本や多国籍のグローバル企業のこと」と説明しています。

③参政党アドバイザーの我那覇真子氏は、参政党政治資金パーティーで「グローバリストの実働部隊であるダボス会議を取材してきた」という内容で講演したようです。URLはこちら

④日本にロシア擁護陰謀論を拡散させた馬淵睦夫は、2014年時点で既に「グローバリスト」という単語を用いて本を書いています。参考はこちら

動画や書籍をいくつか見てみたのですが、馬淵睦夫の中ではグローバリストという単語は「=ディープステート=国際金融資本=ユダヤロビー=ネオコン」というわけのわからない何者かを指していることになっているようです。そして馬淵睦夫は「このわけのわからない何者かがウクライナ侵略の黒幕だ」と主張します。

⑤要するにですが、参政党が「反グローバリズム」という言葉を用いた場合に中身はありません。なんとなく世界支配を企む邪悪な存在がいるかのように思わせようとしていますが、イメージは明確ではありません。そして参政党はその謎の何かに対する対抗を呼び掛けて党員の団結を図ります。デマに引っ掛かった党員たちは、一体感を感じているみたいですね。

仮面ライダーが大好きな小学生に「一緒にショッカーと戦おう」と呼び掛けたら「やります やります」って言いながらみんながついてきちゃった、みたいな状況を思い浮かべてみれば分かりやすいと思います。

ソ連がヒトラーの大衆操作術を研究して、それがロシアに引き継がれて、ロシアの情報機関が参政党に入れ知恵した、、、という風に私は想像しています。

⑥ロシアは反グローバリズム陰謀論をあの手この手で拡散させようとします。

こちらは幸福の科学関係者である及川幸久が反グローバリズム陰謀論を拡散させている動画です。大まかに言うと、ジョージ・ソロスやビル・ゲイツといった大金持ちが世界支配を企んで悪さをしている、、、というイメージになっているようです。当日は新宿で塚口ようすけという人物が街宣をしていました。様子はこちら

ロシアは様々な人物に様々な経路(書籍/SNS/YouTube/街宣)で反グローバリズム陰謀論を語らせ、陰謀論に引っ掛かった人を参政党に引き付ける作戦なのでしょう。

⑦なぜロシアはこういうワケの分からないデマを撒き散らすのでしょう。

保坂三四郎氏の「諜報国家ロシア」では「ロシアはマフィア/FSB(諜報機関)/行政の支配する国であり非公式な手続きや慣習が上位にある」と説明しています。

1991年頃にソ連が崩壊し、一旦混乱状態を経験したのちに社会が機能を回復してゆく過程で、「マフィア+諜報機関+行政」が権力を握ってしまったのだそうです。選挙制度や国会など民主主義の仕組みをそろえてはいますが、形式的なものとなっているようです。

国民の信託を得ずに不正に権力を握っている人たちにとっては、例えばジョージ・ソロスが様々な国で行っている民主主義の深化の支援活動は邪魔なものになります。こういう欧米の民主的なやり方を求めるアクションに対して、不正に権力を握った人たちが「グローバルスタンダードを押し付けるな。ロシアにはロシアのやり方がある。」と反論する、というのが一つにはあると思います。

もう一つは、こういう不正に権力を握った人たちにとってもやはり団結したり権力を維持したりするためには敵を想定する必要がある、ということです。影響圏という発想を持ち出して「ロシアは周囲から圧迫を受け続けてきた」などという被害妄想を募らせそれを国民に語り、自らの不正から国民の目を逸らそうとします。ついでに、自分もその嘘を信じ込んでその世界に浸って物事を見るようになっているようにみえます。

反グローバリズム陰謀論というのは、ロシアにおける不正に権力を握った人たちが国内で自分の立場を維持するために利用している作り話(の派生形)です。ロシアを圧迫している正体をグローバリストと想定するならグローバリスト陰謀論になりますし、ディープステートと想定するならディープステート陰謀論になります。ついでに言うと、ロシアを圧迫している正体をNATOと想定するなら、頭の悪い学者が主張する代理戦争という曲解になります。被害妄想を前提としている点で、これらはルーツを同じくするお話であることになります。

ロシアの情報機関は、この世界観に賛同してくれる人や理解を示してくれる人を増やすために各国で反グローバリズム陰謀論(を含む各種陰謀論や曲解)を撒き散らしているのだ、と私は解釈しています。

【河添恵子】

河添恵子と松田学の対談動画を見てみたのですが、典型的なロシア擁護プロパガンダでした。要点を抽出してコメントします。動画はこちら

①NATOはロシアを敵だと言った上で東方拡大を続けてきたわけですから、ロシアでありプーチン政権とすれば外交手段で戦争しないようにしようと言っているのはロシア側だと私は認識している。(06:44)

領土侵略です。NATOの東方拡大は口実にすぎません。反論はこちら

②メディアはロシア側の言い分も同じように出すべきだ。(09:06)

ロシアの主張は100%嘘です。まるで「プーチン政権ロシアには約束を守る習慣がある」などと思わせる言動は、プロパガンダです。

③プーチンの個人の命のことを言っているだけではなく、プーチンとすれば国家というものの存続で言っているんだと思う。(10:14)

ロシアは諜報機関+マフィア+行政組織が乗っ取った国です。情報統制が行われており、適正な選挙が行われていません。プーチンは国民の信託を受けた大統領ではありません。

④何を西側諸国がロシアに求めているかというと、私は資源の企業の解放だと考えている。ロシアっていうのは石油も天然ガスも一杯ありますし、一時エリツィンの時代っていうのはある種の傀儡政権と言われていて、西側諸国ワシントンが操っていたという話もあるんですが、プーチンさんになったあとプーチンさんは国家資本主義(ステートキャピタリズム)という考えを出していて、石油会社を政府保有にした。それに対してジョージ・ソロスはオープン・ロシア・ソサイエティ。市場を開放しろと。(10:27)

ロシアは国民のごく一部が国の富のほとんどを保有しているそうです。プーチンが守ろうとしているのはロシアではありません。

⑤バイデンはグローバリストの流れに乗っている。(松田)
もちろんその傀儡です。ディープ・ステートの傀儡だと思う。(河添)(14:17)

陰謀論です。

⑥プーチンが何を求めているかということは割と分かっていて、普通の国として対応してもらいたいというのがプーチン側の考え。(15:42)

2014年以降、プーチン政権ロシアは「嘘をつく→人を殺す→嘘をつく→人を殺す→・・・」を繰り返してきました。絶対に約束を破る人です。「プーチン政権ロシアは話の通じる相手である」と思わせるような言動は、ロシアのプロパガンダです。

⑦すべて制裁。アメリカのいうことを聞かない西側の言うことを聞かないから制裁。上と下じゃないですか。私からすればそれはおかしい。(16:30)

嘘が通じなくなってくると、ロシアはこのように喚き散らします。

⑧ユーラシア主義という言い方が良いのか分からないが、ロシアは追い詰めれば中国との関係を悪くできない。彼らからからすれば自分たちのモノは自分たちのモノなんだと。という共通の認識を持ってNATOはこっちにくるなと。(河添)
NATO側がロシアに圧力を掛ければ掛けるほどユーラシア主義が結束を強めてゆくという構図になる(松田)(21:59)

「ロシアを追い詰めると中露同盟に追いやるから、あまり厳しく制裁を加えるな」というのは2014年時点で鈴木宗男が安倍政権に吹き込んだプロパガンダで、安倍政権はものの見事に引っ掛かって対露経済制裁を緩和し、プーチンの増長を招きました。

⓽(ロシア人は)あけっぴろげである。田舎のおばちゃんみたいな感じで、声が大きくてなんでも話す。それがロシア人。言論の封じ込め封じ込めってステレオタイプで新聞記者やテレビの方はいうけれど、ロシア人を見てごらん。必ずしもそうじゃない。(25:00)

戦争反対を公言した人がどんどん投獄されています。

⑩ロシアのこと思いっきり悪く言えるのは、ロシアはそんな工作というか変な影響力を日本に持っていないということなんですよ。(28:24)

河添恵子氏はロシアのインフルエンス・エージェントでは。

⑪参政党はグローバル全体主義に対抗して自由を守る国民国家というのを打ち出している。その立場に立つなら、今ロシアが守ろうとしているのがグローバル資本に対して自分を守ろうとしている。それと多様性が大事だと思う。バイデンが考えているような、全世界同じような民主主義にならなければいけない、という、もちろん民主主義は大事ですけれど。自由/民主主義/市場経済を無理やり押し付けていることでいろんな問題起こっている面もあるのでは。(松田)(31:52)

「グローバル全体主義が世界支配を目指している」という設定がまず陰謀論です。ロシアの諜報機関の中ではこういう世界観になっているようですね。「自由/民主主義/市場経済の押し付けは良くない」というのは、国家権力を詐欺的に奪取したプーチン政権関係者にとって不都合なだけで、一般のロシア国民に不都合はありません。これを「多様性」と言い張るのは、ごまかしです。

⑫簡単に言えば世界の国境をなくそうと思っているのが世界の権力者で、その中の年老いたスポークスマンとして使われているのがバイデン。(32:57)

グローバリズム陰謀論です。

⑬日本はロシアを敵と回すことは得策ではない。ロシアから天然ガスをガンガン買うことをするなとアメリカと西側諸国はプレッシャーを掛けていると思う。(33:22)

「ロシアを敵に回すな。(中国の脅威に集中しろ)。」というのはロシアが垂れ流すプロパガンダです。

⑭ここで独自の立場で北方領土で有利にするためにもロシアに恩を売るということがあっても良いと思う(松田)(34:09)

これもロシアのプロパガンダ。2014年時点で鈴木宗男が安倍政権に吹き込みました。引っかかった安倍政権は対露経済制裁を緩和しましたが、ロシアは恩に着ませんでした。2022年02月24日の開戦後に、ロシアの軍艦が日本列島を一周しましたよね。日本はロシアに騙されたんですよ。気が付きましょう。

<補足>
酷い投稿をみつけたので、保存しておきます。プーチンを救世主と呼んでいます。

【山中泉】

<概要>
山中泉と松田学の対談動画を一本見てみました。「グローバリストという世界支配を企むヤツラが悪さをしている」という設定でデマを語り合っています。相変わらず松田が話を誘導しています。URLはこちら

以下の特徴はロシアのプロパガンダの特徴ですが、この動画にも顕著に表れています。
 ・トランプ推し
 ・反ワクチン
 ・反軍産複合体
 ・反ダボス会議
 ・メディア不信/政府不信
 ・ロシアは戦争に引き込まれた

<抜粋>
①参政党が明確な主張をして一気に大きな国民運動というような流れが出てきた。トランプの2016年の草の根の支持と似ている。(01:55)

トランプ推しはロシアのデマの基本です。

②国民の間に広がっているのはグローバリズムに対する疑問/批判。それが結局30年間日本の経済を劣化させた。(松田)(06:27)

反グローバリズムという言葉に明確な定義はありません。「世界支配を企む悪者の集団がいて裏で甘い汁を吸っている」という幼稚な妄想に過ぎません。

③グローバリスト勢力は国際金融資本やアメリカの中央銀行に大きな勢力を持っている。(中略)WTOやダボス会議にグローバリスト勢力がいる(08:11)

喋っている本人にもグローバリストが何者なのか理解できていません。

④アメリカを壊す動きがある。意図的に犯罪を増加させようとしている。(18:03)
国家主権を無視した世界政府を作って国民は羊のようにして、そこから利益をむさぼる連中が意図的にアメリカ社会を壊している(松田/山中)。(26:40)

嘘です。

⑤権力者は国民に言うことを聞かせるためにはありとあらゆることをやってくる。プロパガンダもその一つ。流行病もその一つ。お注射もその一つ。(31:38)
→ロシアはワクチンに対する不安を煽るデマを垂れ流し、同時に、漠然とした「世界支配を企む闇の組織」のイメージさせるデマを垂れ流しました。参政党はこのデマに便乗して支持者を獲得しました。

⑥報道の自由がもうすでにこの国ではないんですよ。日本も同じことが起きている。そこに反グローバリズムを抱える人々が草の根の人々(が立ち上がっている)。(32:31)

得体の知れない敵を想像させてそれに対する不安を煽り、それに立ち向かうヒーローとして自らを演出するのは、参政党の基本路線です。

⑦アメリカは様々な中東の国に介入していった。グローバリスト勢力は兵器の輸出などで莫大なお金を得ている。(34:28)

「アメリカ政府の裏で軍産複合体が戦争を煽っている」というDS陰謀論を一部取り込んでいます。「ロシアはDSによって戦争に引き込まれた」という馬鹿馬鹿しい嘘の伏線です。

⑧ロシアによるウクライナ侵略で全部ロシアが悪いと欧米NATOが言っている(がそれは一面的な見方だ)。(35:30)

「ロシアは約束を守る習慣がある相手である」と聞き手に思わせるプロパガンダです。ロシアは嘘をついて人を殺し、人を殺して嘘をつきます。信頼してはイケマセン。

⓽アメリカでも国民が覚醒しつつある(松田)(44:20)

相手を洗脳しようとする人間は「目覚めよ」という言葉を使います。そして洗脳に引っ掛かった人は「おはよう」と言います。ご注意を。

【松田学】

①松田学が「日本は太平洋戦争でアメリカに戦争に引き込まれた。同様にプーチンもグローバリストによってウクライナ侵略に引き込まれた。」と主張しています。

ロシアはグローバリズム陰謀論に絡めたロシア擁護を世界中で撒き散らしています。これに太平洋戦争開戦の経緯を絡めて日本人に理解を訴えるのは、日本人向けにアレンジされたロシア擁護です。

②なぜロシアが太平洋戦争開戦の経緯を日本人に解説するか、についてです。

以下の資料は、日米開戦直前の経緯をロシアが日本人向けに解説したものと見てよいでしょう。「本当はアメリカが日本を戦争に引き込んだのだ」と吹き込み、日米離間に誘導することが目的です。

③開戦時における日米の経済体力は7~10倍、という記事を読んだことがあります。数字はともかくとして、2倍3倍どころではない体力差があったのは間違いないでしょう。体力的に勝てない相手なのだから、日本が戦争を回避しようとするのは当たり前です。

④私は、当時の日米間の争いは「勢力争いだった」と解釈しています。お互いが憎み合って戦争を始めたワケではなかったでしょう。植民地獲得競争の1番手グループのトップであったアメリカが2番手グループを抜け出しつつあった日本を叩き潰した、という認識です。

ので「アメリカが日本を戦争に引き込んだ」という解釈には私は同意です。但し、過去の経緯にとらわれて、中露の仕掛ける日米離間に乗るのは禁物です。

自由/民主主義/人権/法の支配に向き合う姿勢は、アメリカと中露では比較になりません。日米同盟堅持が吉と考えます。

【プー公の暴露】

①結局プー公が自分で「領土目的の侵略戦争だ」と認めてしまいました。投稿はこちら

プー公は単に相手を支配したいから攻め込んだだけです。更に攻め込むと同時に、世界中で「ロシアがウクライナに攻め込んでしまったのはNATOのせいである」という陰謀論を撒き散らしました。やることが単純で汚いですね。

参政党が撒き散らしていた「DS陰謀論/反グローバリズム陰謀論に絡めたロシア擁護」はこれで「デマだった」という結末になりました。

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